第7話:若者世代のアセットアロケーション(資産配分)が、株式100%だけでいい理由
トウシル / 2023年3月9日 11時0分
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第7話:若者世代のアセットアロケーション(資産配分)が、株式100%だけでいい理由
若い夫婦二人なら「株式100%」が基本で大丈夫
前回話したのは、商品選びは最後の最後でいい、ということ。まず最初に考えるべきは毎月の積立金額。いかに「本気の積立」を夫婦2人で平等にセットできるか。そして2番目が投資資産の決定。難しい言葉で言うと「アセットアロケーション」だよ、って話だった。
少し前に話したように、投資信託には「株式だけに投資します!」っていう株式ファンドから、「株だけじゃ何なんで、債券で守りも入れときます!」のバランスファンド、「株なんて怖いものは一切入れません!」という債券ファンドまでいろいろある。いろいろありすぎて、日本で何千本もの投資信託がある。
そうした中、株式と債券とその他にも・・・など、複数の資産を組み合わせることをアセットアロケーション(資産配分)と言ったりする。
でも、君たちのような夫婦二人の場合、20年後とか30年後をゴールとした積立を考えているわけなので、シンプルに株式100%の株式ファンドだけでいいよ、と言っておく。つまり「アセット」は「アロケート」しなくていい、株式というアセットへの「全振り」でいい。
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僕のこの一連の話はひとつの意見としてフラットに聞いて、あとは2人で相談して決めてくれるなら、結論は何でもいい。前にも言ったけど、細かい違いはあれど「預金に放置のノーアクション」に比べればすばららしい結果となるはずだし、乱暴に言えばどれも大体同じ方向に動くものだし、結局のところ、今後の市場環境頼みという意味では運次第。
ただ、長期戦において中途半端な腹の括り方だとブレて失敗してしまう可能性が高いので、前向きに潔く、株式100%のファンドにする覚悟を持ってもらいたいと思っている。ちなみに、僕の会社では「前を向く人の、投資信託。」というキャッチコピーをここ何年か使ってるんだが、それは「投資信託は、一度は元本割れします」ということが、暗黙の前提になっている言葉。リスクを取って、将来のリターンを得る、前を向くということには、覚悟が必要だ。
元本割れは、する
そう、投資信託は、あるとき必ず元本割れすると思ってないといけない商品。なぜなら、買った今日がその後を含めて、たまたま最安値の日で、翌日から上がる一方だったという「奇跡の人」以外は、明日か1年後か10年後かは分からないけど、必ず買値を下回る嫌な日を経験することになる。それはどんなに安心を謳っている投信だって基本、同じ。どこかで一度は元本割れの期間を経験するのが、ほとんどの投資信託の宿命であり、投資の宿命だ。
投資信託を買うということは、そういう嫌な日が来るのを分かってて、でも長期的には報われることを信じて、嫌な時期のストレスを前向きに受け入れてがんばります!っていうこと。
能天気だけど尊い「前向きな覚悟」「意志ある楽観主義」によって成り立つ、人生設計の一大プロジェクトだ。だから中途半端にあれこれ混ぜて覚悟が曖昧になるよりは、シンプルに株式100%の株式ファンドでいいと思う。
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僕は投資信託の業界に入って以降、投資関連本をずっと読んでいる。仕事として。その中で、どの本だったかは忘れてしまったんだけど、ある海外の翻訳本に「卵は複数の籠でなく、ひとつの籠に入れておけばよい。大事なのは入れたことを忘れておくことの方だ」みたいなことが書いてあった。
本当にその通りだと思った。
世の中には「長期投資はリスクを減らす」「資産配分が成果の9割を決める」「アインシュタインも認めた複利の力が長期投資のメリット」「ひとつの籠の卵は転ぶと全部割れちゃうので、複数の籠に分けましょう」といった、投資のセオリーらしきものが話されることが多い。
また、プロも「アセットアロケーション」「シャープレシオ」「リバランス」といった、普通の人には実践困難な技術論を語ることがある。でも、できないことを勉強しても時間がもったいない。
君たちはそういうのはすべて気にしないでいい。そんな勉強はしたくないだろうし、してほしくない。投資関連のネットもYouTubeも見ず、楽しいことや大事なことに時間を使った方がいい。ひとつの籠に入れて、入れたことを忘れて、仕事と生活の充実にエネルギーを注いでもらいたいと思う。
株式は確かに怖いけど、他のものと混ぜればOK!でもない
話を戻すけど、株式だけでは怖いからといろいろなものを混ぜる分散投資には、デメリットもあるって話だ。簡単に言えば「たくさんのものに分散すればするほど、日々のブレというリスクは確かに分散されるが、リターンの方も分散されて凡庸になりがち」ということ。
確かに株式100%なんて怖い感じがするから、たくさんのものに分散したくなるのが人情。具体的には、株式とは性質が異なる債券と混ぜるのがいいとされている。1つの投信の中で最初から混ざってるタイプを「バランスファンド」って言うんだけど、確かに日々の値動きはマイルドになることが多い。
でも、株式全体が仮に10年後になんと2倍になったとしても、株式と債券に例えば半々に分散するバランスファンドでは、その基準価額、投信の値段は2倍にはなれてない。株式だけに100%投資するタイプのファンドなら基本的に、その恩恵に100%あずかれる、株式に50%・債券に50%と分散するバランスファンドだったら、株式のせっかくの2倍の上昇は半分の50%上昇分しかゲットできないことになる。わかるよね。混ぜれば正解かというと、そう簡単ではない。
混ぜればいいかどうかは目的による。君らの目的が「20年後にしっかりした額のお金を手にした余裕ある家族になっている」ことなんだとしたら、株式100%の株式ファンドにするというのは、悪くないアセットアロケーションだと僕は思う。全然アセットをアロケートしてないけど。ただ、親とはいえ所詮は他人の意見なので、決めるのは自分たちで。
会社の確定拠出年金はどうしてる?
ところで、2人の会社には確定拠出年金の制度はある?
企業型確定拠出年金、DCとか日本版401kと言われることもある。簡単に言えば退職金制度。会社が給料の他に、従業員の老後のために毎月お金を出してくれて、退職時に渡してくれる。お金は会社が出してくれるんだけど、退職時までの運用方法は個人に委ねられてて、会社が用意したリストから投資信託を選ぶことになる。
実は、みんな最初に会社の説明会を聞くんだけど、そのときはよくわからなくて「怖いから元本確保型っていうのにしておこう。株式なんて怖いし」ってなっている人が結構いると聞く。
これは、かなりよろしくない。企業を超えた大きな問題とされている。
自分たちの確定拠出年金の中身、どうなってるかわかるだろうか? きっと、机の引き出しのどこかに「DCナントカ」っていうウェブサイトの案内の紙があるはずだから探してみてほしい。そこに何のファンドを選んで、今どうなっているかが出ている。
パスワードとかが分からなくてログインできなかったりしがちだけど、ぜひこの機に時間とって人事に相談するなどして何とかログインしてほしい。そこでどういうファンドを選んでいたのか教えてほしい。
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(今福 啓之)
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