「複利効果」「毎月分配型投信」について読者からの質問に、窪田真之が回答
トウシル / 2023年8月31日 8時0分
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「複利効果」「毎月分配型投信」について読者からの質問に、窪田真之が回答
「複利効果」について、読者からの質問
「投資の複利効果ってどういう意味でしょう?」という質問をいただきました。
1.銀行預金の単利と複利
最初に、わかりやすい銀行預金の例でお話しします。利息の付き方に、単利と複利があります。利息に利息がつくのが「複利」です。利息には利息がつかず、元本のみに利息がつくのが「単利」です。
年利(1年間につく利息)10%の預金に100円預けたとします。税金はかからないものとして、計算します。
【単利の場合】
1年後に10円の利息がつきます。100円×10%=10円
2年後にも10円の利息がつきます。
2年後には元利合計120円になります。
【複利の場合】
1年後に10円の利息がついて、預金額は110円になります。
2年後には、110円に対して11円の利息がつきます。110円×10%=11円
したがって、2年後には元利合計で121円になります。
まとめると、同じ年利10%でも、単利ならば2年後に120円、複利ならば2年後に121円です。1円の差は、利息が生んだ利息です。
途中で現金を引き出すことなく、利息を再投資し続ければ、長期の期待リターンは高くなります。それが「複利効果」です。
2.投資の複利効果
ご質問は、預金ではなく、投資の複利効果でした。投資の場合、毎年、必ずお金が増えていくとは限りません。20%増える年もあれば、10%減ってしまう年もあります。
それでも、長い年月をかけてお金が増えていくとすると、途中で売ったり出金したりせずに投資し続けた方が、複利効果で長期の期待リターンは高くなります。
「毎月分配型投信」について、読者から質問
「毎月分配型の投信は、複利効果がないので、良くないですか?」という質問をいただきました。
1.資産取り崩し層には、良い投信
毎月分配型は、資産取り崩し層には良い投信ですが、資産形成層にはあまり良くない投信です。
「資産取り崩し層」とは、毎月の生活費が年金ではまかなえず、資産をとり崩して生活費に充てていく必要がある人のことです。毎月分配型投信を持っていれば、毎月のキャッシュフローを補うことができます。投資をしながら、投資を一部取り崩して生活費に充てていくのに、毎月分配型投信は適しています。そうするためには、投信を購入する際、分配金コースで、「受取型」を選ぶ必要があります。
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2.資産形成層には、あまり良くない
もし質問者さんが、「資産形成層」ならば、毎月分配型はあまり良い投信ではありません。仮に、毎月1万円ずつ積立投資していても、毎月分配型投信から毎月4,000円分配金を受け取っていると、差し引き、毎月6,000円しか投資していないことになるからです。投資額が減る分、将来、複利で得られる期待リターンは小さくなります。
資産形成層の方が毎月分配型の投信を買う場合、投資残高を減らさないように、再投資型を選ぶという方法も考えられます。
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実際に、毎月分配型の投信を購入している方の9割以上が、「再投資型」を選んでいます。
確かに、再投資型を選べば、分配金はそのまま元の投信に再投資されますので、投資残高をあまり減らさないで済みます。それでも、再投資額は少し減少します。分配金にかかる源泉税分だけ、再投資金額が小さくなります。
分配金には2種類あります。利益から出す「普通分配金」と、利益が無い時にでも出すことのできる「元本払戻金」です。毎月分配型のほとんどが、分配金を利益だけからは出せないので、「元本払戻金」をたくさん出しています。「元本払戻金」には源泉税はかかりませんが、「普通分配金」には源泉税がかかります。
特定口座で保有している毎月分配型投信から毎月1,000円「普通分配金」が出るとしましょう。分離課税を選択していると、分配金から源泉税約20%(厳密には20.315%)が差し引かれます。したがって、1,000円分配金が出ても、再投資額は約800円に減ってしまいます。
分配金をまったく出さない投信では、値上がり分は全て評価益としてファンドに残るので、そのまま複利での運用が続きます。したがって、資産形成層は、毎月分配型投信ではなく、なるべく分配金が少ないファンドを選んだ方が良いことになります。
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