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2023年現行NISAで買いたい、米国高配当株5選!2023年11月権利落ち分を解説

トウシル / 2023年10月20日 8時0分

2023年現行NISAで買いたい、米国高配当株5選!2023年11月権利落ち分を解説

2023年現行NISAで買いたい、米国高配当株5選!2023年11月権利落ち分を解説

 米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出していることが挙げられます。

 米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。

 これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。

 そこで2023年11月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。

▼参照データ
•    株価…楽天証券のHPにて、日本時間2023年10月13日終値を採用
•    時価総額…楽天証券のHPにて、日本時間2023年10月13日時点の記載情報を採用
•    配当情報、決算情報…Investing.comのHPにて、日本時間2023年10月13日時点の記載情報を採用
•    為替:1ドル =149.50円で計算
※上記日付のデータで数値を抽出・算出しております。記事公開後の市況変動で数値が異なる場合がございますので、ご了承いただきますようお願いいたします。

 その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。

(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。

※米国市場で上場していても、国籍が米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。

(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。

(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。

 そして、2024年から制度改正された新NISAが始まる予定です。つみたて投資枠と成長投資枠に分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では、年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されました。

 これまで1年間の枠を気にしたり、ロールオーバーなどで手間暇がかかりましたが、それもなくなり、非常に使いやすい制度になります。とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。

【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明はこちら

米国高配当株1:ターゲット(TGT)

 1962年にミネソタ州で設立された、全米最大級のディスカウントストア・チェーンです。

 全米50州全てに店舗を構えており、販売する商品はナショナルブランドのみならず、プライベートブランドまたは自社ブランドによるターゲット限定商品を販売しており、商品の約1/3はターゲットでしか手に入らないオンリーワン製品となっています。

 無料のターゲットサークル会員になることで割引を受けることができ、同じく無料のクレジットカード機能のついたレッドカードを発行することで割引がさらに適用されるなど独自の自社サービスを展開することで「ゲスト」と呼ばれるお客さまを魅了し続けています。

 時価総額は506億ドルで、日本円で約7兆5,000億円となっています(1USD=149.50円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は単一事業となっています。

 その中で売上の中心は「美容&家庭用品(Beauty & household essentials)」で、続いて「飲食品(Food & beverage)」、「服飾品(Apparel & accessories)」、「家庭用家具&装飾品(Home furnishings & décor)」、「ハードライン製品(Hardlines)」、「その他(Other)」となります。

「美容&家庭用品」では美容・パーソナルケア、ベビー用品、クリーニング、紙製品、ペット用品などを取り扱い、「飲食品」ではドライグロサリー、乳製品、冷凍食品、飲料、キャンディー、スナック、デリカテッセン、ベーカリー、精肉、青果などを取り扱っています。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

競合他社

 競合他社として、「Costco Wholesale」の名前で会員制倉庫の国際チェーンを運営するコストコホールセール(COST)、過剰生産、過剰在庫、見切り商品のブランド商品を購入し小売りするオリーズ・バーゲン・アウトレット・ホールディングス(OLLI)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は52年連続で増配中です。

 小売業界全体にまん延している売上高に占める棚卸減耗損が、過去の水準に比べ高くなっており、会社側も棚卸減耗損の増加が当社の長期性資産の減損の可能性を含め経営成績に悪影響を及ぼしており今後もこの傾向が続くと思われますと発表しており、そのような背景から業績が好調なものの株価は下落しています。

 ただ、配当利回りは近年1~2%で推移していましたが、今年に入ってからの株価下落で4%程度まで利回りが上昇しており52年連続で増配している企業であることからも配当を目的として長期保有するにはよい水準ではないでしょうか。

業績動向

 2023年8月16日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回ったものの、売上は市場予想を下回りました。

 主要商品(美容&家庭用品、飲食品)の継続的な成長が、他の項目の減少を相殺したものの売上は市場予想に届きませんでした。会社側は最近の売上動向を踏まえ、通期の売上・利益予想を下方修正し、通期の既存店売上高は1桁台半ばの減少を予想し、通期の調整後EPS(1株当たり利益)は7.00ドルから8.00ドルを予想しています。

 運賃の減少、小売価格の上昇などによって利益率は上昇しており、会社側は事業と戦略への長期的な投資を行うことで、今後数年間は持続可能で収益性の高い成長を実現できるものと考えていると発表しており、今後の業績回復が期待されます。

 次回2023年11月15日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 コロナの反動もあって前年同期と比較してデジタル・チャネルの売上が大きく減少しており、実店舗の売上次第で業績の回復も遅くなり株価回復まで時間を要する可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:4.40ドル
配当利回り:3.97%
株価:110.80ドル(約1万6,500円)

 この銘柄、権利落ち日は11月14日(権利実施は12月10日)です。

 配当利回りは1013日時点で3.97%、株価は1013日終値が110.80ドルでおよそ1万6,500円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年からの最高値は266.39ドル、最安値は91.04ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:サン・ライフ・ファイナンシャル(SLF)

 トロント(TSX)、ニューヨーク(NYSE)、フィリピン(PSE)の各証券取引所に上場し、業界最高水準の財務力格付けを有するカナダ最大級の上場企業です。

 カナダ、米国、アジア、英国をはじめとする世界の数百万人の個人および機関投資家向けにアセットマネジメント、ウェルス、保険、健康ソリューションを提供しています。

 サン・ライフ・アドバイザー、サード・パーティ・パートナー、その他の販売代理店のネットワークを通じてサービスを提供し、顧客が現在から退職後まで自分らしく自由に生活できるようお手伝いしています。

 時価総額は285億ドルで、日本円で約4兆2,600億円となっています(1USD=149.50円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「アセットマネジメント事業(Asset Management)」で、続いて「カナダ事業(Canada)」、「米国事業(U.S)」、「アジア事業(Asia)」、「ホールセール事業(Corporate)」となります。

「アセットマネジメント事業」はMFSとSLCマネジメントで構成されています。

 MFSは金融商品とサービスを包括的に取りそろえ、世界中の個人および機関投資家の資産を積極的に運用する世界有数の資産運用会社です。

 SLCマネジメントは、公募および私募の債券、不動産エクイティおよび債券、インフラストラクチャー・エクイティなど、債券およびオルタナティブ資産クラス全般にわたる能力を有するグローバルな資産運用会社です。

「カナダ事業」ではカナダ国内において保障、医療、資産運用、ウェルス・ソリューションの大手プロバイダーとして、660万人以上の顧客に価値ある商品とサービスを提供しています。

競合他社

 競合他社として、金融専門家の全国ネットワークを通じて個々の金融セキュリティのニーズを満たす生命保険および年金ソリューションを提供するF&G アニュイティーズ&ライフ(FG)、世界中の個人、機関投資家、退職年金加入者向けに財務アドバイス、保険、資産運用ソリューションを提供するマニュライフ・ファイナンシャル(MFC)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は今年に入ってから増配しています。

 業績は堅調で、株価の変動も他の業種と比べて低く、増配をしていることもあって以前は3%台だった配当利回りも現在は4%台で推移しています。

 サンライフは世界中で事業を多角化しており、昨年デンタクエストを買収して米国での事業基盤を拡大し、カナダ国内ではバーチャル・ヘルスケア・ウェルネス・プラットフォームのDialogueを買収しそれらが業績に寄与しています。

 一方で、英国事業のSun Life UKを売却するなど選択と集中を進めており、今後も多角経営によって順調に業績を伸ばしそれに伴う株価上昇が期待されます。

業績動向

 2023年8月8日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上の市場予想は発表されていません。

 米国の歯科医療保険会社デンタクエストの買収と国内での好調な保険販売に支えられ、第2四半期の利益が増加しました。会社側は、多角的な事業が厳しい経済環境下で引き続き回復力を示し良好な結果となったが、健康保険と保障保険の売上高が好調に伸びたことは、顧客が健康保険と保障サービスを引き続き重視し、優先していることを示していると発表しています。

 また、最近の買収や戦略的提携の多くからも引き続き勢いが続くと感じられると会社側は発表しており、今後は好調な業績が続くことが期待されます。

 次回は2023年11月13日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 今年の7月に劣後債を発行していますが、米国の金利上昇に伴い調達コストは増加しており、今後も米国の金利高が続くとコストがさらに増し業績に悪影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.20ドル
配当利回り:4.49%
株価:48.96ドル(約7,300円)

 この銘柄、権利落ち日は11月28日(権利実施は12月29日)です。

 配当利回りは1013日時点で4.49%、株価は1013日終値が48.96ドルでおよそ7,300円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年3月からの最高値は58.25ドル、最安値は24.42ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株3:ユニリーバ(UL)

 ロンドンに本社を置く世界最大級の消費財メーカーです。

 ユニリーバの有するブランドは世界全体で400以上となっており、そのうち14のブランドが年間売上10億ユーロ以上で、13のブランドが世界のトップ50ブランドにランクインし、毎日190カ国以上で34億人以上がユニリーバ製品を使用しています。

 総売上高は、2022年12月末現在で601億ユーロとなっており、地域別売上構成比はアジア・パシフィック・アフリカ 46%、欧州 19%、米国 35%と早くから世界各地に深く根をおろしバランスの良い売上比率となっています。

 時価総額は1,217億ドルで、日本円で約18兆1,900億円となっています(1USD=149.50円換算)。 

事業の注目ポイント

 事業の中心は「パーソナアルケア事業(Personal Care)」で、続いて「ニュートリション事業(Nutrition、栄養改善事業)」、「美容健康事業(Beauty & Wellbeing)」、「ホームケア事業(Home Care)」、「アイスクリーム事業(Ice Cream)」となります。

「Personal Care」では、主に皮膚洗浄(せっけん、シャワー)、デオドラント、オーラルケア(歯磨き粉、歯ブラシ、マウスウォッシュ)製品の販売をしており、「Nutrition」では主にスクラッチ調理補助食品(スープ、ブイヨン、調味料)、ドレッシング(マヨネーズ、ケチャップ)、お茶製品の販売を、「Beauty & Wellbeing」では主にヘアケア(シャンプー、コンディショナー、スタイリング剤)、スキンケア(フェイス、ハンド、ボディ用保湿剤)の販売を行っています。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移しており、配当は四半期ごとに変動するものの前年同期を上回って推移しています。

 欧米のトップ投資家は、消費財メーカー各社に価格高騰への懸念を表明しており保有株式の一部を売却する動きを見せたこともあって業界全体的に株価は停滞しています。

 また、消費財業界はヒマワリ油、輸送、包装、穀物などあらゆるものが高価になり、ロシアがウクライナに侵攻し、エネルギーコストが過去最高を記録した昨年以降さらにコスト高騰に苦しんでいます。

 一方で、トライアン・ファンド・マネジメントのネルソン・ペルツ氏はユニリーバを高く評価し同社株を買い進めております。

 インフレがこれ以上大幅に悪化しないと仮定するならば、4%近くまで上昇した配当利回りのこの状況でユニリーバを長期保有するのも良いのではないでしょうか。

業績動向

 2023年7月25日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想通りとなり、売上は市場予想を上回りました。コスト増を補うために値上げを行ったことが、四半期ベースで予想を上回る売上高を計上しました。

 会社側は、不安定で高コストな環境の中、2023年も力強い基礎的売上高の成長を実現し、通年の基礎的な売上高成長率は5%を上回り数年来のレンジを上回ると予想しており、基礎的な価格上昇率は通年を通じて引き続き緩やかになると考えていると発表しています。

 また、会社側はこれからの課題はユニリーバの中核的な強みを活用し、業績と競争力の向上を推進することで、10月の第3四半期決算報告時に業績と競争力の向上推進についてさらなる詳細をお伝えできることを楽しみにしていると発表しています。

 次回2023年10月26日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 配当は四半期ごとに変動するため、想定よりも受け取る配当金が少なくなる可能性がある点には注意が必要です。 

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.25ドル
配当利回り:3.93%
株価:47.77ドル(約7,100円)

 この銘柄、権利落ち日は11月16日(権利実施は12月8日)です。

 配当利回りは1013日時点で3.93%、株価は1013日終値が47.77ドルでおよそ7,100円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年からの最高値は63.44ドル、最安値は43.05ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:フォーティス(FTS)

 フォーティス社は、1885年に現在のニューファンドランド・ラブラドール州に設立されたセント・ジョンズ・エレクトリック・ライト社に端を発し、現在フォーティスの有する多様な関連会社には、電気・ガス事業が10社あり、総資産は640億ドルで、カナダ、米国、カリブ海地域の300万人以上の顧客にサービスを提供しています。

 関連会社の中にはミシガン州、アイオワ州、ミネソタ州、イリノイ州、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州で高圧送電インフラを所有・運営し米国最大の独立系送電会社であるITC HOLDINGS CORPなどがあります。

 時価総額は192億ドルで、日本円で約2兆8,700億円となっています(1USD=149.50円換算)。

事業の注目ポイント

 多くの子会社を保有していますが、その中心は「UNS Energy」で、続いて「ITC」、「Other Electric」、「FortisBC Energy」、「Central Hudson」、「Fortis Alberta」、「FortisBC Electric」、「Energy Infra-structure」などがあります。

「UNS Energy」では、ツーソン電力、UNS 電力、UNS ガスを通じて主にアリゾナ州で発電およびエネルギー供給事業に従事し、「ITC」はITC Transmission、Michigan Electric Transmission Company、ITC Midwest、ITC Great Plainsを通じて高圧送電インフラを建設、運営、保守を行う送電事業に特化した事業となっています。

競合他社

 競合他社として、子会社を通じて、発電と配電を行い、再生可能エネルギーを含むエネルギーサービスと技術を提供するエジソン・インターナショナル(EIX)、約430万世帯の家庭、商業、工業分野の顧客に電気と天然ガスを提供するビストラ・コープ(VST)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は50年連続で増配しています。

 ここ10年間でも株価はあまり大きな変動はなく、配当利回りも3~4%台を推移しています。9月には普通株配当を4.4%増配することを発表し、2024~2028年の資本計画は250億ドルとなり、2028年までの年間配当成長率を4~6%とするガイダンスも発表しています。

 なお、250億ドルの資本計画はフォーティス史上最大であり、この計画によって中間期の料金ベースは2023年の368億ドルから2028年には494億ドルに増加すると予想され、為替変動を考慮しない場合、5年間の年間平均成長率は6.3%となると会社側は発表しており今後も安定した業績と株価が期待されます。 

業績動向

 2023年8月2日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上はほぼ市場予想通りでした。

 アリゾナ州で天候の悪化と卸売のタイミングによる電力小売販売の減少などの影響があったものの、ITCとカナダ西部の公益事業での料金ベースが好調に伸びたことで1株利益は市場予想を上回りました。

 会社側は、エネルギー価格の変動、世界的なサプライチェーンの制約、金利上昇、インフレは潜在的な懸念材料ですが、2023年にはこれらの要因が当社の事業や業績に重大な影響を及ぼすことはないと考えていますと発表しており、今後も堅調な業績で推移することが期待されます。

 次回は2023年10月27日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 山火事などの自然災害があった際に、送電網へ多大な影響が出るような状況の際には業績に大きく影響する可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.75ドル(楽天証券HPより)
配当利回り:4.14%
株価:40.09ドル(約5,900円)

 この銘柄、権利落ち日は11月16日(権利実施は12月1日)です。

 配当利回りは1013日時点で4.14%、株価は1013日終値が40.09ドルでおよそ5,900円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年3月からの最高値は51.61ドル、最安値は29.08ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株5:ファイザー(PFE)

 患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす~Breakthroughs that change patients’ lives~という企業目的を掲げる世界をリードする研究開発型の製薬企業です。

 新薬開発を原動力として革新的医薬品とワクチンの研究・開発・製造を行い、世界中の患者さんに速やかに、そして公平に届けることができるよう、医療機関、規制当局などのステークホルダーと緊密に連携しています。

 ファイザーは、国内外で得た豊富な臨床データを活用することによって、患者さんの生活を大きく変える医薬品を各国で同時に開発し、世界中の患者さんに届けることをめざしています。

 時価総額は1,872億ドルで、日本円で約27兆9,800億円となっています(1USD=149.50円換算)。 

事業の注目ポイント

 事業は「バイオファーマ事業(Biopharma)」の単一事業となります。

 売上の中心である「コミナティ(Comirnaty)」はコロナウイルス感染症のワクチンであるコミナティRTU筋注であり、「パキロビット(Paxlovid)」はコロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬、「エイキュース(Eliquis)」は静脈血栓塞栓症の治療と再発予防、「プレベナーファミリー(Prevnar family)」は効果的な肺炎球菌感染症予防を対象とした薬となっています。

競合他社

 競合他社として、生物学的療法、ワクチン、動物用医薬品などの処方薬を通じて健康ソリューションを提供するメルク(MRK)、バイオ医薬品の発見、開発、ライセンス供与、製造、マーケティング、流通、販売を行うブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は11月の権利落ちで340回連続の四半期配当となります。昨年業績が良かったこともあって株価が上昇していましたが、今年に入ってから主力製品の売り上げ減少によって株価が下落しています。

 ファイザーは現在、革新的ながん治療薬の発見、開発、商業化を行う世界的なバイオテクノロジー企業であるセーゲンの買収提案を行っており、第2四半期中には310億ドルの資金調達を成功裏に完了し、その資金をセーゲン買収のための資金調達の一部として使用する予定であると発表しており、今後これらの動きが市場で評価され株価が回復することが期待されます。

業績動向

 2023年8月1日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 市場予想を上回ったものの前年同期の業績に比べると大きく落ち込んでおり、株価の回復にはいたっておりません。

 会社側は、2023年第2四半期はCOVID-19製品を除き営業収益が5%増と堅調に推移し、累計業績は予想通りで短期的には個々の製品の収益に若干の課題があるものの、2023年後半にCOVID-19以外の製品の成長を加速させる体制が整っていると考えていると発表しています。

 また、ファイザーは1年半の間に19の新製品を上市するという目標に向けて大きく前進し、これまでに11もの新製品を上市していますが、それらが今後の業績回復につながっていくことが期待されています。

 次回2023年10月31日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 コロナワクチンのように非常に売れる薬が出ることで業績が急拡大することもありますが、一方でそういった商品が出ない状況が長く続くと株価と業績が長期停滞する可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1ドル
配当利回り:4.98%
株価:32.92ドル(約4,900円)

 この銘柄、権利落ち日は11月9日(権利実施は12月4日)です。

 配当利回りは1013日時点で4.98%、株価は1013日終値が32.92ドルでおよそ4,900円から購入できます(1USD=149.50円計算)。

 2020年からの最高値は61.25ドル、最安値は27.01ドルとなっています(終値ベース)。

■著者・西崎努氏の著書『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』(アスコム刊)『老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門』(アスコム刊)が大好評発売中です!

【要チェック】
 楽天証券「トウシルの公式YouTubeチャンネル」では、同筆者が執筆した「やってはいけない資産形成」のコラムを動画で視聴できます。

 また、リーファス社の公式YouTubeチャンネル『ニーサ教授のお金と投資の実践講座』では、同コラムの他にも動画でお金と投資の知識を学ぶことができます。

(西崎努)

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