毎日株価を見ることはいいことか悪いことか
トウシル / 2022年8月23日 6時0分
毎日株価を見ることはいいことか悪いことか
こう株価が上下動すると毎日市場が気になってしまう?
ここしばらく、株式市場は慌ただしい日々を送っています。株価も為替レートも上下動が激しく、目を離せない展開です。
投資経験がまだ浅い人は、値動きが激しいほど、そこに投資のチャンスがあるように思えます。そこでスマホを開いたり、仕事のパソコンのウィンドウにこっそり投資情報サイトの画面を開いておいたり、できるだけマーケット情報が得やすいようにします。
気になりだすと、多くの時間をマーケットチェックに費やすようになってしまいます。朝起きたらチェック、通勤時間にチェック、お昼休みにチェック、寝室のベッドでチェック、それどころか就業時間内にもチェック……。
あなたがもし、「投資をするということは、マーケットを見続けること」だとなんとなく思っているなら、一度自分の投資スタイルを再考すべきかもしれません。
焦って売らないように、投資初心者は何度でもチェックしていい
あなたがもし、「投資初体験」をしたばかりなら、何度もマーケットチェックしてもいいでしょう。
初めての彼氏(ないし彼女)ができたときはLINEなどを何度もチェックします。こちらから送ったメッセージの返信がすぐあるかどうかは一大事です。
投資も似たようなところがあって、経験が浅い人ほどリアルタイムに近い情報が気になって仕方がないものです。
何せ、自分の投資した資金の時価がリアルタイムで上下動していくのですから、これをチェックしたくなるのは当然のことでしょう。
むしろ何度もチェックして、リアルタイムで動くマーケットのダイナミズムに触れてみてほしいと思います。ただし、焦ってちょっとした値動きで売ってはいけません。10万円の銘柄を買って、100円とか1,000円で利益確定をしたり、損失確定をしないようにしましょう。
しばらくするうちに、マーケットとの距離感がみつかってきます。彼氏(ないし彼女)とのメッセージのやりとりも、数分程度なら気にせず待てるようになりますし、会わない時間にスマホの通知を常に気にしないようになってきます。
株価もそうです。そもそも今日売る予定がない銘柄についてリアルタイムの値動きを知る必要はないことが分かってきますし、「大きく値動きしてもこれくらいか」という余裕も育ってくることでしょう。
そうすれば個人投資家としてのステップアップ成功です。
一定の投資経験があれば、毎日株価ウオッチする習慣から離れていい
投資の実経験というのは大きな財産です。最初は10万円の投資資金が100円(0.1%)値動きするだけでもドキドキしていたものが、資産が成長し、数百万円あるいは1,000万円を超えてきても平気でいられるようになります。
1,000万円の資産が1日で0.1%値動きしたら、1日で1万円の値動きということですが、1,000万円まで投資資金を成長させてきたベテラン個人投資家は、まったく気にせず過ごせる胆力が身についています。
これは同時に、リアルタイムに近い形で株価をチェックしなくても平気になるということです。終値を4時ごろにネットのニュースでチェックしたり、新聞記事やテレビニュースでTOPIXやダウ工業株30種平均の指数の動きを追って、概略をつかめばOKというようになります。
一週間くらい、マーケットの情報を見ないということもあってもおかしくありません。こうなってきたら、ひんぱんな市場チェックから自然と解放されていることになるでしょう。
もしそうでない場合は、「もしかしたら、それほどひんぱんなチェックをしなくてもいいのでは」と自問自答し、チェック頻度を下げてみてください。案外、株価チェックしなくても1日は普通に終えられるかもしれませんよ。
投資スタイルを切り替えて「自分にちょうどいいウオッチ」をみつけよう
ときどき、何かに背中を押されているかのようにひんぱんな市場チェックを繰り返す個人投資家をみかけます。何年も投資経験があるのに繰り返すようなら、投資スタイルをちょっと変えてみる方法があります。
信用取引をする人、FXでレバレッジ取引をする人は、損失が拡大する恐れがあるため、常にマーケットチェックしなければなりません。それがしんどいなら、そうした投資スタイルをやめてしまいましょう。個別株式を普通に購入し保有する、あるいは投資信託を購入すればいいのです。
私は、会社員が働きながら投資をするのであれば、投資信託をコアに据えて、運用方針もインデックスにしておくのがちょうどいいと思います。投資信託ならそもそも基準価額は1日一度しか変わらないわけですから、チェック頻度をそれ以下にすることができます。
投資信託を積立投資で自動的に買い付けるようにすれば「買い」のタイミングのために市場とにらめっこする必要はなくなります(にらめっこしたら最適な注文が通ると考えすぎないくらいが個人投資家にはちょうどいい)。
また売却時も投資信託ならリアルタイムの注文が通るわけではないので、タイミングをねらう気苦労から解放されます。
もう一つ、投資のゴールをできるだけ未来に置くこともいい変更です。できればリタイア年齢がゴールだと考えてみましょう。これはあなたの資産運用に設定できるもっとも遠いゴールです。
老後に楽しむための資金づくりであれば、今日明日の株価で一喜一憂する必要はまったくありません。経済が中長期的に成長すると思えるのなら(思えないなら投資は止めてしまってもいい)、短期的な値下がりはむしろ新規購入のチャンスだと考えられます。
あまりにも短期的に、かつ高いリターンを志向しすぎるがゆえのひんぱんなチェックなら、投資スタイルを変えてしまえばいいのです。
もちろん、マーケットウオッチが大好きで、まったく苦にならないタイプの人は、そのままで結構です。売り買いのタイミングを見計らうのが楽しくて仕方ない人は追求していけばいいでしょう。パチンコやゲーム内のカジノに夢中になるより、よほどいい楽しみであり刺激だと思います。
自分なりのチェック頻度、ストレスにならない程度のマーケットウオッチのペースを設定してみましょう。それは、投資をずっと続けていくために、とても重要なことなのです。
(山崎 俊輔)
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