米追加利上げある?日銀は緩和維持?今週の重大イベントに米・日株どう反応?
トウシル / 2023年7月24日 7時45分
米追加利上げある?日銀は緩和維持?今週の重大イベントに米・日株どう反応?
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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米追加利上げある?日銀は緩和維持?日経平均どうなる?」
先週の日経平均は、日米金融政策決定会合を前に上値重い
先週(7月18~21日)の日経平均株価は、7月14日(金)の終値3万2,391円と比較すると、1週間で87円下落して3万2,304円となりました。日米とも発表中の4-6月決算はおおむね好調で、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は1週間で2.4%上昇して年初来高値を更新しました。
AI革命への期待で上昇が続いてきたナスダック総合指数(ナスダック)は、先週は0.6%と小反落しました。
日経平均は6月半ばまでの上昇ピッチが速すぎたことからスピード調整となっています。7月25~26日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、7月27~28日に日本銀行金融政策決定会合と重大イベントを控え、大きくは動きにくい展開が続いています。
日経平均・米ナスダック総合指数の週次推移比較:2021年末~2023年7月21日
今週の注目は、FOMCと日銀金融政策決定会合です。日米金融当局による事前の示唆通りとすると、FOMCでは、0.25%の追加利上げが決定されます。日銀の金融政策は現状維持で、大規模緩和が継続されます。FRB(米連邦準備制度理事会)からはタカ派トーン、植田日銀総裁からはハト派トーンの話しか聞こえてこないからです。
ただし、本当にそれで良いのか、市場は疑念を持ち始めています。米国のインフレは、すでに大きく低下しており、これ以上の利上げが続くかどうか疑問です。日本は逆にインフレ率がかなり上昇しており、大規模緩和をいつまで続けられるか、疑問です。
6月のインフレ率はついに日米逆転
日本の総務省が21日に公表した、6月の総合インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)は3.3%でした。米労働省が発表した6月の米総合インフレ率は3%だったので、ついに日米インフレ率が逆転しました。
日米インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)の推移:2020年1月~2023年6月
日本のコアコア・インフレ率(エネルギーおよび生鮮食品を除くCPIの前年比上昇率)は4.2%まで上昇しており、日本も高インフレ国となってきています。
日本のインフレ率(CPI総合・コアコア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2023年6月
日米の景況を比較すると、日本の方が強い
日本はリオープン(経済再開)の効果で、内需が盛り上がっており、非製造業の景況が極めて良好です。
大企業DIの推移:2022年3月~2023年6月
一方、米国はインフレと金利上昇の影響で、景況が低下しています。
米ISM景況指数:2022年1月~2023年6月
米インフレが低下し、米景況も低下しているにもかかわらず、FRBは利上げを継続する姿勢を崩していません。FRB高官発言を聞く限り、7月25~26日のFOMCでさらに0.25%の利上げが実施されるのがほぼ確実と判断されます。
一方、日本のインフレ率が高くなり、日本の景況が上昇しているにもかかわらず、日銀は大規模緩和を継続する発言を崩していません。
市場では、いずれ日銀が、長期(10年)金利の上限を0.5%に抑えるイールドカーブコントロール政策を修正し、長期金利の上昇を容認せざるを得なくなるとの見方が出ていますが、今週の会合で修正する可能性は低いと考えられます。
米0.25%利上げ・日銀大規模緩和維持を前提に、円安
先週のドル/円為替レートは、1ドル141円台まで円安が進みました。FRBは0.25%の利上げを強行しそう、日銀は大規模緩和を維持しそうであることを受けた動きです。日米の金融政策を先取りする形で、先週は円安が進みました。
ところが、今週、金融政策も株価の反応も、実際に出てみないとわかりません。
日経平均とドル/円為替レートの動き:2023年1月4日~7月21日
今週は日米金融政策をめぐって、ネガティブ・サプライズ(悪くて驚き)も、ポジティブ・サプライズ(良くて驚き)もどちらもあり得る状況です。
短期的な株価の動きは不透明要因が大きく、判断が難しいですが、長期の日本株の見方は変わりません。米景気がハードランディングにならない限り、日本株の上昇トレンドが続くと予想しています。
日本株を時間分散しながら、少しずつ買い増ししていくことが、中長期の資産形成に貢献するという考えは変わりません。
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