戻り速すぎ?日経平均テクニカル分析:米景気ソフトランディングの楽観続かない?
トウシル / 2022年8月22日 7時36分
戻り速すぎ?日経平均テクニカル分析:米景気ソフトランディングの楽観続かない?
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「戻り速すぎ?日経平均テクニカル分析 米景気ソフトランディングの楽観続かない?」
米景気ハードランディングの不安再燃
先週(8月15~19日)の日経平均株価は1週間で383円上昇して2万8,930円となりました。17日には一時2万9,222円をつけて、2万9,000円を超えました。米景気ソフトランディング期待を受けて、ナスダック総合指数を中心に米国株が上昇していたため、外国人と見られる買いが日本株にも入っていました。
ところが、先週は、米景気ソフトランディングに対する楽観が行き過ぎているのではないか、という警戒が出て米国株が反落したため、週末にかけて日経平均も反落して2万9,000円を割れました。
日経平均日足:2022年1月4日~8月19日
このコラムで毎週お伝えしている通り、世界の株式市場の最大の注目点は、急速に減速してきた米景気がソフトランディングするかハードランディングとなるか【注】にあります。
【注】米景気ソフトランディング・ハードランディング
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気減速によってインフレが沈静化に向かい、米利上げの早期停止が視野に入る。米景気はリセッション(景気後退)入りすることなく持ち直し、緩やかな景気拡張が続く。
◆ハードランディング・シナリオ:米景気が減速しても高水準のインフレが続く。FRB(米連邦準備制度理事会)は景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を目指して急ピッチの引き締めを続ける。インフレと金利上昇を受けて、米景気がリセッション入りする。
ソフトランディングの期待が高まると、米ナスダックが上昇して、世界の株式市場が上昇し、日経平均も買われます。ハードランディングの不安が高まると、ナスダックが下落して、日経平均も売られます。
ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年8月19日
ナスダックは、昨年高値(11月19日の1万6,057円)から、今年の安値(6月16日の1万646円)まで▲33.7%下落しました。米景気ハードランディングの不安が高まったためです。日経平均はその間、相対的に堅調でしたが上値の重い状況が続きました。
今年の7月以降、米景気の減速が鮮明になる中、原油・穀物・貴金属市況が下落してくると、一転して米景気ソフトランディングへの期待が高まり、ナスダックは急反発しました。日経平均も先週一時2万9,000円を回復しました。
しかし、米景気ハードランディングへの不安も根強くあります。先週は、不安が再燃して、ナスダックが反落しました。それを受けて、今週の日経平均には戻り売りが増える可能性があります。
日経平均テクニカル分析
2020年10月以降の日経平均を、テクニカル分析の視点からざっくり俯瞰(ふかん)します。
日経平均週足:2020年10月2日~2022年8月19日
2020年の日経平均は、コロナショックで急落後、急騰しました。大荒れの1年でした。ところが、2021年の日経平均は一転して、膠着(こうちゃく)相場となりました。
2021年の日経平均はボックス相場でした。2万8,000~2万9,000円の狭いボックスで推移した時間が長く、それを上また下へ抜けた時も、おおむね2万7,000~3万円のボックスで推移していました。
2022年に入って、米国株が急落すると、日経平均もいったん2万7,000円を割れて下放れました。
ところが、7月以降、米ソフトランディング期待が高まって米国株が反発すると、日経平均も戻りを試す局面に入りました。2021年で節目となった2万7,000円・2万8,000円は、戻り局面ではレジスタンス(抵抗線)として意識されます。
そこまで戻ると、一時戻り売りに押し戻される時もありました。それでも、米国株の反発が続いたので、2万7,000円・2万8,000円は戻り売りをこなして上へ抜けました。
先週は、一時2万9,000円を超えたところでさらに戻り売りが増える局面で米国株が反落したため、日経平均も反落して2万9,000円を割れました。米国株の戻りが一服となると、日経平均も、2万9,000円の壁で打ち返された形となる可能性があります。2021年に長い時間滞在した2万8,000~2万9,000円のボックスを、一気に抜ける条件はまだ整っていないと考えられます。
日経平均は目先反落か
日本株は割安で、中長期で良い買い場と考えています。ただし、短期的には米景気ハードランディングの不安再燃で、米国株が反落し、つれて日経平均も売られる局面になると思います。2万8,000円前後に反落する可能性もあると思います。
私は、日経平均の上昇がこれで終わったとは思っていません。短期的な反落局面で少しずつ時間分散しながら日本株を買い増していくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
▼著者おすすめのバックナンバー
2022年8月16日:9月の米利上げ、どうなる?10年・2年金利逆転。米利上げ停止近い?
2022年8月4日:日本株は要らない?米国株&日本株「ダブル積立」が資産形成に良いと考える理由
2022年7月11日:8月優待人気トップ「イオン」の「買い」判断を強調、3-5月は最高益
(窪田 真之)
この記事に関連するニュース
-
相場展望1月30日号 米国株: 中国DeepSeekショック、FRBは金利を据え置き 日本株: 日経平均の先行きも安心してはおれない
財経新聞 / 2025年1月30日 14時13分
-
日経平均「4万円の壁」厚い?トランプ関税、対コロンビア撤回、メキシコどうなる?(窪田真之)
トウシル / 2025年1月28日 8時0分
-
トランプ・リスク低下?日経平均4万円超えは定着する?(窪田真之)
トウシル / 2025年1月27日 8時0分
-
日経平均5万円、2028年までに達成と予想する理由(窪田真之)
トウシル / 2025年1月7日 8時0分
-
トランプ・リスク警戒!シートベルトゆるんでいませんか?(窪田真之)
トウシル / 2025年1月6日 8時0分
ランキング
-
1フジテレビと共倒れ…「スポンサー離れよりずっと深刻」いまテレビの現場で起きている「負のスパイラル」
プレジデントオンライン / 2025年2月2日 9時15分
-
2老後資金不足に焦り、ハイリスク投資に走る人の末路…元メガバンカーの経済評論家が「投資の前に実行してほしい」と切実に思う、たったひとつのこと
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年2月2日 9時15分
-
3認知症の利用客に、どう対応する? 1万9000人の従業員をサポーターに育てたヨーカ堂の狙い
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月2日 9時30分
-
4よみがえったアバクロ、「5年で利益10倍」の復活劇 「全米で最も嫌われたブランド」をどう抜け出した?
東洋経済オンライン / 2025年2月2日 7時0分
-
5間もなく見納め…いやいや、まだ走ります! この春が「完全引退じゃないよ」鉄道車両3選
乗りものニュース / 2025年2月2日 7時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください