円安は介入しても止まらない? 次の標的は150円ミドル突破
トウシル / 2023年10月27日 9時56分
円安は介入しても止まらない? 次の標的は150円ミドル突破
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは150.95円
↓下値メドは149.80円
WFH:在宅勤務がなぜ少なくなるのか。会社経営者は外向的な性格が多く、自分たちの働き方が誰にとってもベストだと思い込んでいるからだ。しかしそれが真実である可能性は極めて低い。GDPが拡大しているのは、在宅勤務が生産性上昇に貢献している証拠である
日銀:2024年4月にゼロ金利解除へ。2025年末の政策金利は1.0%の予想
FRB:FRBは「相対的引締め」政策。経済が鈍化しない限り再利上げの可能性高い
金融政策:シカゴ連銀総裁「インフレと失業の二者択一に固執しすぎるのはよくない」
サウジ赤字:2026年まで財政赤字の見通し
市況
2023年214営業日目のドル/円は、前日比0.12円の「円安」。24時間のレンジは0.91円。
10月26日(木曜)は150.14円でオープン。150円台に入ったドル/円は、東京時間夕方に150.78円まで年初来安値を更新したところで介入警戒感が急に強まるなか149.87円まで急落した。しかしその後すぐに150円台後半にリバウンドするなど荒れた動きとなった。未明には150円台前半で落ち着き、終値は150.40円。
この日発表された米7-9月期GDP(国内総生産:速報値)の数字が示すように、「アメリカが強いからドルは強い」というテーマは変わらない。人為的な介入あるいは自律反転による円高があっても一時的で、構造的なトレンド転換にはつながらないだろう。
レジスタンス:
150.78円(10/26)
150.31円(10/25)
151.95円(22/10/21)
サポート:
149.87円(10/26)
149.80円(10/25)
149.32円(10/24)
ドル/円は150.78円まで上昇して、1年ぶりの高値(円の安値)を更新中だ。150円をワンタッチして下げるのではなく、値固めをしていることが重要だ。
財務省は、これ以上円安が進んだ場合には「介入する」と警告しているが、定型文の繰り返しに終始するだけなら「円安容認」と解釈されて円安が一段と進む可能性がある。
国際通貨基金(IMF)は今月14日、「円の為替レートはファンダメンタルズに沿った動き」であり、日本の為替介入は支持しないとの見解を示している。円安の理由は日米金利差なのだから、円安を本当に止めたいなら、介入ではなく日本の金利を調整してはどうですかという、しごく真っ当な指摘である。
これで財務省は表立って動きにくくなったようだが、たとえ介入を断行したところで、下では今度こそドル/円を買い逃しはしないと投資家が手ぐすね引いて待っている。
介入で円安がストップするなら、これほど楽なことはない。日銀とFRB(米連邦準備制度理事会)の政策スタンスが修正されない限り150円は単なる通過点だ。来年前半には160円台の可能性もある。
もっとも、介入の目的は、円安を止めることでも円高にすることでもない。円安を生かさず殺さず、できる限り永らえさせることである。円安のスピードが速すぎるようならば、財務省が為替介入をちらつかせ、円高に動くと、今度はすかさず日銀がウルトラ緩和を続けるとコメントする。
円安警官と円高警官の絶妙のコンビネーションのおかげでドル/円の値幅は狭くなり、安定している。そのせいで介入をする言い訳が見つからないという困った問題も抱えてしまったようだ。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
勇気とは、恐れに抵抗すること、打ち勝つことであって、恐れないことではない - マーク・トウェイン
Born Under Punches
金利差は通貨を動かす最も大きな要因である。金利差の拡大は最初、金利が高い通貨を上昇させる。しかし、しばらくすると金利高による経済にダメージが通貨を下落させる転機が訪れる。
ECBが前回9月の会合で利上げを決定した理由は、欧州のインフレ見通しが上昇していることが理由だった。インフレ見通しが上昇した理由は、ユーロ安によって輸入価格が上昇したからである。ユーロは6月から9月の3ヵ月間で、対ドルで5%も安くなった。
ユーロ安の理由はなにか。それはECBの利上げだったといえる。利上げはインフレ抑制のために必要不可欠な中央銀行の政策だが、前もってどの水準まで金利を引き上げるべきか計算することはできない。
ECBの場合は、「利上げをやりすぎた」結果、企業の投資意欲が後退し、株式市場から資金が流出するなかで、ユーロ安を招いてしまった。通貨安が輸入インフレを加速させ、ECBはまた利上げするというという悪循環にはまってしまったのだ。ECBがタカ派になるほど、皮肉なことにユーロ安が進んでしまった。
FRBの最新の予測によると、米国のインフレ率が目標値の2.0%まで低下するのは2026年以降で、あと3年も先だ。しかし、FRBは9月に利上げを見送った。一方ECBは、域内のインフレ率が2025年までに2.1%まで低下すると予想しているにもかかわらず、9月に利上げを断行した。
利上げしたユーロがドルに対して上昇したかというと、結果はその逆だった。利上げ見送りを好感してNY株式市場は上昇しドルは高くなったが、ユーロは景気後退感を嫌気して下落したのだ。
FRBは米経済をソフトランディングさせるために政策をシフトしているのに対し、ECBはインフレ抑制に全力を注ぐあまり景気を悪化させている。「利上げ」イコール「通貨高」という相関関係は以前に比べると低くなっている。
今週の注目経済指標
注目テクニカルレベル
Winners & Losers
(荒地 潤)
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