相続税の生前贈与加算が3年から7年へ延長!今からできることは?
トウシル / 2022年12月30日 7時30分
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相続税の生前贈与加算が3年から7年へ延長!今からできることは?
2023年度税制改正大綱が発表
先日、2023年度の税制改正大綱が発表されました。税制改正大綱とは、毎年年末近くになると与党が公表するもので、翌年春の国会にて改正される税制の内容などについて記されています。
これを読むことで、近々どのような税制改正があるのかを知ることができます。したがって、もし改正前に事前に対策をすべき事柄があれば、それを立案、実行していくことが望ましいです。その点では、税制改正大綱のあらまし程度は頭に入れておくべきでしょう。
今回、証券税制がらみでいえばNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の刷新が話題になっています。生涯非課税枠が1,800万円まで拡大し、制度が使える期間も恒久化、売却したら非課税枠が復活するなど、今のところかなり評判がよいようです。こちらについては回を改めてお話ししたいと思います。
相続税・贈与税関係では大きな改正が
さて、相続税・贈与税関係の改正は、以前から抜本的なものが行われるとうわさされてきました。贈与税の基礎控除(年間110万円)の廃止や縮小といった話も聞かれましたが、それらについては見送られました。
今回の税制改正大綱によれば、相続人となる人に生前贈与をした場合、相続発生に伴い相続財産に加算する期間を、従来の相続発生前3年間から相続発生前7年間に伸長されることになりました。
これにより、すでにご高齢の方が駆け込みで生前贈与を行って相続税の節税を図ることが難しくなりました。
ただ、生前贈与を相続財産に加算する期間が相続発生前7年間に伸長されるのは、2024年1月1日以降の生前贈与が対象です。
2023年までは従来通り相続発生前3年間のままですので、それまでの間にできることはしておくとよいでしょう。
そもそもなぜ生前贈与は相続税の節税になるのか
ここで、生前贈与を行うことがなぜ相続税の節税につながるのかを簡単にご説明しておきます。
例えば相続税の税率が40%かかるほどの財産を保有している人がいるとしましょう。このまま何も対策せずに相続が発生すると、40%の税率で相続税が課税されます。
しかし、子供2人に年間500万円ずつ、計1,000万円を贈与したらどうなるでしょうか。
500万円を贈与した場合の贈与税の税額は48万5,000円です。税率でみれば9.7%です。
2人に計1,000万円を贈与すると贈与税が48万5,000円×2=97万円かかります。その一方で、相続財産を1,000万円減らせますので、これにかかる相続税の税率40%をかけた400万円が節税できることになります。
400万円-97万円=303万円の相続税が、生前贈与により節税できるのです。
もしこれを5年、10年と行えば節税額も大きくなりますし、子供だけではなく孫に贈与しても、贈与額が大きくなるのでさらなる節税につながります。
何もやらないよりやった方がよい
では、生前贈与が相続財産に加算する期間が、相続発生前3年間から7年間に伸長されたことで、生前贈与そのものを控えた方が良いということになるのでしょうか。
筆者はそうは思いません。なぜなら「何もやらないよりやった方がよい」からです。
もし生前贈与を行わず、特に対策をせず相続を迎えた場合、当然ながら生前贈与による節税メリットはありません。
でも、生前贈与を行った場合、最悪でも生前贈与が相続財産に加算されるだけですので、デメリットにはなりません。単に節税メリットが得られなくなるだけです。
生前贈与後、相続が発生するまで7年(2023年までの生前贈与は3年)経過したならば、節税メリットを享受することができます。
このように、生前贈与を行えば、相続財産に加算されてしまう恐れはあるものの、それによる悪影響はなく、生前贈与後3年もしくは7年経過した後に相続が発生すれば、相続財産から外すことができます。
したがって、生前贈与を相続財産に加算される期間が、相続発生前7年間に伸長されたからといって、生前贈与を取りやめるのはもったいないのです。
2024年の改正までまだ1年あります。この間、生前贈与に加え、他の相続税対策を組み合わせて実行し、節税メリットをできるだけ享受することを検討してみてください。
(足立 武志)
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