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波乱の今週、FRB、ECB、日銀の金融政策決定会合が集中!7月以降の政策示唆が鍵

トウシル / 2023年6月14日 16時0分

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波乱の今週、FRB、ECB、日銀の金融政策決定会合が集中!7月以降の政策示唆が鍵

日米欧の「中銀ウイーク」、為替相場に新たなトレンドも

 ドル相場は、3週連続で1ドル=138円前後から141円のレンジで推移しています。今週は13日~16日まで日米欧の中央銀行の金融政策決定会合が集中している「中銀ウイーク」であるため、それらの結果が出るまで、為替相場は動きづらい地合いとなっているようです。

 米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)は13、14日、ECB(欧州中央銀行)理事会は15日、日本銀行の金融政策決定会合は15、16日の開催となります。

6月15日 午前3時 FOMC終了後の声明文(政策決定)発表

    午前3時30分~ FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の記者会見
    午後9時15分    ECB政策決定公表
    午後9時45分~  ECBラガルド総裁の記者会見

6月16日  正午前後の見込み   日銀政策決定公表
           午後3時30分~  日銀植田和男総裁の記者会見

 以上のようになり、それぞれの会合終了後に相場は上下に動くと思いますが、一連の会合が終了した時点で、相場のトレンドが出てくるかもしれないため注意が必要です。FOMC終了後円安に動いても、日銀終了後は円高に動き、その後も円高のトレンドを作るというシナリオの場合です。

 もちろん、逆のシナリオもあり得ます。1ドル=138円以下の円高に動くのか、141円以上の円安に動くのか、あるいは138~141円のレンジにとどまることもあり得るかもしれません。

FOMC、7月以降の利上げ再開あるか焦点!金利見通しから判断

 現在の予想では、FOMCは6月会合では利上げを見送り、7月以降の利上げが大勢となっています。13日、米国5月CPI(消費者物価指数)が発表されました。伸び率は前年同月比4.0%上昇となり、4月の4.9%より大きく鈍化しました。この発表直後、ドルは下落し、1ドル=139円割れ寸前まで円高にいきました。また、6月の利上げ休止はほぼ確実視されたようです。

 ただ、エネルギー・食料を除いたコアCPIの伸び率が4月の5.5%から5.3%に鈍化したとはいえ、高水準を維持しています。そのため、FRBは7月以降の利上げ再開のシナリオに変更はないとの見方から、金利は上昇し、円安に動き、1ドル=140円台に乗せました。

 先行きの政策金利の織り込み度を示すFedウオッチによると、CPI発表を受けて、6月のFOMCは利上げ見送りの確率が高いままですが、7月は利上げ予想が高まりました。

 7月以降の利上げ再開を確認するためにも、FOMCの金利見通しにも注目です。FRB内で7月以降の追加利上げの見方が高まっているのであれば、3月時点の2023年末金利見通し5.125%(中央値)がどの程度上方修正されるのか重要になります。

 修正幅によって、あと何回の利上げがあるかを見極めることができます。一方で、FOMCの各参加者の見通しにばらつきがあり、高い金利水準を見込む参加者がいても中央値でそれほど上方修正されていなければ(0.25%未満)、利上げ再開の期待は高まっても失望感の方が勝るかもしれません。  

 同時に発表される2024年末の金利見通しにも注意したいです。今年3月時点の見通しでは、2024年末は4.25%(中央値)と2023年末から低下しています(▲0.875%)。しかし、今回、2024年末までの1年間で同じような低下幅の見通しとなるのか、あるいは低下幅が縮まるのかどうか気を付けたいです。

 2023年末と2024年末の見通しがともに上方修正されても今年3月時点とこの1年間の低下幅が同じであれば、あまり影響はないかもしれません。しかし、低下幅が縮まるのであれば、利下げ時期が後退するとの見方が強まり、ドル買いに反応することが予想されるため注意する必要があります。

ECB、7月利上げ示唆あってもユーロ高とは限らず

 ECBについては、0.25%の利上げ予想が大勢となっています。ユーロ圏の物価高が鈍化傾向にあるとはいえ、高水準が続いています。ECBのラガルド総裁はタカ派姿勢を維持するのかどうか、7月の利上げあるいはそれ以降の利上げを示唆するのかどうかしっかり把握したいです。

 ただ、ユーロの動きはFRBの政策の影響を受けるため、ECBが政策金利を引き上げたり、7月の利上げを示唆したりしたからといって素直にユーロ高になるとは限らないので注意が必要です。

日銀、7月公表の物価見通し引き上げ示唆なら円高に

 日銀の金融政策決定会合については金融緩和政策の現状維持の見方が大勢となっております。ただ6月会合では変更がなくても7月に変更(もしくは変更の準備)を示唆する期待はくすぶっています。6月16日の植田総裁の記者会見でどんな発言をするか見極める必要があります。

 また、*物価見通しにも着目したいです。植田総裁は、「2023年度半ばにかけてかなりはっきり下がっていく見通しを持っている」と説明しています。しかし、6月から電気料金が上がる中、7月公表の展望レポートの物価見通しを修正する(引き上げる)可能性を示唆するのかどうか注目したいと思います。

 物価見通し引き上げは、金融政策の引き締め方向への政策変更につながる可能性があるため、円高に反応しやすくなります。

* 物価見通し。毎年1、4、7、10月の年4回の「展望リポート」で公表。日銀のCPI(生鮮食品を除く)の前年度比上昇率の見通しは以下の通り。
  2023年度 1月時点1.6% → 4月時点 1.8% に上方修正
  2024年度 1月時点1.8% → 4月時点 2.0% に上方修正

 ちなみに、日本の生鮮食品・エネルギーを除くCPIの伸び率は昨年5月(前年同月比0.8%)以降、上昇を続け、4月は4.1%となっています。日米の物価格差が縮まってきている中、植田総裁は物価見通しについてどんな意見を述べるか耳を傾けたいです。

 また、衆議院解散の思惑が高まっていますが、解散しても日銀の政策に影響は与えないと思います。選挙結果が与党大勝、与党大敗となれば、大勝→株高→円安、あるいは大敗→株安→円高という形で為替に影響を与えるかもしれません。

カナダ中銀の利上げ、FRB政策に影響は?

 6月初旬に豪中銀(オーストラリア準備銀行)やカナダ銀行(中央銀行)が予想外に利上げしたことにも留意しておく必要があります。豪中銀は6日、2会合連続の0.25%の利上げを決定しました(政策金利4.1%)。4月に据え置き、5月に0.25%の利上げ、6月は据え置くとの見方が多かっただけにサプライズとなりました。

 カナダ銀行は7日、0.25%の利上げを決定(政策金利4.75%)。カナダ銀行は3月に利上げを停止し、4月も据え置きました。今回も据え置き予想でしたが予想外の利上げとなりました。両中銀ともインフレは依然高水準と指摘し、利上げ停止が失敗だったことを裏付けました。カナダ銀行の決定はFRBに先行することが多いことから、FRBに波及するかどうか今回も注目されました。

 ただ、FRBのパウエル議長は5月に地銀破たんが相次いだことを背景に「信用状況が逼迫(ひっぱく)する中、目標達成のために政策金利をそれほど引き上げる必要がないかもしれない」と述べています。コアCPIが高水準を維持していても、銀行による融資基準厳格化など信用状況が逼迫する効果を見極めたいという意識の方が強そうです。

 このようにカナダとは状況が違うため、6月のFOMCの決定に際し影響を受けにくいと思われます。しかし、7月以降の利上げ再開についてどの程度タカ派的なトーンになるか、記者会見の発言に注目したいと思います。

(ハッサク)

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