インフレを抑えながら株や資産価格を上げることは出来ない!
トウシル / 2023年3月9日 16時17分
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インフレを抑えながら株や資産価格を上げることは出来ない!
破壊的なバブルを延々と繰り返して膨張と崩壊を繰り返す株式市場
株式市場が急落すると、金融刺激策を大量に投入して救済するという連邦準備制度の暗黙の方針は、今や金融の重力とは異なる保証として受け入れられている。それを世間では「FRBプット」と呼んでいる。
FRB(米連邦準備制度理事会)関係者がどう言おうと、市場が急落すればFRBはすぐに「ピボット」し、金利を引き下げ、QE(量的緩和)を通じて流動性を高めることは誰もが知っている。「The Fed Put」の唯一の可能な結果は信用・資産バブルであり、これが現在、過去23年間で3 回目のこのような記念碑的な投機的バブルを経験している理由である。
FRBは過去20年あまりの間に3回も金利を低く、長く維持しすぎた。その結果、ドットコム・ブームとバスト、住宅バブルとそれに続く大不況、そして今、多くの人が「何でも(エブリシング)バブル」と呼んでいるものが発生した。
米国株市場は連銀の総資産と連動している
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昨今、「FRBプット」のグローバル化のおかげで、モラルハザードは今や世界のあらゆる金融判断の背景になっている。皮肉なことに、株式市場の強気派は、できるだけ早く<景気後退>が始まることを望んでいる。
「FRBプット」、すなわち、金融刺激策を大量に投入して株式市場が急落するとすぐに救済するという連邦準備制度の暗黙の方針は、市場関係者に保証として受け入れられている。FRB関係者がどう言おうと、市場が急落すればFRBはすぐに「ピボット」し、金利を引き下げ、QEを通じて流動性を高めることは誰もが知っている。
これまでのFRBは消費者インフレしか見ておらず、全てのインフレを見ているわけではない。グリーンスパン以降のFRBは後始末戦略となっており、住宅、株式市場、そして新しい現象である暗号通貨における大規模な投機マニアをあえて無視してきたのである。
結果、過去25年間、FRB は株式市場と実体経済を混同してきた。このファンタジーは、資産価格に実体経済を離れた異常な価格をもたらした。貧富の格差の極端な拡大により、FRBは本来の仕事であるインフレを制御する仕事に専念するか、これまで通り、投機バブルを温存するかという選択を迫られている。
3月7日・8日にパウエルFRB議長が半期に一度の議会証言を行った。パウエルは7日の議会上院での証言で、いったん縮小した利上げ幅を再び拡大する可能性を示唆した。最終的に到達する政策金利の水準についても「従来の予想を引き上げる可能性は十分にある」と述べた。
議会証言を受けた為替市場ではドルが買いなおされる展開となっている。先週のレポートで述べたように、ドル/円はしばらく「押し目買い」である。ドル/円は日足と週足のトレンドが一致しておらず、上値を買いあがるような相場ではない。ビッグトレンドは、日足と週足のトレンドが一致したときに到来する。
ドル/円(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ドル/円(週足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ユーロ/ドル(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ユーロ/ドル(週足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ポンド/ドル(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ポンド/ドル(週足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
いずれにせよ、FRBは破壊的なバブルを延々と繰り返して膨張と崩壊を繰り返す株式市場か、富の不平等と投機的狂乱の原動力にもはや翻弄(ほんろう)されない実体経済か、どちらか一方だけを選ばなければならない。
インフレを抑えながら株や資産価格を上げるという両方を行うことはできず、パウエルFRB議長は苦しい立場に立たされている。もしかしたら、パウエルの「インフレとの戦い」は、これまでの「FRBのプット」を終わらせるという最終目標?のために必要な隠れみのなのかもしれない。
米国10年国債金利(月足)1913~2023年
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出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
S&P500とFFレートの推移
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米金利の急激な上昇は、さまざまな形で影を落としている。ベンチャーキャピタルファンドは、2023年にスタートアップが「大量絶滅」すると予想している。2008年には世界的な財政破綻があったが、今年はアーリーステージおよびミッドステージの新興企業の「大量絶滅イベント」が起こるという。
GlobeStによると、新しい調査では、アーリーステージのスタートアップの81%が2023年に破綻に直面するという。株式市場は低迷し、ゼロ金利に浮かれていた日々が徐々に終わりつつある。
「2008年の銀行救済の後、新自由主義はいかなる意味でも信用を失った。これは、新自由主義が消えたということではない。むしろ反対に、依然として政治経済を席巻するのだが、それはもはや、確固たる促進惰性的な死に損ないの欠陥(default)として、そこに存在し続けるのだ」
(マーク・フィッシャー)
3月8日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
3月8日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、「ここからの相場のポイントは!?」・「投資のサイクルはモヤモヤ期?」・「株式市場のテクニカル分析」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
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ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
3月8日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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「投資戦略フェア2023」:石原順セミナーのお知らせ
3月11日(土) 「投資戦略フェア」
石原順講演 D会場 10:30 ~ 11:30
「ノーランディングか?ボルマゲドンか?投資サイクルの狭間の2023年相場を読む」
(後援:楽天証券)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/a/-/img_0a9f6a5bc50a47a332b22f50ebc27738123822.jpg)
石原順講演は、【マーケットナビゲーターのお試し版】 が、<セミナー参加者特典>となっています。
サンプル:「マーケットナビゲーター」のメキシコペソ/円(日足)のテクニカル分析
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ぜひ、ご参加ください。
(石原 順)
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