米利上げ無しでもFRBはタカ派姿勢維持、金融引き締め長期化の見通し示される
トウシル / 2023年9月21日 7時0分
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米利上げ無しでもFRBはタカ派姿勢維持、金融引き締め長期化の見通し示される
米金融引き締め長期化の見通し。FF金利予測は年末5.6%、来年末5.1%
米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は20日(日本時間21日午前3時)、FOMC(連邦公開市場委員会)の結果を発表しました。事前の示唆通り、利上げは実施しませんでした。FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を5.25~5.50%(中心5.375%)で据え置きました。
米10年・2年金利とFF金利の日次推移:2021年1月4日~2023年9月20日(日本時間で21日午前5時30分まで)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/b/3/-/img_b305d4524cb3e40b69e1e86edb8818c369463.jpg)
ただし、これで利上げ終了ではなく、年内にあと1回利上げがあるという示唆が残りました。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「適切ならば年内に追加の用意がある」と発言しました。
FOMCメンバーによる2023年末FF金利予測(中央値)は5.6%で、あと1回の利上げを見込んだ水準です。これは、前回(6月)予測と同じでサプライズ(驚き)はありません。
ややサプライズだったのは、来年(2024年)末のFF金利予測が5.1%に引き上げられたことです。前回予測は4.6%でした。今回示された予測に基づくと、2024年の利下げ幅は0.5%(5.6%→5.1%)にとどまり、FF金利は。2024年いっぱい5%台に高止まりすることになります。
20日のNYダウ(ダウ工業株30種平均)は、FOMC発表前はプラス圏で推移していましたが、FRBのタカ派姿勢を嫌気してFOMC発表後にマイナスとなり、前日比76ドル(0.2%)安の3万4,440ドルで引けました。ナスダック総合指数は前日比1.5%の下落となりました。
FRBは以下の通り、2023年に入り、利上げのペースを徐々に落としてきています。
2022年6月以降のFOMC結果
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/d/3/-/img_d3ce3e2c8b2100ce54858ee4c57cbb3a53832.jpg)
昨年6月から11月にかけて1度に0.75%の大幅利上げを4回連続で実施しました。過去に例のない急激な利上げとなりました。その後、利上げ幅を縮小し、今年の6月は利上げを見送りました。ただし、それで利上げ終了ではなく、7月に再び0.25%の利上げを実施しました。
今回、利上げ見送りが発表されましたが、年内あと1回の利上げ示唆が残りました。これまでの利上げの経済への効果を見ながら、利上げを続けるかどうか判断する段階に入っています。インフレ収束が遅れているため、利上げ終了を宣言できない状況が続いています。
FRBは米景気見通しを大幅上方修正
FRBは、米GDP(国内総生産)成長率の見通しを大幅に引き上げました。前回(6月)は、2023年の成長率が+1.0%、2024年が+1.1%とリセッション(景気後退)すれすれまで低下する見通しでした。
今回FRBは2023年の成長率見通しを+2.1%と、大幅に引き上げました。2024年は+1.5%としました。リセッションのリスクは低くなったものの、インフレ収束が遠のいたために、FF金利の水準を来年も5%台に維持する必要があるとの見立てです。
日本株は良い買い場、少しずつ買い増す方針継続
今回のFOMCが、日本株に与える影響は中立と考えます。米景気見通しが引き上げられたことは日本の景気・企業業績にプラスです。ただし、米金融引き締めの長期化見通しが示されたことはマイナスです。
FOMC結果を受けての日本株への投資方針は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場を迎えていると考えています。
ただし、金利上昇にともなう短期的なショック安はこれからも繰り返す可能性があるので、リスク管理が大切です。時間分散しながら日本株への投資を少しずつ増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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(窪田 真之)
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