ゴールドの活用法を検証!インフレヘッジと資産運用
トウシル / 2022年8月23日 16時0分
ゴールドの活用法を検証!インフレヘッジと資産運用
1.ゴールド、米国株式、米国債は米インフレ率を上回っているか?
ゴールドや米金融資産価格は米インフレを上回るが、ゴールドは米国株式(配当含まず)のリターン並み
今回は質問に回答するコーナー的な内容です。「ゴールド(金)でインフレヘッジできるのか?」「投資対象としてどうなのか?」といった問い合わせが複数ございましたので、米国の代表的資産で検証してみました。
図表1は、ゴールド、米国株式、米国債のパフォーマンスを、米インフレ(CPI=消費者物価指数)と比較した図です。まず、長期リターンで見ると、1985年ごろからゴールド、米国株式、米国債は、全て、米CPI(総合)を大幅に上回ってきました。
また、米CPI(総合)をはるかに上回る米CPI(医療ケアサービス)をも上回っており、ゴールド、米国株式、米国債を保有していれば、米インフレをヘッジすることが十分にできたことがわかります。
一方、ゴールドのパフォーマンスは、過去52年間で米国株式(配当含まず)とおおむね同等であり、配当を含む米国株式のトータルリターンには勝てていないこともわかりました。長期の資産運用という視点では、米国株式に軍配が上がるようです。
[図表1] ゴールド、米国株式、米国債、米CPI(総合、医療ケアサービス)の推移
2.局面ごとに見るとリターンが大幅に異なる
5年程度の期間の場合、局面によっては必ずしもインフレヘッジが効くわけではない
長期の視点では、ゴールド、米国株式、米国債でインフレヘッジができましたが、5年程度で期間を区切ると景色は一変します。図表2は図表1と同じゴールドなどについて5年間のリターン(年率)を見たものです。米インフレ率(CPI)はおおむね0~10%の範囲で変遷しており、米国債は米インフレ率を上回っている期間が多いですが、足元10年程度はほぼ一致しています。
ゴールドや米国株式は上下に大きく変動しており、5年パフォーマンスにならしてみてもマイナス・リターンとなる期間が頻出していることがわかります。つまり、5年程度の期間では必ずしもインフレヘッジが効かない局面もかなり多いことがわかります。
確かに、典型的なインフレ局面である1970~1980年代にかけてのオイルショック時はゴールドのパフォーマンスが米インフレ率を大きく上回っていますので、インフレ時には有効なのかもしれません。しかし、その後に続く1985~2005年ごろまでは長期にわたってインフレ率を下回っていることを考えると、なかなか難しい面もあります。
[図表2] ゴールド、米国株式、米国債、CPI(総合、医療ケアサービス)の5年リターン(年率)の推移
3.ゴールドと株式市場はどちらかが一方的に優位なことが多い
米国株式との相関性の低さを利用した活用法も一考の価値あり
最後にゴールドと米国株式の関係を見ながら、ゴールドの活用法を考えてみましょう。図表3は、図表2の中からゴールドと米国株式を抜き出し、ゴールドと米国株式のパフォーマンス格差を見たものです。ご覧のように、5年のパフォーマンスを見ると、ゴールドと米国株式はどちらかが一方的に優位になる局面が繰り返されているように見えます。
長期では米国株式(配当を含む)のパフォーマンスにかなわなかったゴールドですが、5年程度の期間であれば、米国株式と互いに補完しあう関係にあるようです。ちなみに、この間の5年リターンの相関は▲0.59(注1)であり、かなりの分散効果が期待できます。
(注1)相関がマイナス1に近い場合、逆の値動きをする傾向が強いと考えられる。
ゴールドが優位な局面は、オイルショックのような高水準のインフレ局面であったり、2000年前後以降のインターネット・バブルの崩壊からリーマンショックのダメージが残る期間だったりと、米国株式が不調に陥る局面であったように感じます。
インフレヘッジとしては有効で、一定期間の米国株式不調時に活躍する可能性がある資産として、ゴールドを活用するのも一つの投資アプローチかもしれません。
[図表3] ゴールドと米国株式の5年リターン(年率)の推移
<関連銘柄>
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(証券コード:1328)
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(阪井 徹史)
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