新NISAで積立投資、毎月いくらが現実的?
トウシル / 2023年9月29日 7時30分
新NISAで積立投資、毎月いくらが現実的?
投資で得た利益に税金がかからないNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は2024年、制度内容が大幅に拡充します。制度は終了期限のない恒久制度となり、非課税で投資できる期間も無期限に、非課税で投資できる額の上限(非課税保有限度額)は1,800万円になります。
今回は、新しいNISAを利用して資産形成をする際に毎月いくら積み立て、何年ぐらいかけて取り組んでいくのが現実的なのか、ご説明します。
月額3万円から月額30万円まで、ご自身のペースで
新しいNISAでは、日本に住む18歳以上であれば誰もが投資元本ベースで最大1,800万円まで、無期限に非課税で投資できるようになります。ご夫婦の場合は、合計で3,600万円ですから、ごく一部の富裕層を除いて、限度額が足りないという方はいないでしょう。
ここで、この1,800万円を全額積立投資で活用するとしたら、積立額と積立期間はどのようになるでしょうか。次の表をご覧ください。
非課税保有限度額1,800万円を全額積立投資で活用する場合の積立額と積立期間
新しいNISAでは、つみたて投資枠で年間120万円まで、成長投資枠で年間240万円まで投資できますので、合計すると年間で360万円が上限となります。つまり、最短で非課税保有限度額1,800万円を投資するなら、5年間で1,800万円を使い切ることになります。
例えば、退職金を受け取った方やマイホームを売却した方、手元にある程度まとまったお金がある方などであれば、あまり時間をかけずに、5~10年程度で限度額までの積み立てを完了させてしまうという活用方法が考えられます。
一方で、長期でコツコツ資産形成していく活用方法を考えてみましょう。20~40代の多くの方にとってはより現実的な方法かもしれません。
例えば、月額3万円だと積立期間は50年となります。18歳から毎月3万円の積立ができる方は少ないと思いますが、積立期間としては最長でも50年程度(20歳から70歳まで)が現実的だと思います。このように考えると、上の表のように、積立額は月額3~30万円、積立期間は50~5年となるわけです。
毎月3万円で年間36万円という積立金額は大きいと感じられるかもしれません。しかし、例えば会社員でボーナスが年2回あるなら、毎月の積立は1万円、ボーナス時に12万円出せれば年間で合計36万円になります。
ボーナスが少なかった場合は12万円を半額にしたり、ゼロにしたりと、変更することも自由です。このように柔軟に考えながら、新しいNISAを資産形成で役立てていただければと思います。
上限まで使う必要はなし!5~30年で720万円投資する場合のシミュレーション
非課税保有限度額は1人あたり1,800万円ですが、もちろん上限まで使う必要はありません。ご家庭の状況に応じて利用していきましょう。
ここでは元本合計で720万円分を投資していくと仮定して、次の4つのパターンでシミュレーションをしてみたいと思います。
合計720万円を投資する四つのパターン
毎月2万円を30年間かけて積立投資する場合から、毎月12万円を5年間で積立完了するパターンまでです。いずれの場合も投資元本合計は720万円となります。
ここでは、世界の幅広い株式に投資できるインデックスファンド(指数連動型投資信託)への投資をイメージしながら、運用利回り3%、5%、7%の3パターンで試算していきます。
なお、以下の計算では便宜上、確定した利回りとして計算していますが、実際には上がったり下がったりを繰り返しながら、増えていくイメージになります。20年、30年と経過して、後から振り返ってみると結果的には利回りが5%だった、といったイメージです。
利回り3%なら、30年後には1,160万~1,627万円に
まず利回りが3%の場合です。毎月2万円を30年間積み立てていく「30年積立」の場合、30年後には1,160万円となります。一方、毎月12万円を5年間積み立てると5年後の時点で777万円、その後は積立を停止して25年間保有を継続したとすると、積立開始から30年後には1,627万円となります。グラフでは積立期間が10年、20年の場合も示しています。
積立の元手となる元本はいずれも720万円ですが、少しずつ積み立てるか、一気に積み立てて保有を継続するかで、460万円以上の差が生まれる可能性があるのです。
もちろん50~60代の方であればその後長期的に保有する時間はなく、途中から取り崩しを始めていくことになると思いますが、それでも、ある程度早めに投資を完了させ、トータルでの保有期間を長くすることで大きく増やせる可能性が高くなるのです。
利回り5%なら、30年後には1,637万~2,767万円に
次に、利回りが5%の場合で確認してみましょう。世界の株式インデックスファンドであれば、5%というのは十分に現実的な数字だと考えています。
利回りが5%になると、30年後の金額が1,637万~2,767万円と、3%の場合と比べて大きくなっていることが確認できます。
利回り7%なら、30年後には2,352万~4,663万円に
最後に利回りが7%の場合です。7%とは非現実的なのでは?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、インフレなどで物価上昇がある場合、一般的にはその分かさ上げされますので、表面上の利回りとして7%程度になることは十分考えられます。
7%の場合は、「30年積立」の2,352万円から、「5年積立」の4,663万円まで2倍近い差になっています。利回りが大きくなるほど長期投資の複利の効果が顕著に表れるため、大きな差となるのです。
2024年からの新しいNISA、ご自身の家計状況に合わせた金額で最大限活用すれば、20年後、30年後には大きな資産をつくることも可能です。ライフプランも考えつつ、新しいNISAをぜひ活用していただければと思います。
(横田 健一)
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