今までiDeCoに加入できなかった方へ!「会社の確定拠出年金あり」会社員のチェックポイント三つ
トウシル / 2022年9月27日 6時0分
今までiDeCoに加入できなかった方へ!「会社の確定拠出年金あり」会社員のチェックポイント三つ
2022年10月、念願の「企業型DCとiDeCo同時加入」が全面解禁へ
2022年10月に、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の規制緩和がもう一段階実施されます。今回の改正では、「企業型確定拠出年金(以下企業型DC)に加入している会社員が、iDeCoに無条件で同時加入可能」となり、約750万人以上に影響がある大きな変化です。
今まで企業型DCに加入している会社員はiDeCoの利用が制限されていました。法律上は加入可能であっても、企業型DC側がiDeCo加入を認める規約とする必要があり、またその場合には企業型DCの枠を縮小する必要があるため(退職金水準の引き下げの可能性もある)、なかなか利用が進んでいなかったためです。
今回、企業型DCの方で制度見直しをしなくても誰でもiDeCoに同時加入ができるようになります。
実は企業型DCの採用企業は増えており、3万8,000社を超えています。日本経済団体連合会の調査でも、企業年金制度採用企業における企業型DCの実施率は71%となっているなど、多くの企業で制度が採用されている状況にあります。
金融リテラシーの感度が高い人ほど、「iDeCoに入りたくても入れない!」と残念な思いをしていましたが、今回それが実現するわけです。
チェック1)マッチング拠出を利用しているか
まずは、「会社の確定拠出年金あり」の会社員がiDeCoに加入するにあたって三つのチェックをしてみましょう。
最初にチェックしたいのは、マッチング拠出の実施有無です。マッチング拠出は、企業型DCにおいてiDeCoと同等の税制優遇を得つつ自分のお金を追加拠出できる仕組みです。ただし会社がマッチング拠出を実施するかを決めるので、未実施の企業型DCもあります。
このとき、すでにマッチング拠出を行っている場合、iDeCoにも加入することができません。実質的に同等の税制優遇がダブってしまうからです。
マッチング拠出の方は、事務費用を会社が負担することがほとんど(iDeCoは自己負担)ですが、運用商品ラインアップはiDeCoのほうが自由に選択できるメリットがあります。
マッチング拠出を続けるか(あるいはこれからマッチング拠出の方を選択するか)、iDeCo加入をするかは、どちらか択一になります。すでにマッチング拠出を利用している場合は、まず利用停止の手続きを行います。
企業型DCの運営管理機関のWEBサイトあるいは会社の人事・総務部などにマッチング拠出の掛金を停止する書類を提出し(基本的にいつでも行える)、ストップした後に、iDeCo加入の手続きをしてください。
もちろん、iDeCoに加入せずにマッチング拠出を継続することもできます。
チェック2)いくら積み立てられるか
次にチェックするのは「毎月いくらまでiDeCoに拠出できるのか」です。
基本的には企業型DCに加入している人のWEBサイトに拠出可能額が表示される仕組みですが、iDeCoに拠出できる限度額が設定されており、それには企業型DCの掛金額も影響してきます。
会社の制度は企業型DCのみの場合
限度額月2万円
会社掛金が月3.5万円を超えている場合は「5.5万円-会社掛金=拠出可能額」となる
※退職一時金、中小企業退職金共済を会社が実施している場合は、こちらのグループで考える
会社の制度は企業型DCと確定給付企業年金併用の場合
限度額月1.2万円
会社掛金が1.55万円を超えている場合は「2.75万円-会社掛金=拠出可能額」となる
※厚生年金基金に加入している場合はこちらで考える
分岐点となるのは「会社に確定給付企業年金があるかどうか」「会社の掛金が多めに設定されているか」です。
ちょっとややこしいのは、「iDeCoと企業型DCと一体となって非課税枠が認められる」「複数の企業年金とiDeCoが全体として非課税枠が認められる」という考えがあるからです。
会社の制度が充実している場合は、そこで十分に非課税メリットを得ているので、iDeCoの枠が小さくなってしまいます。
なお、iDeCoは現行法制では月5,000円から加入する制度、掛金は1,000円単位となっているので、「月1,000円だけでもiDeCoに加入する」のようなことはできません。
なお、自分の掛金額の計算が面倒な場合は、企業型DCのWEBサイトで自分の額をチェックしてください。
チェック3)どこでiDeCoの口座を開設するか
さて、1と2のチェックポイントが確認できれば、あなたはiDeCoに加入できることになります。あなたはどこでも自由に運営管理機関を選んで、iDeCoの口座開設ができます。
たまに誤解があるのですが「企業型DCと同じ運営管理機関でiDeCoも口座開設をしなくてはいけない」「会社の給与振込口座である銀行でiDeCoも口座開設しなければいけない」という縛りはありません。
運用商品のラインアップ(つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)並みの手数料で設定されていることが好ましい)、口座管理手数料の状況(運営管理機関が追加負担を設定している金融機関がある)、などをチェックしてみましょう。
iDeCoの口座は、後から変更して資金移動するのが面倒です。加入・積み立ての履歴データを全て引き継ぐために手間がかかり、数カ月の運用タイムラグが出ることもあります。最初のパートナー選びをしっかり検討してください。
10月1日、iDeCoは新しいステージへ
iDeCoという言葉ができて、大幅な加入対象者の拡充が実現したのは、2017年1月からです。このとき、公務員、確定給付企業年金のある会社員、専業主婦など(国民年金の第3号被保険者)が加入可能になりました。
今回の規制緩和により企業型DCに加入している人が無条件でiDeCo加入資格を得ることは大きな変化です。
入れる人と入れない人がいるのがiDeCoの悩みでしたが、10月以降は「現役世代は基本的に誰でも加入できる」仕組みとして「誰もが利用した方がいい」制度となります。
あなたも今回の規制緩和に伴うiDeCoの加入対象でしたら、ぜひ利用を検討してみてください。
(山崎 俊輔)
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