ナスダック・日経平均、下値模索続く?9月の米利上げに不安
トウシル / 2022年9月5日 7時45分
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ナスダック・日経平均、下値模索続く?9月の米利上げに不安
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【日本株】ナスダック・日経平均 下値模索 9月の米利上げに不安」
ジャクソンホール・ショックで世界株安
先週(8月29~9月2日)の日経平均株価は1週間で990円下落して2万7,650円となりました。
8月26日のジャクソンホール会議でジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「インフレ抑制のためには、家計や企業に痛みを与えても金融引き締めをやり続けないとならない」と発言したことを受けて、米景気ハードランディングの不安が高まり、ナスダック総合指数が急落。世界株安となる中で、日経平均も急落しました。
ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年9月2日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/1/-/img_410eb09cd9883a8e93e7a4b927d06f5869667.jpg)
このコラムで毎週お伝えしている通り、世界の株式市場の最大の注目点は、急速に減速してきた米景気がソフトランディングするかハードランディングとなるか【注】にあります。
【注】米景気ソフトランディング・ハードランディング
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気減速によってインフレが沈静化に向かい、米利上げの早期停止が視野に入る。米景気はリセッション(景気後退)入りすることなく持ち直し、緩やかな景気拡張が続く。
◆ハードランディング・シナリオ:米景気が減速しても高水準のインフレが続く。FRBは景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を目指して急ピッチの引き締めを続ける。インフレと金利上昇を受けて、米景気がリセッション入りする。
パウエルFRB議長が、インフレ抑制のために景気を犠牲にする強硬姿勢を示したことで、金融市場のソフトランディング期待は打ち砕かれ、当面、世界的に株は下値模索が続く可能性があります。
世界の株式市場にとっての不安材料は、米景気ハードランディングだけではありません。以下も不安視されています。
【1】中国の不動産バブル崩壊・中国景気悪化リスク
【2】エネルギー危機長期化、欧州景気悪化リスク
【3】中ロ接近、米欧との対立深まり、世界経済分断のリスク
【4】台湾有事リスク
ナスダック・日経平均とも、短期的に下値模索が続く可能性があります。
日本株にも下落ショック続く、時間分散して買い増しの方針
日経平均は、しばらく下値模索が続くと考えています。ただし、日本株は割安で、長期投資の視点からは良い買い場と考えています。時間分散しながら少しずつ買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。
それでは、日経平均の2020年10月以降の動きを、テクニカル分析の視点から俯瞰(ふかん)します。
日経平均週足:2020年10月2日~2022年9月2日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/b/-/img_6b45be05a00f64aad21f9791b6c08ccd68308.jpg)
2021年の日経平均は上へも下へも大きくは動かないボックス相場でした。2万8,000円から2万9,000円の狭いボックスで推移した時間が長く、その外に出た時も、おおむね2万7,000円から3万円のボックスで推移していました。
ところが、2022年に入って米国株が急落すると、日経平均はいったん2万7,000円を割れて下放れました。
しばらく下値模索が続きましたが、7月になってから、ソフトランディング期待が高まって米国株が反発すると、日経平均も戻りを試す局面に入りました。2021年で節目となった2万7,000円・2万8,000円の戻り売りをこなして、一時2万9,000円を超えました。
ところが、8月26日にジャクソンホール・ショックが起こってナスダックが急落したため、日経平均も急落して2万8,000円を割れました。これで2万8,000円は再び上値抵抗線(レジスタンス)として意識されることになります。目先は2万8,000円を上値とし、2万7,000円に向けて下値トライする可能性が出たと考えています。
ご参考まで、以下に日経平均の2022年の日足チャートを掲載します。
日経平均日足:2022年1月4日~9月2日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/d/-/img_cd0fa146bf45e33bc2c2bee83341dc8451701.jpg)
9月の米利上げ幅は0.75%?
株式市場で不安が高まっているのは、FRBが過度に金融引き締めをして景気をオーバーキル(やり過ぎてだいなしにすること)することです。米長期(10年)金利と短期金利(FF金利)が逆転して、その逆転が長びくようだと、経験則では米景気がリセッションにおちいる可能性が高まります。
9月20~21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、FRBが0.5%または0.75%の利上げを実施すると予想されています。
米長期金利とFF金利、NYダウの推移:2004年1月~2022年9月(2日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/c/-/img_ac3513fc331cf3c4c6a1d1e43ca08ad791281.jpg)
上のグラフでわかる通り、米長期(10年)金利と短期(FF)金利のスプレッドが急速に縮小しています。9月2日時点で長期金利は約3.2%、FF金利(誘導目標の中央値)は約2.4%で、その差は0.8%です。FRBが9月20~21日のFOMCで0.75%の利上げを実施すると、長期金利とFF金利はほぼ同水準となります。その後さらに利上げを続けると、逆転します。
最後に、講演会のご案内です。9月10日(土)14時30分~16時に開催される「相模女子大学 社会起業フォーラム」で、私が講演します。講演タイトルは、「持続可能型社会での起業に、投資家が求める成長ストーリー」です。私がファンドマネージャー時代、どのように成長株を絞り込んでいったか具体例を解説し、これから起業する方に助言します。どなたも無料で視聴できます。ご関心のある方は、以下相模大学のHPよりお申し込みください。
「相模女子大学2022年度社会起業フォーラム開催のお知らせ」
▼著者おすすめのバックナンバー
2022年8月29日:世界株安再び。ジャクソンホール・ショックで米景気ハードランディングの不安再燃
2022年8月22日:戻り速すぎ?日経平均テクニカル分析:米景気ソフトランディングの楽観続かない?
(窪田 真之)
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