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金融不安やや低下。日経平均、そろり上値うかがう

トウシル / 2023年4月3日 7時50分

金融不安やや低下。日経平均、そろり上値うかがう

金融不安やや低下。日経平均、そろり上値うかがう

米金融不安、利上げ不安やや低下、日米とも株価上昇

 先週(3月27~31日)の日経平均株価は、前週末終値(2万7,385円)から1週間で656円上昇して2万8,041円となりました。米金融不安、米利上げ継続の不安がやや低下したことを受けて、米国株が上昇した流れから、日本株にも外国人と見られる買いが増えました。

 3月の米国株は、金融不安・利上げ不安に振り回されて、3月前半に下落、後半に上昇しました。

3月6~31日の日米株価指数の動き:米利上げ不安・金融不安が影響

出所:楽天証券経済研究所が作成

【1】3月第2週(6~10日)

 米シリコンバレー銀行の株価が急落、3月10日に破綻。続けて3月12日にシグネチャー銀行が破綻。これをきっかけに、欧米に金融不安が広がり、世界的に金融株が売り込まれました。

 また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が7日の議会証言で、「必要ならば利上げ幅を再び拡大することもあり得る」と発言したため、利上げ加速の不安も高まりました。

【2】3月第3週(13~17日)

 欧米の金融不安はさらに深刻になりました。欧州では、かねてより経営不安がうわさされていたクレディスイス(CS)の株価が急落、預金流出の危機が高まりました。

 米国では、地方銀行全般に信用不安が広がりました。世界中で、金融株の下落が加速しました。

 一方、金融不安が高まったことにより、FRBが利上げに慎重になるとの見方が広がり、米国で2年金利が急低下しました。その恩恵で、米国株が反発しました。

【3】3月第4週(20~24日)

 欧米の金融当局が、金融不安を抑えるために「なんでもあり」の対策を発動した効果で、金融不安は低下すると、一部に楽観的な見通しが出ました。

 一方、3月22日、FRBは0.25%の利上げを実施し、さらに年内あと1回の利上げを示唆したため、早期利上げ停止の期待は低下しました。

【4】3月第5週(27~31日)

 銀行不安・利上げ不安がやや低下したことをうけて、米国株は続伸しました。米国政府・中央銀行による対策で、米銀行不安はやや低下しました。

 また、3月31日発表の、2月の米個人消費支出(PCE)物価指数(コア指数)の伸びが4.6%と、市場予想(4.7%)を下回ったことから、米インフレ低下が順調に進んでいるとの見方が出て、米利上げがさらに続く不安がやや低下しました。

日経平均とナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年3月末

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 昨年(2022年)10月以降、米国株だけでなく、中国株や欧州株の上昇も続いています。リセッション(景気後退)の不安が高まっていた中国・欧州景気に回復の兆しが強まっていることが背景です。以下のチャートをご覧ください。

独DAX指数・上海総合指数・ナスダック指数の動き比較:2021年末~2023年3月末

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

米景気堅調のうちに利上げ停止になる?

 FRBは依然として、強硬タカ派姿勢を取り続けていますが、金融不安が続くことにより、いずれ利上げ停止、ハト派転向もあり得るとみています。

 つまり、金融不安の影響として私が考えている以下四つのシナリオのうち、シナリオ1が実現する可能性が高いと考えています。

シリコンバレー銀行破綻から始まった金融不安の影響、四つのシナリオ

出所:筆者作成

 上記シナリオ1を前提に、2023年末の日経平均は3万1,000円まで上昇すると予想しています。ただし、一本調子の上昇は見込めません。まだ欧米の金融不安、FRB利上げによるショック安は続くかもしれません。日経平均は急落・急騰を繰り返しながら、少しずつ下値を切り上げていくと予想しています。

 もう一つの注目点は、金融危機が起こるか否かです。歴史的に、金融危機は、不動産価格が急落して銀行に不良債権が増大するときに起きています。1990年代の日本の金融危機も、2008年の米国のリーマンショックも、不動産価格の下落による不良債権の増加がひきおこしました。

 現在の銀行不安は、金利上昇のピッチが速すぎて保有債券に損失が発生していることが、引き金となっています。まだ不動産関連の不良債権が増加しているとはみられておらず、現時点で、金融危機が起こる状況にはなっていません。

 ただし、オフィス価格が下落し、オフィスローンの貸し手が減ってスプレッドが拡大していることに注意が必要です。このままFRBが利上げを続け、オフィス価格のさらなる下押しがあれば、不良債権が増加して金融危機が起こる可能性はあります。

 メインシナリオとして、上記シナリオ1を考えているものの、シナリオ2・3・4のリスクも残っているので、注意しながら当面の成行を見ていく必要があります。

日本株の投資判断

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。

 ただし、米利上げが続くことによる短期的なショック安はまだあるかもしれません。時間分散しながら割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。

▼著者おすすめのバックナンバー

2023年3月27日:米国株を直撃した「二つの金利上昇」、銀行不安の行方を予測
2023年3月23日:米利上げ0.25%、金融不安への配慮よりインフレ抑制を優先

(窪田 真之)

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