落とし穴に注意!下げ相場でありがちな思考
トウシル / 2022年10月7日 6時0分
落とし穴に注意!下げ相場でありがちな思考
日米ともに株価下落が本格化
今年も10月を迎えましたが、9月は月末にかけ日米とも大きく下落しました。日経平均株価は円安によるかさ上げ効果もあると思われ年初来安値更新までは至っていませんが、ダウ工業株30種平均は2年ぶりの安値水準となっていて、株価チャートを見ても明確な下降トレンドの動きとなっています。
このように、足元は下落相場となっているわけですが、株価が下落してくるとこんな声がよく聞こえてきます。
「下落相場でも上がる株はある。それを探して買えばよい」
「株価下落で非常に割安になった株を買えば、今以上に大きく下がることはない」
確かにその通り、と感じてしまうかもしれませんが、実はここにはそう単純にはいかない大きな落とし穴があります。これをよく理解しないまま下落相場で買い向かうと大ケガの原因となりますので注意してください。
確かに下落相場でも上がる株はあるが…
9月30日時点で、多くの銘柄は25日移動平均線を明確に割り込み、日足チャートベースでも下降トレンドが続いています。でも、中には25日移動平均線を超えている上昇トレンドのものもありますし、年初来高値を更新しているような強い銘柄も存在します。
筆者自身も、そのような上昇トレンドの銘柄については、売却する理由もありませんので保有を続けています。
では、全般が下落相場の中でも上昇トレンドとなっている強い銘柄に投資資金を集中させてよいかといえば、それはあまりにリスクが高すぎると思います。
筆者は今まで何度も大きな下落相場を経験してきました。1990年代のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、そして2020年のコロナショックなど。
足元のような下落の規模ならよくある話なので、強い銘柄は上昇トレンドをキープすることもできます。しかし下落が想定以上の大規模なものになってくると、投資家は利益確定できるものは急いで利益確定するようになります。
このときターゲットになるのが、上昇トレンドが継続している強い銘柄なのです。これらの銘柄は、まだ株価がかなり高い位置にありますから、売却すれば利益になります。
さらには、株価下落により損失の穴埋めを迫られる投資家も増えてきますので、そのために強い銘柄が軒並み売られることになります。
その結果、最終的にはほぼ全ての銘柄が大きく下がる、という形になってしまうのです。
ですから、下落相場で上昇トレンドの強い銘柄を買うこと自体は否定しませんが、投資資金の大部分をつぎ込んで勝負するのはリスクが高いです。買うのは無理のない範囲の金額にとどめ、かつ適切な損切りルールを設定・実行し、買った後株価が大きく下がっても致命的なダメージとならないようにしましょう。
確かに下落相場では多くの銘柄が「割安」になるが…
下落相場が続くと、「割安になった銘柄を買い仕込む絶好の機会」と考える投資家も数多くいます。
確かに個別銘柄の中には株価が大きく下落しているものも多数ありますから、株価が高い時期よりも物理的に有利に買うことができます。
ここで筆者であれば「確かに割安になった株は多々ある。でもここからさらに大きく下がるかもしれない。」と保守的に考えますが、これに対して彼らは「マーケット全体がここから大きく下がっても、すでに割安すぎて下がらない銘柄を選べばよい」と答えます。
でも、「すでに割安すぎて下がらない銘柄」を果たして私たち個人投資家が的確に探し当てることができるかといえば大いに疑問です。
自信をもってここから下がらないであろう銘柄を買ったとして、銘柄選択を誤り結局は大きく下がってしまったら目も当てられませんし、実際「〇〇ショック」に発展すれば想定外の下落をする可能性も十分にあります。
大失敗しないためにこれだけは絶対に守りたいこととは?
ですから、買った後株価がここまで下がったら売却する、という損切りルールを設定して、それを必ず守るようにしてください。これができなければ含み損を抱えた塩漬け株に苦しむことになります。「この銘柄はどう考えても割安だからこれ以上下がらないだろう」という思い込みは厳禁です。
また、1銘柄や2銘柄と、少数の銘柄に絞って投資するのもお勧めしません。確かに大きな上昇相場では、銘柄を絞って投資することで大きな利益を得ることも可能です。でも足元は上昇相場ではなく下落相場です。上昇相場とは逆に、絞った銘柄が運悪く大きく下落し、損失が拡大してしまう恐れがあります。
1銘柄に集中投資して、株価が半分になったら投資資金は50%減ってしまいますが、10銘柄に分散投資して、そのうちの1銘柄の株価が半分になっても投資資金の減少は5%減で済みます。
今は下げ相場ですから、「利益をいかに大きく上げるか」ではなく「いかに損失を小さく抑えるか」が重要です。
まだ下げの規模でいえば平時の下げのレベルですから、もし現時点で目いっぱい買い仕込んでしまうと、ここからショック級の暴落となったとき、身動きが取れずなすすべがなくなってしまいます。
今後想定外の株価の大きな下落が来るかもしれない、そうなったときに大きな損失を出さないためにはどうすればよいのか? その観点から考えれば、おのずと取るべき行動、取るべきではない行動が見えてくるはずです。
「業績絶好調の強い株だから下がらない」とか「すでに極めて割安だからこれ以上下がるはずはない」といった予想、思い込みは避け、買うのであれば損失が不用意に拡大しないよう、損切りを実行するようにしましょう。
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(足立 武志)
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