壊れるまでは全てが順調だ!
トウシル / 2023年6月1日 16時16分
壊れるまでは全てが順調だ!
選挙までは日銀の利上げなし!?
日本株の上昇について、前田昌孝(マーケットエッセンシャル主筆)は、「株高の理由がいろいろ語られているが、経営者がダメだったり、高給だが働きの悪い中高年社員を多く抱えたりしている企業を外資に買収してもらうという官僚主導の政策が背景にありそうだ。経産省も外資が動きやすいようにいろいろお膳立てをしている感じだ」と、ツイートした。
日経平均CFD(日足)
5月31日のブルームバーグの報道『日銀緩和修正は早くて10月、金融システム配慮や選挙が制約-桜井氏』によると、「日銀の金融政策運営について、現在の大規模な金融緩和策の修正は早くても10月以降になる可能性が大きい。金利上昇が金融システムに及ぼす影響や衆院解散・総選挙への思惑などが制約要因になる」との観測が報道されている。
世界の中央銀行の最新情報
選挙まではバラマキと低金利と株高を続けるということかもしれないが、選挙の後は利上げと一段の増税であろう。
カネをばらまくより、減税をやって消費を刺激し、企業の利益も増え税収も増えていく好循環に持っていくべきなのである。しかしながら、現在、日本は周回遅れのMMTの方向に向かっている。
経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは政府から十分な支援を得てしまえば資本主義は停滞すると信じていた。超低金利と膨れ上がる中銀資産には大変な副作用がある。政府に際限なくおカネを使わせてしまうことだ。
米国の10年国債金利と日本の10年国債金利(週足)
ドル/円(日足)
債券王のジェフリー・ガンドラックは、「MMTについてどう思うか?」と聞かれ、「すでにどんな考えも許容されるところにこの世の中は来ている。日本は負債をものすごく増やした。しかしその結末としては30年前の株式市場の最高時から30年たってもまだ半分しか回復していないということ以外何もない。
ゼロ金利、国の負債の増加、経済的に成功していないという事実の間に何か相関があるのだろう。フェアで機会がある良い社会をつくろうというのがMMTであっても、実際には結果は逆となり、本当の問題を見過ごしていることにすぎない」と、答えている。
日本の成長率のダントツの低さ
債務上限問題をめぐる茶番と大本営発表
米国の債務上限問題が片付いて、株式市場が上昇するのだという。見ていないので知らないが、TVでもそういう報道をしているらしい。
米国の連邦債務と2053年までの予測
コロナ下の2年間、バイデン政権はMMT政策で小切手をばらまきインフレを招来した。
そして、軍産複合体(戦争屋)のかいらいであるバイデン政権は、さらにウクライナで代理戦争をしかけて、おまけにドルを武器化し、ロシアの一部銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)の国際決済ネットワークから排除したほか、ロシア中銀が西側中央銀行に預けている外貨準備を凍結した。
ロシア(世界最大の商品輸出国で核保有国、世界最大の工場所有国で核保有国である中国と結託している)に対して通貨とエネルギーの戦争を仕掛けることが、なぜ悪い考えであったのかがわかるだろう。これは明らかに、イランやベネズエラに制裁のけんかを売るのとは違う。
壊れるまでは全てが順調だ。米国で次に崩壊するのは労働市場である。60年にわたるデータから、金利の上昇は常に事態を悪化させることが確認されている。しかし、このような金利の上昇を、米国(および世界)の歴史上最大の債務危機という文脈に置き換えると、「破綻」は本当に醜いものになる。
米国は債務上限を引き上げてデフォルトしないことで、本当の破滅への道へとまた一歩進んだのである。
そして、このような分裂、内輪もめの中で、金利上昇という現実が歴史的に前例のない債務水準と衝突し、ヘミングウェイが貧困を表現したのと同じように、あらゆる層の米国人を押しつぶすことになる。
「ゆっくりと、そして一気に」
「2年を切った2025年1月までに、負債は31.4兆ドルから36兆ドルへと増加することになる。そのために歳出改革は行わず、形だけの500億ドルの削減を行うのか? 彼らは、未使用のCOVIDの資金を取り戻した。時間の無駄だ」と向こうの掲示板でやゆされているが、多くの市場関係者は無関心だ。
ジョージ・オーウェルの言うように、「自由は奴隷制、無知は強さ」である時代が到来している。
帝国のビッグサイクル
無関心の中で全体主義は進んでいく。
「カラスなぜ泣くの?カラスの勝手でしょ?」
そう、カラスの勝手…。
世界を見つめてごらん。きっとキミの信じているもの全てが壊れていくときが迫っている。
5月31日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
5月31日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、楽天証券オーストラリア社長の永倉さんをゲストにお迎えして、「豪ドルの見通し、豪州の物価、不動産事情、キャッシュレス経済の動向」・「リーマンショック以降のバブルはグランドフィナーレを迎えている」・「植田日銀の無策と円安相場」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
5月31日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
セミナーのお知らせ:『相場の大転換点がやってくる!?』
2023年6月14日(水)20:00〜21:30
米国経済の減速が予想される中、FRBがいつどのような状況で利下げや量的緩和に転じるか?
今後の海外および日本の金融・経済情勢の先行きは?
石原順が『相場の大転換点がやってくる!?』と題して講演いたします。
どなたでも無料でご視聴いただくことができます。
開催時刻になりましたら、視聴ボタンまたはこちらよりご覧ください。
ぜひ、ご参加ください。
(石原 順)
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