年金減少世代の資産形成はiDeCoとNISAで。投資初心者も今すぐ始めるべき理由(2022年10月版)
トウシル / 2022年10月22日 8時0分
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年金減少世代の資産形成はiDeCoとNISAで。投資初心者も今すぐ始めるべき理由(2022年10月版)
※本記事は2022年10月に情報を更新しました。
目の前にある年金減少社会
公的年金の支給年齢は段階的に引き上げられ、現時点では、1961(昭和36)年4月2日生まれ以降の男性と、1966(昭和41)年4月2日生まれ以降の女性は原則65歳から支給されることになっています。
今後、この支給年齢が引き上げられる可能性は極めて高く、受給額も実質的に少なくなることが予想されています。今回は、「年金減少世代」の私たちが老後を見越して備えるべき資産形成の方法について解説します。
初心者が少しの知識でスタートするなら…?
「投資は怖い」「投資は面倒」。そんなふうに考えて、最初の一歩を踏み出せない人におすすめなのが、iDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金。以下同)と、NISA(ニーサ=少額投資非課税制度。以下同)/つみたてNISAです。両者はともに、個人の老後資産形成を後押しするために設けられた国の制度です。
iDeCoと、NISA/つみたてNISAを使うことの大きなメリットは大きく二つ。
一つは、長い期間投資を続けることで、インフレに負けない資産をつくることができるという点。そして二つ目は、節税効果が期待できるという点です。
まずはiDeCoから見ていきましょう。
iDeCoとは、国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せして、個人が任意で加入できる私的年金制度です。証券会社や銀行など、iDeCoを取り扱っている金融機関(運営管理機関)で加入申し込みを行った上で、毎月一定額を積み立て(これを拠出といいます)、投資信託などの金融商品で運用します。
積み立てた資金は、60歳から75歳までの間に一時金として一括もしくは年金として分割で受け取ります。老後のために自分で積み立て貯金をし、そこに資産運用の要素が加わるようなイメージです。
iDeCoの大きな節税メリット
iDeCoの最大のメリットは、資金の拠出、運用、受取の3段階にわたって税制優遇を受けられる点にあります。
1:拠出時=掛け金は全額所得控除
iDeCoの掛け金は原則全額が所得控除となります。例えば、掛け金を毎月2万3,000円×12カ月で年27万6,000円支払うと、その全額が所得控除され、結果として所得税・住民税の負担が減ります。
所得控除を受けるための手続きはとても簡単で、確定申告の必要がない会社員や公務員の方であれば、年末調整だけで終了します。
2:運用時=運用益は非課税
iDeCo口座内の売買で得られた投資信託の売却益や配当(分配)の他、定期預金の利息は全額非課税(通常は税率20.315%)になります。
3:受取時=一時金または年金どちらを選択しても控除あり
iDeCoで積み立てた資金を一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金控除を使うことができます。なお、受取方法は60歳以降、実際に受け取る際に決めればよいので、加入時に迷う必要はありません。
大きな注意点は、60歳まで原則として資金の引き出しができないということです。
国民年金や厚生年金などの公的年金が個人的な事情で取り崩せないのと同じように、iDeCoも、原則として資金の引き出しは認められていません。iDeCoは、老後の所得保障を目的とした制度のため、手厚い税優遇を認める代わりに、流動性に制約が設けられているのです。
NISAでさらに節税メリットを享受
続いてNISAです。
NISAとは、毎年一定金額内の範囲で金融商品に投資し、利益が出た場合、通常約20%かかる税金がまるまるゼロになるという制度です。「投資」によって得られた利益が「非課税」になるので、正式名称は「少額投資非課税制度」といいます。
NISAには、2014年から始まった従来型の「一般NISA」と、2018年から新たに始まった「つみたてNISA」の2種類があります。両者の大きな違いは、「非課税となる期間」「年間上限額」、そして「対象商品」の3点です。
一般NISAは、年間120万円×5年間で、計600万円の上限額が設けられています。主な対象商品は、株式と投資信託です。
つみたてNISAは、年間40万円×20年と、年間の上限額こそ低いですが、長期にわたって制度を利用でき、上限額は最大800万円となっています。対象商品は、金融庁が定めた要件を満たす投資信託に限定されていて、株式は対象外です。なお、一般NISA、つみたてNISAともに預金は対象外です。
一般NISAとつみたてNISAは、ともに20歳以上(2023年1月1日以降は18歳以上)で日本に住民票がある方なら誰でも口座を開設できます。ただし、両制度を併用することはできず、年ごとにいずれかを選択する必要があります。
また、開設可能な口座は、一つの金融機関に一人1口座と決められています。資産運用は初めてという方、手元に貯金があまりないという方は、長期間にわたって非課税メリットを受けられるつみたてNISAを選ぶことをおすすめします。
※NISAは、岸田内閣が掲げる「資産所得倍増プラン」の一環として、2024年より見直しがなされる予定です。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
覚えておきたいNISAの注意点
NISAは投資初心者に優しい制度です。ただし、一つ注意していただきたい点があります。それは、非課税枠の「繰り越し」と、「再利用」ができないという点です。
一般NISA、つみたてNISAはともに、非課税枠を満額使用しなかった場合でも、未使用分を翌年に繰り越すことはできません。例えば、年間の非課税額の上限が120万円の一般NISAで、12月末までに100万円分しか投資信託や株式を購入しなかった場合、残りの20万円は放棄することになります。翌年に繰り越すこともできません。
またNISAでは、保有する投資信託や株式を途中で解約し、現金に換えることはいつでもできますが、解約によって空いた投資枠を「再利用」することはできません。
例えば、ある年に一般NISAで、上限いっぱいの120万円分の投資信託を購入していたとします。同じ年の途中に10万円分の投資信託を解約しても、追加で10万円分の投資信託を買うことはできません。投資信託を何回かに分けて購入した場合についても同じです。購入代金が累計で120万円に到達した時点で、その年のNISA枠を使い切ったことになります。
迷ったらまずはiDeCoから
iDeCoとNISAは両方とも節税に直結するので、同時に加入・口座開設することが望ましいですが、あえて優先順位をつけるなら、まずはiDeCoの加入を優先しましょう。iDeCoは年金制度なので、加入可能年齢に制限が設けられています(2022年10月現在65歳未満)。
一方NISAには、年齢制限はないので、資金面に余裕が出てから始めることもできます。またiDeCoは、始めた年から年末調整で税金が還付されるので、少しでも早く始めたほうが節税できてオトクです。
(篠田 尚子)
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