ドルはもう終わりだというロバート・キヨサキの警鐘とバフェットの頭の中
トウシル / 2023年4月13日 16時33分
![ドルはもう終わりだというロバート・キヨサキの警鐘とバフェットの頭の中](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_41135_0-small.jpg)
ドルはもう終わりだというロバート・キヨサキの警鐘とバフェットの頭の中
ロバート・キヨサキ:「ドルはもう終わりだ」
『金持ち父さん貧乏父さん』で有名なロバート・キヨサキは、「ドルはもう終わりだと確信しており、人々は現在銀行に預けている資金を守るために急速に対策を講じる必要がある」と述べたという。キヨサキは、銀行危機はまだ始まったばかりだと断言している。経済危機が迫っていると警告し、その対策として、ゴールド、シルバー、ビットコインへの投資を行っている。
ゴールドCFD(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
シルバーCFD(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ロシアのウクライナ侵攻は、米国が中央銀行の準備金を制裁する意思があることを示した。米国が<ドルを武器化>する用意があることを示した今、FRB(米連邦準備制度理事会)や欧米の銀行、その他の取引先が保有するドル準備は、政治的に没収されかねないということである。
脱・ドル化の動きについては先週のレポートにも書いたが、ドルに代わる魅力的な通貨として、暗号通貨や中央銀行のデジタル通貨、あるいは特定の国や地域の競争優位性を表す商品バスケットなどが議論されている。
ニューデリーで開催されたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの協力関係強化に焦点を当てた会議は、まさにこのようなプランに触れた。このような通貨秩序のバリエーションは「ブレトンウッズ3」と呼ばれている。
もちろん、ドルの基軸通貨としての権威がただちに崩壊するわけではない。1944年のブレトンウッズ会議以来、ドルは国家間の国際貿易収支の決済に使われる唯一の通貨であった。しかし、訪中したマクロン仏大統領は、米国から離れた「戦略的自治」を構築するというメッセージを、習近平(シー・ジンピン)との中国訪問時に声高に主張し、ワシントンを落胆させた。欧州の一部の人々は、ワシントンによるドルの「武器化」に不満を漏らしており、欧州でも米国離れの動きが始まった。「米国の追従者」になるだけでなく、「自分たちのものではない危機に巻き込まれないように」というマクロンの呼びかけは、欧州の指導者たちにも受け入れられているようだ。
ドルの優位性を武器にした米国のおごりから始まった脱・ドル化の流れだが、1971年のニクソンによる金兌換(だかん)の停止は、歴史の全ての通貨制度と同様にドルの終焉(しゅうえん)を迎えることを告げるものだった。バイデン政権が破壊したペトロダラー(ドル・石油本位制)は、これから長い時間をかけて失墜していくだろう。
ドルインデックス先物(日足)
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出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
ドル/円(日足)
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ドル/円(週足)
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ユーロ/ドル(日足)
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ユーロ/ドル(週足)
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ポンド/ドル(日足)
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ポンド/ドル(週足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ブレマーの言うように、米国もドルの下落に対して指をくわえて見ているわけではない。しかし、今後のドルの防衛には米国金利の上昇が必要条件となってくる。ここで、米国の当局はかなり苦労することは間違いない。米国経済を破壊してまでペトロダラーを守ろうとするのか、それとももっと悪いこと(新たな戦争)をするのか、見ものである。
いずれにせよ、紙(ペーパー・マネー)の時代は終わった。私たちの生活を支えるには、金融よりも、モノの方がはるかに重要であることがわかったからだ。
ウォーレン・バフェット:「銀行破綻はまだある」
中央銀行は、100年以上前に始まり、現在の危機をつくり出した主役だ。以下は、誤った中央銀行の政策が生んだ2000年代の重要な出来事である:
●2000-2002 市場崩壊: ハイテク株80%ダウン
●2006-2008 サブプライム・バンキング危機: ダウ工業株30種平均は54%下落、大量の紙幣を印刷
●2009-2021 株と資産市場が爆発的に上昇: NYダウは6倍、ナスダック総合指数は16倍に上昇
●2006-2020 金利の操作: 米国10年物国債が5.4%から0.5%へ低下
●2000-2023 米国の債務が爆発的に増加: 2000年の2,700万ドルから2023年の9,500万ドルへ3.5倍増
●2000-2023 世界的な債務爆発: 2000年の100兆ドルから2023年には3倍の300兆ドルへ増加
●2020-2023 米国とEUの実質インフレ率: 2020年の0%から2023年は10%以上に上昇
米国は利上げをしないとインフレ懸念が浮上し、利上げをすると景気後退や株の下落を招来するというデッドエンドを迎えている。
来日し日本株ブームを巻き起こしているバフェットだが、一方で、「銀行の破綻が増える可能性が高い」と述べている。バフェットの頭の中にあるのは、日本の5大商社よりも金融危機である。
バフェットは金融危機時に金融機関に投資を行い大成功した。2008年の世界金融危機の際、ゴールドマン・サックス・グループ(GS)に50億ドルを出資した。また、バンク・オブ・アメリカ(BAC)は2011年にサブプライム住宅ローン絡みの損失での株価が急落した後、バフェットから資本注入を受けた。
バンク・オブ・アメリカ(日足)
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出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
バフェットは金融マフィアでもある。リーマンショックに続いて、規格外の安値で金融株をまたもや手に入れることになるのだろうか? ただ、本格的な金融危機というか、<金融システムの崩壊>はまだ先である。そのトリガーは利下げが引く。
相場の次の大きな転換点は利下げ!?
相場の次の大きな転換は、何度も言っているように「利下げ」である。利下げまでの相場は、言葉は悪いが「遊び相場」といえるだろう。利上げ停止期間が長ければ株も上げるかもしれないが、その後が怖い。
セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁のように一部のFRB高官は、中央銀行に利上げ政策の継続を迫っている。これについてサマーズは、FRBは非常に難しい決断を迫られていると思うと述べ、FRBがそうした政策を継続することに確信を持っていない。
そして「はっきりしているのは、現在の引き締めサイクルは非常に終盤に差し掛かっているということだ」と論じた。これからの市場は「インフレ」から「景気後退」へとマーケットテーマが変わっていきそうだ。
現在のFFレート(政策金利)の市場の予想
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ナスダック100と2年国債金利の推移
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出所:石原順
歴史は「ピボット」が本当の暴落の引き金になることを示している
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FRBのインフレファイトと景気後退
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出所:クリエーティブプランニング
ウォール・ストリート・ジャーナルは、「このところIT(情報技術)や金融サービスなど賃金水準の高い業界で失職する人が増えているが、こうした業界のホワイトカラー従業員は正式解雇の数カ月前に通知される例が多く、まだ本格的には指標に表れていない」と述べている。
いずれにせよ、失業率は歴史的な低水準で推移しているが、失業率の底打ちは、1950年代以降、体系的に市場の天井を導いてきた。市場は失業率の底打ちでベアマーケットラリー(大局的な弱気相場の中での反発)の戻り天井を付けるだろう。
失業率の底打ちは、1950年代以降、体系的に市場の天井を導いてきた
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S&P500CFD(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
ナスダック100CFD(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
2000年から2002年にかけてのNASDAQ弱気相場の上昇を「強気相場」だと思っていた方へ
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4月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
4月12日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、「ウォーレン・バフェット狂騒曲」・「バフェットの本音と金融危機」・「アリババのAI」・「中国はAI禁止」・「恒大集団の現状」・「国家管理相場の下げはのろくて長い?」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
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ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
4月12日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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(石原 順)
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