投資に人生のリソースをどれくらい割り当てるべきか、もう一度真剣に考えてみよう
トウシル / 2022年6月28日 6時0分
![投資に人生のリソースをどれくらい割り当てるべきか、もう一度真剣に考えてみよう](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_37792_0-small.jpg)
投資に人生のリソースをどれくらい割り当てるべきか、もう一度真剣に考えてみよう
投資スタイルの違いはリソース割り当ての違いでもある
おひとりさま、結婚生活、DINKs(共働きで子供を意識的に持たない夫婦)か子だくさんか……。ひとりひとりの人生は違っていていいし、それを責める権利は誰にもありません。仕事以外の時間のほとんどを趣味に没頭する人もいれば、家族との時間を大切にする人もいます。一方でマーケットニュースを見るのが楽しくて仕方がない人もいます。
何の話か、というと、今は多様性が求められる時代であって、私たちはテンプレートに従う必要はないということです。だとすれば、個人の投資スタイルも多様であっていいはずです。
投資が誰でも取り組めるものとなってきたからこそ、多様な投資スタイルについて自分はどう向き合うのか、もう一度考える必要があるかもしれません。
今回は投資に割り当てる人生のリソースに着目して、投資スタイル選びについて考えてみます。ここでいうリソースとは、
- 投資に費やす時間
- 投資の前提として獲得する知識
- 投資のために収集する情報量
- 投資のメンタル上の負担
などを、あなたはどれくらい割り当てるべきかという意味合いです。
あなたが今、採用している投資スタイルは、あなた自身が望んでいる負担となっているでしょうか。
リソースを多く割り当てる場合の注意点
集中投資、短期投資を行う場合、投資に人生のリソースを相当割り当てる必要があります。勉強もしなくてはいけませんし、トレードのための判断材料を収集し続ける必要もあります。決断をたくさん行い、ストレスも背負います。
しかしそれは高い期待リターンを獲得するためのトレードオフであり、受け入れる必要のある負担でもあります。
また、「投資にまつわるスリルや緊張感が好き」というタイプの人は、リソースを割いてでも投資としっかり向き合います(ただし、手段を目的化している心配があるので注意が必要です)。
自分が投資につぎ込んでいるリソースは、自分として納得できているでしょうか。また、それが運用成果としてもバランスが取れているものとなっているでしょうか。
しばしば、投資に人生の多くをつぎ込みすぎている人がいます。会社への移動時間や昼休みなどのわずかな自由時間の全てを投資情報のチェックに費やし、自宅に帰ってからも為替のトレードにほとんどの時間をつぎ込んでいるものの、実はそれが苦痛であったり、負担が厳しいと思っているのなら、ちょっとその投資スタンスを再考してもいいと思います。
投資は、何かしらの経済的目標を実現するための手段であって、目的ではありません。家族や友人との時間、趣味や娯楽を楽しむ時間、ただリラックスをする時間をもう一度取り戻してみたいと思うのなら、その投資スタイルを変更してもいいと思います。
……もちろん、今の自分の投資スタイルが楽しくエキサイティングであり、継続することにストレスがないなら、それはあなたにちょうど合っている投資方法ということです。
リソースをなるべく減らしたい場合の注意点
一方、投資は行うものの、投資に割り当てる人生のリソースをとにかく減らしたいという人の注意点はどうでしょうか。こちらはそう難しいことではありません。
- 投資金額あるいは投資割合を決定する
- 分散投資された投資信託で運用する
- 可能であれば長期的に少額の積立を継続する
といったステップさえ踏むことができれば、投資の実際については自動的に買い付けをし、中長期的にかまえて日々の売買や株価チェックは省力化することが可能になります。
しかしながら、資産の全額を投資信託で運用する場合は短期的な下落リスクを回避することはできませんので、投資金額の上限あるいは個人資産全体に占める投資割合の上限を先に決定してリスクコントロールをしておくといいでしょう。
もちろん預金などのウエートを多くすれば元本割れのインパクトを抑えることができます(ただし全体の期待リターンも下がる)。
それでも20年以上のスパンで長期積立分散投資を行うことができれば、基本的にはマイナスにならないどころか大きくプラスとなる運用成績が期待できます。年4~6%くらいのリターンとなれば、そう悪いパフォーマンスではありません。
先ほども述べたとおり、あなたの人生において投資そのものは目的ではなく、別の夢や安心を獲得するための資産形成の手段です。投資はあなたの人生のメインテーマではありません。
仕事に万全の形で集中したり(オフタイムにスキルアップのために学ぶことも含む)、休息の時間を確保してリフレッシュに努めたり、友人や恋人、家族との時間をしっかりとって人生の喜びを忘れないようにしたり、個人的な趣味に没頭する時間を持つようなところに自分の貴重なリソースを割きたいと考えるのであれば、負担が少なくてもリターンを得られる選択肢を選んでみるといいでしょう。
優劣の議論は無意味!最終的には個人の好みも踏まえて決断をしよう
投資に人生のリソースを割いて期待リターンを高めるか(もちろんリスクも高まる)、投資にはできる限りリソースを割かない選択をして期待リターンについてはインデックス程度を確実に取ることを目指すか、はどちらが優れているかという問題ではありません。
それぞれにメリットや意味があります。問題は、自分の人生のリソース投入を納得できているかです。
私自身はというと、趣味人であってマンガやアニメを見る時間を削るわけにはいきませんし、子どもの成長を見守る時間をゼロにすることもできません。共働きで家事や育児もほぼ半分シェアしているので、そこにも時間を回さなければならず、おのずと投資へ割り当てるリソースを減らす必要があります。
結果としてインデックス投資をベースとした長期積立分散投資を選択することになりました。そして、その投資スタイルは楽にできて、かつ成績は上々となることが気に入っています。
あなたはどうでしょうか。
投資はときどき、マーケットではなく自分自身の心の中に答えがあるときがあります。投資の基本方針を考える答えは「株価が下がって買い時だから」ではなく、胸に手を当てたところに潜んでいるのです。
(山崎 俊輔)
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