なぜまた円安、1ドル=137円台。ドル/円を動かす日米金利差
トウシル / 2022年8月23日 7時40分
なぜまた円安、1ドル=137円台。ドル/円を動かす日米金利差
日米金利差に反応して、円高・円安に大きくふれるドル/円
ドル/円為替レートが激しく乱高下しています。7月は一時1ドル=139円台まで円安が進みました。ところが、7月後半から8月初めにかけては円高に転じ、8月初めに1ドル=131円台まで円高が急進しました。それで円安が終わったかと思いきや、8月に入って再び円安が進み、足元、137円台をつけています。
ドル/円為替レートの動き:2022年7月1日~8月22日
ドル/円を動かす要因はたくさんあって分かりにくいですが、ドル/円を動かす最大の要因だけに注目すれば、極めてシンプルです。ドル/円を動かす主要因は、日米金利差です。
【1】日米金利差が拡大すると、ドル買い(円売り)が増えてドル高(円安)が進む。
【2】日米金利差が縮小すると、ドル売り(円買い)が増えてドル安(円高)が進む。
近年、日本は長短金利ともゼロ近辺に固定されているので、米国金利が、そのまま日米金利差となっています。したがって、以下のように言い換えることができます。
【1】米国金利が上昇すると(日米金利差が拡大して)、ドル高(円安)が進む。
【2】米国金利が低下すると(日米金利差が縮小して)、ドル安(円高)が進む。
つまり、ドル/円の動きをもっとも簡単に説明すると、「米金利が上がれば円安」「米金利が下がれば円高」となります。
2年金利の上昇下降にドル/円が反応
何年金利を見れば良いかについて、その時々で異なりますが、長いタームで見て、2年金利の変化がドル/円の動きをもっとも良く表していると考えています。
先程のドル/円の動きに、米2年金利の動きを付けてみると、ドル/円が米金利の上げ下げに反応して動いていることがよくわかります。
ドル/円為替レートと、米2年金利の動き:2022年7月1日~8月22日
7~8月のドル/円を、米金利から簡単に説明すると以下の通りとなります。
【1】7月前半は2年金利上昇にともなって円安
6~7月と2カ月続けて、FRB(米連邦準備制度理事会)は、0.75%の大幅利上げを連続で実施しました。それを受けて、米2年金利も上昇し、円安が進みました。
【2】7月後半から8月初にかけて2年金利低下に伴って円高
米景気減速や原油先物下落を受けて、米インフレが先行き鎮静化し、米利上げの早期停止が視野に入るとの期待が出ました。それを受けて、2年金利が低下して円高が進みました。
【3】8月は2年金利の上昇にともなって円安
米雇用が強く、米インフレは高水準が続くとの見方が出て、金利が上昇し、円安に。
日米2年金利差が長期で見てもドル/円変動の最重要ファクター
ドル/円為替の長期的な動きは、ほとんど日米金利差で説明できます。もっとも良く動きを説明できるのは、2年金利差です。2年金利差というのは、米国と日本の2年国債利回りの差です。
ドル/円為替レートと、日米2年債利回りの差:2008年1月~2022年8月(22日)
2008年以降の動きを見ると、おおむね日米2年金利差と、ドル/円は連動していることがわかります。
【1】2008~2012年
日米金利差の縮小にしたがって、円高(ドル安)が進みました。
【2】2013~2014年
日米金利差が少ししか拡大していないのに、大幅な円安(ドル高)が進みました。2年金利の差では説明できない程の円安となりました。日本銀行が異次元緩和を実施する中、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めに動いていたことが、急な円安を招きました。今と似た環境です。今も、FRBが引き締めを急いでいる時に、日銀は頑として緩和維持を表明しています。
【3】2015~2018年
日米金利差が拡大する中で、円高が進みました。2013~2014年の行きすぎた円安に修正が起こったと見ることができます。
2016年に、米大統領選キャンペーンで共和党候補だったドナルド・トランプ氏(前大統領)と民主党候補だったヒラリー・クリントン氏が、ともに円安を批判したことも円高材料となりました。トランプ前大統領が当選した後も、日本の対米黒字を問題視し続けたため、潜在的な円高圧力が続きました。
【4】2019~2020年
日米金利差が縮小するにしたがって、円高が進みました。
【5】2021~2022年
日米金利差が拡大にしたがって、急激な円安が進んでいます。
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(窪田 真之)
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