FOMC議事録でドル買い再燃。ドル/円は今週にもレンジ脱出か?
トウシル / 2023年7月6日 10時18分
FOMC議事録でドル買い再燃。ドル/円は今週にもレンジ脱出か?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは144.95円
↓下値メドは143.15円
ロシア:対ロ経済制裁はウクライナ戦争を終わらせるほどの効果を上げることができなかった
ECB:カザークス・ラトビア中銀総裁「FRBが利下げしたあともECBは利上げを続けるだろう」
ECB:ビルロアドガロー理事「利上げの最終局面に近づいている」
欧インフレ:食料品やエネルギーよりもインフレの二次的効果を懸念
円安:日本の機関投資家、2カ月連続で4兆円の米国債購入
市況
この日の外国為替市場のドル/円は、小幅ながらも上昇した。海外市場では144円台前半まで下落する場面もあったが、FOMC議事録が公表されたあとは再び買いが優勢となった。FOMC議事録では、参加者ほぼ全員が、今後さらに利上げが必要との認識であることが明らかになった。内容が予想よりややタカ派的トーンだったため、ドルは144円台後半に戻した。
7月5日(水曜)のドル/円は、前日比「円安」。24時間の値幅は0.65円。
2023年133営業日目は144.42円からスタート。東京時間夕方144.74円まで上昇したが、145円台乗せは3日連続で失敗に終わった。海外市場では夜遅くには144.08円まで下げたが、FOMC議事録のタカ派的内容を受けて再び反発した。終値は144.67円(前日比+0.21円)。
ドル/円は日本銀行の緩和姿勢と通貨当局の介入警戒感の綱引きで上下が抑えられる状況。今週発表される米雇用統計まではレンジ脱出のきっかけになりそうだ。
レジスタンス:
144.74円(07/05)
144.70円(07/04)
144.91円(07/03)
サポート:
144.08円(07/05)
143.98円(07/03)
143.72円(06/28)
2023年 ドル/円 データ
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
あらゆる創作行為は、まず何よりも破壊行為である - パブロ・ピカソ
Two of Hearts
日本のインフレ率はすでに日銀が目標とする2%を超えたというのに、日銀がまだ金融緩和の継続に固執しているのはなぜか。それは「金融抑圧」のためだろう。金融抑圧とは、インフレと低金利を組み合わせることによって、政府の債務を非常に低い金利でファイナンスし、究極的には膨張した政府の借金の棒引きを図ることを目的とする政策である。第2次世界大戦後、戦費調達で公的債務が膨張していた多くの国々でこの政策が採用されていた。
インフレはモノの値段が上がることだが、相対的に円の価値が下がるということでもある。借金をしている人(政府)は、インフレになれば返済するお金が少なくなる。お金の貸し手側(投資家や預金者)から見ると、受け取るお金の価値が減るのが、その分金利上昇による運用益(利息)が増えるため、市場原理が正常に機能している市場においては、プラスマイナス・ゼロになる。
ところが日銀が人為的に国債利回りを低く抑えつつインフレを発生させることによって、借金をしている政府は、低利息で利払いを軽減させながら、お金の価値の減少させることによって債務残高を縮小することが可能になる。
インフレ率を2%以上にして、国債金利を0.25%に固定する状況を安定的に達成できたなら、日本政府の借金は30年後に実質的には半分近くまで減少するとの計算がある。これが緩和政策の究極の目的だといわれている。
金融抑圧は、借金を抱える政府にとっては、増税や歳出削減など痛みを伴う改革を行わずに済ませることができて良いことづくめである。しかし、そのしわ寄せは、貸し手である国民に来るのだ。ある調査によると、日銀の超低金利の20年間で国民が失った預貯金の利息収入は164兆円とも言われている。
緩和政策の副作用が、円安となって現れているのがはっきりしているのに、為替は管轄外だと日銀は見て見ぬふりをしている。政府も、問題なのは円安の「速度」であって、円安そのものが悪いとはひとことも言っていない。本音では、「もっと円安になれ」と願っているのではないか。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
ヒートマップ分析(円ベース、ドルベース)
2023年の通貨の強さのランキングチャートです。
(荒地 潤)
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