今週はFOMCに注目。「3月彼岸底」となる可能性も
トウシル / 2023年3月20日 16時12分
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今週はFOMCに注目。「3月彼岸底」となる可能性も
今週の予想
今週は需給の重さは残るものの、割安感は強く底堅さを取り戻す展開に期待
先週末の米国市場は、いったん落ち着いたかにみえましたが、前日に支援が発表された米国地方銀行のファースト・リパブリック・バンクが再び▲32.8%と急落となり、クレディ・スイス銀行も下落したことにより金融システム全体への警戒感が生まれ、日本の相場に与える影響を見極めることが第一です。
米国では、当局が次々に手を打っているので下落は一過性のものと考えられますが、まずは21~22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅と今回の金融不安を踏まえてどういう内容になるのか注目するところです。
日経平均株価は9日に先物主導で2万8,734円まで強引に上昇させられた面があり、その結果、下落も大きく、ここから2,102円安い2万6,632円まで下げました。相場を盛り上げてきたバリュー株(割安株)の多くも値崩れして、指数も戻りが重くなっています。
急激な株価調整が起こりましたので需給の重さはしばらく残るものの、割安感は強く底堅さを取り戻す展開が期待されます。
買いに偏っていた日本株の反動は厳しいものの、短期間で値幅調整となったことで、そろそろ底打ちしてもおかしくありません。日経平均の週足チャートは、昨年からボックス相場を形成しており、その下限が2万6,000円前後となっているため、再度下落しても、この水準が当面の下値メドと考えていいでしょう。「3月彼岸底」が経験則で意識されることになります。
今週の指標:日経平均株価
今週は、米国発の地銀破綻からの金融株全体への警戒感が高まっており、日本株式に与える影響を見極めるところです。特に21~22日のFOMCで利上げ幅と今回の金融不安を踏まえて、どういった内容になるのか注目となります。日本株は祭日を挟んで4営業日ですので様子見が基本となります。
先週の動き
先週の予測では、2万7,500~2万8,500円のレンジの中で、下値を確認したあと2万8,000円水準のもみあいとしました。
ところが、米国で地方銀行の破綻が相次ぎドル安・円高も進行したことで一段安となりました。
週始めの3月13日(月)は、一時▲512円の2万7,631円まで下げて、終値は▲311円の2万7,832円、14日(火)は、▲728円の2万7,104円まで下げて、終値では▲610円の2万7,222円、15日(水)は、小反発したあと、16日(木)は、金融不安が欧州に飛び火したことで、▲596円の2万6,632円まで下げて、終値は▲218円の2万7,010円、週末は、前日の欧米株式が反発したことで、終値は+323円の2万7,333円でした。
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今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)
今週は、地銀2行の経営破綻に加え、ファースト・リパブリック・バンクも複数銀行に支援されたものの、預金流出への懸念が払拭(ふっしょく)せず、金融市場全体に警戒感が広がっています。
また欧州でもクレディ・スイス銀行がスイス中央銀行から資金供給を受けるなど欧州でも金融混乱が広がる中で、ECB(欧州中央銀行)は理事会で予定取り0.5%の利上げに踏み切りました。
この利上げがどういう意味なのか、不安をあおらないために予定通りの利上げだとの市場の見方があります。しかし金融不安は欧米に確実に広がっており、今後の利上げが気になるところです。
どちらにしても利上げは株価にとってはマイナスとなりますので21~22日のFOMCが特に注目となります。
経済指標の発表としては、2月中古住宅販売件数、週次新規失業保険申請件数、2月新築住宅販売件数、3月カンザスシティ連銀製造業活動指数、2月耐久財受注、3月製造業PMI(購買担当者景気指数)が予定されています。今週も金融不安が上値を抑えそうです。
先週の動き
先々週末のシリコンバレーバンクの破綻に続き、シグネチャーバンクも破綻したことで、▲90ドルの3万1,819ドルと5日続落。14日(火)は、銀行株の買い戻しが強まり、また、2月消費者物価指数は予想通り鈍化したことで、金融引き締めへの過度な警戒感が和らぎ、+336ドルの3万2,155ドルと6日ぶりに反発。
しかし、15日(水)は、金融不安が欧州にも飛び火したことで、▲280ドルの3万1,874ドルと反落しましたが、16日(木)に大手銀行による支援策の協議報道を受け、+371ドルの3万2,246ドルと反発しました。
週末は大手11銀行から支援を受けることが発表されて反発していた米地銀のファースト・リパブリック・バンクが▲32.8%と急落し、クレディ・スイスも下落したことで金融システム全体への警戒感から、NYダウは▲384ドルと反落しました。
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今週の指標:ドル/円
今週は、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げ継続の方針を変えていませんが、シリコンバレーバンクの破綻をきっかけとした金融システム不安がくすぶり、金融支援策が発表されても市場の警戒感は払拭されず、またECBはインフレ抑止を優先させる政策方針を決定し、FRBもこの動きに追随するとの見方も多いようです。
直近のインフレ関連指標はインフレ緩和を示唆しており、21~22日開催のFOMCでは0.25%の利上げにとどまると見られています。
FOMC会合終了後に公表される声明で、インフレ抑制に前向きな姿勢を緩めず、利上げ継続を示唆した場合、リスク回避のドル売り/円買いは縮小する可能性があり、金利上昇による金融市場の逼迫(ひっぱく)によって米国は景気後退に陥る恐れもあることから、利上げが実施されてもリスク選好的なドル買い/円売りは拡大せず、ドルは伸び悩む可能性があります。
レンジは130~133円を予想。
先週の動き
先週のドル/円は、米地銀の相次ぐ経営破綻を受け、金融システム全体への警戒感から、ドルが売られ長期金利が低下しました。週始めは、1ドル=136円台にあったドル/円が週末には、米地銀ファースト・リパブリック・バンクの再びの急落を受け、132.71円から131.56円まで下落し、131.92円で引けました。
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先週の結果
先週は、米地銀の相次ぐ破綻で金融不安から日経平均は一時2万7,000円割れ
先週の予測では、週末10日(金)に米国でシリコンバレーバンクが破綻したことで、リスク回避から2月雇用統計の結果は強弱入り交じる中、NYダウは一時▲471ドルの3万1,783ドルまで下げ、終値は▲345ドルの3万1,909ドルと4日続落となりましたが、この時点の予測では、シカゴの日経先物が▲335円の2万7,525円となっていたことで、レンジを2万7,500~2万8,500円とし、下値を確認したあとは2万8,000円水準のもみあいとしました。
13日(月)の日経平均は、一時▲512円の2万7,631円まで下げて、終値は▲311円の2万7,832円となりました。
この日の米国市場では、先週のシリコンバレーバンクに続き、シグネチャーバンクも経営破綻しました。これによりNYダウは一時▲284ドルの3万1,624ドルまで下げましたが、バイデン大統領の金融不安はないとの発言などにより3月FOMCでの0.5%の利上げ見通しは後退し、0.25%の見方が広がり、NYダウは▲90ドルの3万1,819ドルまで戻しました。
しかし、14日(火)の日経平均は、シカゴ日経先物が▲490円の2万7,160円となっていたことで、一時▲728円の2万7,104円まで下げ、終値では▲610円の2万7,222円と3日続落となりました。
15日(水)は、一服となって+7円の2万7,229円と4日ぶりに小反発するものの、16日(木)は、前日の欧米市場で金融不安が欧州に飛び火し、NYダウは一時▲725ドルの3万1,429ドルで、終値は▲280ドルの3万1,874ドルとなり、シカゴ日経先物は▲560円の2万6,490円となっていたことで、一時▲596円の2万6,632円まで下げ、後場には下げ渋って▲218円の2万7,010円と何とか2万7,000円を終値で維持しました。
週末の17日(金)は、前日の米国市場で大手銀行による支援策が出たことで、3指標がそろって反発、先物主導で戻りを試す動きとなりました。前場は2万7,200円水準を上値にもみあっていましたが、後場になると先物買いによって次第に盛り上がり上げ幅を拡大し、+345円の2万7,356円まで上昇し、終値は+323円の2万7,333円でした。
週末の米国市場では、大手銀行の支援にかかわらず、米地銀のファースト・リパブリック・バンクが再び▲32.8%と急反落し、また、クレディ・スイス銀も下落したことで、金融株全体への警戒感が続き、NYダウは▲384ドルと反落しました。ドルは131.56円まで売られ、シカゴ日経先物は▲320円の2万6,710円となりました。
(出島 昇)
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