米利上げ0.25%、パウエル議長会見「ややタカ派寄り」でもNYダウ・ナスダック上昇
トウシル / 2023年2月2日 7時22分
![米利上げ0.25%、パウエル議長会見「ややタカ派寄り」でもNYダウ・ナスダック上昇](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_40407_0-small.jpg)
米利上げ0.25%、パウエル議長会見「ややタカ派寄り」でもNYダウ・ナスダック上昇
米利上げ0.25%、ややタカ派のパウエル発言でも米株上昇
米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は1日(日本時間2日午前4時)、0.25%の利上げを発表しました。FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を4.25~4.50%(中心4.375%)から4.50~4.75%(中心4.625%)へ引き上げました。利上げ幅は去年12月の利上げ(0.5%)より縮小しましたが、利上げは継続しました。
米10年・2年金利とFF金利の日次推移:2021年1月4日~2023年2月1日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/1/-/img_91496b2817081688df8e02c078b7286f92621.png)
0.25%の利上げは、事前にFRBが示唆していた通りで、まったくサプライズ(驚き)はありませんでした。市場の関心は、今後の金融政策に集中していました。「あと何回利上げがあるか」が関心の焦点です。
事前に金融市場に織り込まれていた市場の期待は、「あと1回0.25%の利上げがあるが、それで利上げは停止」「年後半には利下げもあり得る」と楽観的なものでした。
それに対して、1月31日~2月1日に開かれ、利上げを決めたFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文の内容は、「ややタカ派寄り」でした。利上げ発表後に行われたパウエルFRB議長の記者会見での発言も同様に「ややタカ派寄り」でした。
FOMC声明文に「継続的な利上げが適切」という文言が入り、今後2回以上の利上げが続く可能性が示唆されたため、NYダウ(ダウ工業株30種平均)は一時前日比500ドル超下落しました。
ところが、その後、パウエルFRB議長の記者会見の内容が伝わると買い戻され、1日のNYダウは前日比6ドル高の3万4,092ドルで引けました。IT銘柄の多いナスダック総合指数は、2%上昇しました。
パウエル議長の発言は、市場期待よりは「ややタカ派寄り」でした。さらなる利上げが適切で、想定している経済環境が続けば年内の利下げはないことを示唆し、金融市場の行き過ぎた期待を戒めました。
ただし、それでもパウエル議長の発言が伝わってから、米国株には買い戻しが増えました。「米景気が大幅に減速」「ディスインフレ(インフレ収束)が始まっている」「景気が減速しても労働市場は強い」などの認識を示したため、利上げ停止は近いとの期待をつなぐ内容と解釈されました。
米景気が深刻なリセッション(景気後退)にならないままソフトランディング(軟着陸)する期待につながりました。
長短金利の逆転幅が拡大
0.25%の利上げ実施により、長短金利(10年金利とFF金利)の逆転幅【注】はさらに拡大しました。
【注】長期金利は、短期金利より高いのが「普通の状態」です。ただしFRBが利上げ(短期金利の引き上げ)を続けると、短期金利が長期金利よりも高くなる「長短金利逆転」が起こることがあります。そうなると、金融引き締めによって米景気にブレーキをかけることになります。
米FF金利、長期金利、NYダウ月次推移:2004年1月~2023年2月(1日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/2/-/img_82dd88ba4c9d681120e10b26636c3c8b160764.png)
米国景気には、長短金利が逆転してから半年~1年くらい後にリセッション(景気後退)入りするという経験則があります。
ただし、それはあくまでも経験則で、必ずそうなるわけではありません。今回、米景気は減速してきているものの雇用などは強いままで、これまでの経験則が当てはまらないという見方も根強くあります。
それにしても長短金利逆転幅が開いてきたにもかかわらず、FRBがいつまでも利上げを続けるならば、米景気リセッション入りのリスクが高まります。今後いつ、FRBから「利上げ停止」についてのメッセージが明確に出てくるかが、今後の注目です。
日本株・米国株は良い買い場、少しずつ買い増す投資方針継続
日本株・米国株への投資方針は、毎週述べていることと変わりません。日本株・米国株とも、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。
ただし、短期的なショック安はまだ終わっていない可能性もあるので、リスク管理が大切です。時間分散しながら日本株・米国株への投資を少しずつ増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
▼著者おすすめのバックナンバー
2023年1月31日:しぶとい米景気、クラッシュは回避?利上げ続くとリスクも拡大
2023年1月30日:注目は2月1日米FOMC、米景気「いい湯加減」か。インフレ低下、GDPは強い
2023年1月23日:日本株は長期投資で「買い場」、コアコア・インフレ率上昇が追い風
(窪田 真之)
この記事に関連するニュース
-
NY市場サマリー(9日)S&P・ナスダック最高値続く、ドル上昇、利回り上昇
ロイター / 2024年7月10日 7時35分
-
米国株は上昇し続ける?米景気が次に後退局面に入るのはいつ?(窪田真之)
トウシル / 2024年7月9日 8時0分
-
NY市場サマリー(8日)S&P・ナスダックが連日最高値、ユーロ下落、利回りまちまち
ロイター / 2024年7月9日 7時24分
-
「1ドル=160円超え」で円安進行も、ドル円は緩やかに上昇すると想定 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月2日 16時20分
-
円高転換へのリスク4関門
トウシル / 2024年6月21日 7時30分
ランキング
-
1マクドナルドが「ストローなしで飲めるフタ」試行 紙ストローの行方は...?広報「未定でございます」
J-CASTニュース / 2024年7月17日 12時55分
-
2永谷園、MBO成立=今秋にも上場廃止
時事通信 / 2024年7月17日 20時36分
-
3「レイバン」メーカー、人気ブランド「シュプリーム」を15億ドルで買収
ロイター / 2024年7月18日 8時34分
-
4申請を忘れると年金200万円の損…荻原博子「もらえるものはとことんもらう」ための賢者の知恵
プレジデントオンライン / 2024年7月17日 8時15分
-
5「7%だったら仕方ない」牛丼チェーン松屋が“深夜料金”を本格的に導入 人件費を価格に転嫁【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 20時37分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)