新NISA(ニーサ)について:読者の質問に窪田真之が回答
トウシル / 2023年7月11日 7時0分
新NISA(ニーサ)について:読者の質問に窪田真之が回答
今日は、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)について読者の皆さまからよく受ける、以下四つの質問に回答します。
【質問1】新NISAで、何が変わりますか?
【質問2】今楽天証券でNISAやってます。新NISA始めるのに、何か手続き必要ですか?
【質問3】NISA口座を某証券会社から楽天証券に引っ越しさせたいのですが、今年分の一般NISAの非課税投資枠120万円+利益は解約しなければなりませんか?
【質問4】新NISAでは毎月分配投信はなくなるのですか?
質問1:新NISAで、何が変わりますか?
NISA制度が2024年から、がらりと変わります。2024年から始まる新NISAについて、知っておくべき重要ポイント三つを、解説します。NISA口座で購入した金融商品の配当金や譲渡金などに税金がかからないことは変わりませんが、年内で終わる「現行NISA」との比較で、説明します。まず、以下の比較表をご覧ください。
<現行NISA:年間の拠出可能額>
<新NISA:年間の拠出可能額>
【重要ポイント1】毎年、新規に付与される非課税投資枠が360万円と、大幅に拡大します。
現行NISAでは、1年間に新規に投資できるのは「つみたてNISA」を選んだ年は40万円、「一般NISA」を選んだ年は120万円でした。どちらか一つを選ぶ必要があります。
新NISAでは、「つみたて投資枠」(つみたてNISAの後継)の投資枠が120万円に拡大し、「成長投資枠」(一般NISAの後継)の投資枠が240万円に拡大します。両方同時に利用できるので「つみたて投資枠」「成長投資枠」合わせて、毎年、新規に360万円まで投資できます。
【重要ポイント2】非課税期間が「無期限」となります。
現行NISAでは、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年で非課税投資期間が終了します。新NISAは、売却しない限り、非課税投資が永遠に続きます。
【重要ポイント3】生涯投資上限「1,800万円」が創設されます。
新NISAでは、非課税で投資できる生涯上限が、「つみたて投資枠」で600万円、「成長投資枠」で1,200万円、合わせて1,800万円となります。上限に達したら、それ以上は新規の非課税投資枠は付与されません。
新NISAで投資した有価証券を売却すると、その分、投資枠が空きます。上限1,800万円の範囲で、空いた枠は新規に年360万円の範囲で復活します。
「2023年まで続く現行NISAはどうなりますか?」という質問を受けることもあります。新NISAとは別枠で、一般NISAなら始まってから5年間、つみたてNISAなら20年間、売却しない限り、非課税での投資が続けられます。新NISAとは別枠です。
質問2:今楽天証券でNISAを利用しています。新NISAを始めるのに、何か手続き必要ですか?
現在楽天証券でNISA口座をお持ちのお客さまは手続きなしで自動的に新NISAの口座が開設されます。シームレスの取引が継続できます。
2023年までに投資してきた現行のNISA口座は、そのまま非課税期間が終わるまで、口座を保有している楽天証券に残ります。現行の「一般NISA」ならば始めた年から5年、「つみたてNISA」ならば20年、続きます。途中で保有している投資商品を全て売却してしまえばその時点で口座も終わりますが、保有を続ける限り、そのまま残ります。
質問3:NISA口座を某証券会社から楽天証券に引っ越しさせたいのですが、今年分の一般NISAの非課税投資枠120万円+利益は解約しなければなりませんか?
来年始まる新NISAから、金融機関を変更して、楽天証券をお使いいただくことが可能です。そのためには、2023年10月以降、金融機関変更のための手続きが必要です。詳しくは以下をご参照ください。
ただし、今年利用している現行のNISA口座を引っ越すことはできません。今年のNISA口座は、そのまま今お取引している金融機関に、非課税期間が終わるまで残ります。
新NISAを楽天証券で始めていただく場合でも、現行のNISAを解約する必要はありません。
質問4:新NISAでは毎月分配投信はなくなるのですか?
はい、来年1月に始まる新NISAの投資対象が決まりましたが、「毎月分配投信」は、長期の資産形成にそぐわないとして除外されました。
新NISAでは、非課税となる期間は「無期限」となります。途中で売却しない限り、非課税投資が続きます。長期的に上昇が期待される投資対象は、途中で売却したり、配当金を受け取ったりしないで、なるべく長くたくさん持ち続けた方が「複利効果」(元本に運用で得た利息を合わせて再び投資することで、利息にさらに利息が付く効果)で長期的な期待リターンが高くなります。
ただし、途中で売却、または分配金をたくさん受け取ると、売却代金あるいは受け取った分配金の分、投資元本が減少します。その分、複利効果が得られず、長期的な期待リターンは低下します。
毎月分配投信は、毎月分配金を出します。利益が出ている時は利益から分配金を出しますが、利益がない時は、元本を取り崩す「元本払戻金」を分配金として出します。
利益だけでは毎月の分配金が出せないファンドがほとんどで、元本払戻金によって見かけ上の分配金を大きくしています。元本払戻金をたくさん出すことによって投資元本の減少が大きくなるので、長期の資産形成に不向きです。
それでは、「毎月分配投信」はどういう人に向く投資商品でしょうか? 毎月の生活費が年金ではまかなえず、資産をとり崩して生活費に充てていく必要がある人に向きます。毎月分配投信を持っていれば、毎月のキャッシュフローを補うことができます。
投資をしながら、投資を一部取り崩して生活費に充てる時に、毎月分配投信は適しています。そのようにするためには、投資信託を購入する際、分配金コースで、「受取型」を選ぶ必要があります。
ところが、現実には、そういう目的で「毎月分配投信」を保有している投資家はほとんどいません。「毎月分配投信」の保有者の9割以上は、分配金「受取型」ではなく、分配金「再投資型」を選択しているからです。分配金が出たら、そのまま元の投信に再投資することを選択しています。元本を減らさないで、なるべく投資元本を維持しようとしているわけです。
それならば、毎月分配投信を選ばず、なるべく分配金が少ないファンドを選んだ方が良いことになります。
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(窪田 真之)
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