日経平均3万円へ下落あるか?米ハードランディング不安再燃(窪田真之)
トウシル / 2023年10月30日 7時45分
日経平均3万円へ下落あるか?米ハードランディング不安再燃(窪田真之)
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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「日経平均3万円へ下落あるか?米ハードランディング不安再燃」
米金利高止まりを嫌気した世界株安が続いている
先週(10月23~27日)の日経平均株価は1週間で267円下落して3万0,991円となりました。26日に一時3万0,567円まで下がりましたが、3万1,000円割れでは押し目買いも入り、なんとか3万1,000円近くに戻した形です。
米長期金利が5%近くに高止まりし、米国株下落が続いていることから、日本株にも外国人と見られる売りが続いています。先週のナスダック(ナスダック総合指数)は1週間で▲2.1%、NYダウ(ダウ工業株30種平均)も▲2.1%の下落でした。ドイツDAX指数は先週▲0.8%の下落で、グローバルに株安が続いています。
米景気はしぶとく好調で、26日に発表された7-9月米実質GDP(国内総生産)は前期比年率+4.9%と高い成長率でした。そのために米長期金利の高止まりが続き、それが米景気ハードランディングの不安を高めています。
株は、長期はファンダメンタルズ(景気・企業業績)で動くが、短期はテクニカル(需給)で動きます。テクニカル分析で日米とも弱い形となっており、短期的に下値リスクへの警戒が必要です。まず、米ナスダック総合指数の週足チャートからご覧ください。
米ナスダック総合週足:2023年1月3日~10月27日
米景気がしぶとく好調で、米景気ソフトランディング期待が高まった5月には、連続で陽線をたてて1万3,000ポイントを達成しました。ところが今、米景気が強いために米長期金利の上昇が続いていることが嫌気され、ナスダックは二番天井をつけて下げる弱い形です。
ナスダックは今のところ1万3,000ポイントで下げ止まらず、下値メドが分かりにくくなっています。
こうした状況を受けて、日経平均も二番天井をつけて下げる弱い形となっています。
日経平均週足:2023年1月4日~10月27日
日本株のファンダメンタルズ(景気・企業業績)は良好で、日本株は割安、長期投資で「買い場」の判断は変わりません。ただし、上の日経平均週足を見ると、テクニカルには3万1,000円の防衛ラインが守れるか不透明です。長期的には良い買い場、短期的には下値ショックに備える必要のある難しい局面であることを考えたリスク管理が必要です。
日経平均は、ナスダックほど弱くはありません。3万1,000円を下値抵抗線として意識する買いも入ってきています。10月に入ってから2回、3万1,000円割れを試した局面で、押し目買いが増えて、3万1,000円を回復しています。ただ、ナスダックが崩れる局面が続いているので、日経平均3万1,000円割れをトライする動きはさらに続きそうです。
今週の重大イベント:日米で金融政策決定会合
今週は、10月30~31日に日銀金融政策決定会合が開かれます。31日(火)の昼頃、結果が発表される見込みです。また、10月31日~11月1日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれます。結果は、11月1日(日本時間では2日の午前3時)に発表される見込みです。
日米とも金利上昇が不安視されていますが、事前の市場予想では、どちらとも、金利引き上げは行われないと考えられています。ただし、政策発表後の植田和男日本銀行総裁およびパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のメッセージによっては、金利先高感が強まる可能性もあります。
10月31日に日銀は、金融政策の現状維持(異次元緩和を継続)を発表すると予想しています。ただし、インフレ見通しは上方修正すると考えられます。金融政策を変更しなくても、インフレ見通しを引き上げることで、金融市場に「先行き、異次元緩和の終了が視野に入っている」との見方が広がる可能性があります。
11月1日、FRBはFF金利維持(利上げなし)を発表すると予想しています。政策発表後のパウエル議長のメッセージによって、米金利がどう動くかが、注目されます。
米長期(10年)金利と短期(FF)金利の動き:2021年末~2023年10月27日
詳しい説明は割愛しますが、米長期金利上昇により、米国株はイールドスプレッドで見て、割高になってきています。日本の長期金利も上昇していますが、水準が低いので、日本株はイールドスプレッドが開いていて割安と判断されます。
日本と米国のイールドスプレッド(株の益利回りと長期金利のスプレッド):2023年10月27日時点
7~9月の企業業績は良好と予想、中国景気悪化は逆風
日米とも株式市場では、本格化しつつある7-9月決算の発表に注目が移っています。9月の日銀短観DIが好調であったことから、日本の企業業績は良好と予想しています。リオープン(経済再開)・円安・堅調な米景気が、企業業績に追い風となります。
ただし、これまでの決算発表で、中国景気悪化を原因とする業績の下方修正が出ていることには注意が必要です。ニデック(6594)・オムロン(6645)など、中国関連株(中国での事業ウエートの高い日本企業)が減益となり、通期(2024年3月期)の業績見通しを下方修正しています。
日銀短観、大企業製造業・非製造業DIの推移:2018年3月~2023年9月
日本株の投資判断は、いつも述べていることと同じです。日経平均は短期ショック安が続く可能性があります。日本株のファンダメンタルズが良好であることを考えると、3万円まで売られることはないと思いますが、短期的には何が起こるか分かりません。
それでも、長期的には良い買い場を迎えていると判断しています。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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