新NISA、はじまる。S&P500や全米株式との分散を考えよう
トウシル / 2023年11月20日 7時30分
新NISA、はじまる。S&P500や全米株式との分散を考えよう
成長投資枠の使い方~成長と分配のバランスをとる
現行のNISA (ニーサ:少額投資非課税制度)ではつみたてNISAと一般NISAの選択制でしたが、2024年から始まる新NISAでは一本化されてそれぞれ「つみたて投資枠」と「成長投資枠」となります。
つみたて投資枠は指定の株価指数(S&P500種指数や全米株式、日経平均株価など)に連動する商品のみが投資対象となっており、手堅い資産形成に適しています。成長投資枠では、分配金の受け取りや将来的な値上がり益の獲得を目指したり、リスク分散のために両方のバランスを取ったりと、資産形成の目的に応じてさまざまな使い方が考えられます。
前々回のグローバルXの記事(新NISAの成長投資枠、どうやって使う?積立で配当を積み上げよう)では将来の受取配当金を増やす方法を、前回の記事(新NISAで将来的な資産成長を目指すには?)では資産の成長を目標とする投資をご紹介しました。
今回はつみたて投資枠とのリスク分散や、成長と分配のバランスを意識した投資について考えたいと思います。
つみたて投資枠では、これまで安定的なパフォーマンスを出してきた米国株、特にS&P500指数や全米株式指数などに投資する方も多いでしょう。
S&P500指数や全米株式指数は、どちらも時価総額の大きい銘柄の構成比率が大きくなる時価総額加重平均の指数です。アップルやマイクロソフト、アルファベットなど大型ハイテク企業の比率が高く、情報技術の割合が最も大きくなっています。
リスク分散の方法としては、米国以外の地域や別の資産クラスへの分散投資が考えられますが、世界最大の経済を誇る米国企業の成長性に期待する投資家も多いでしょう。そのため、同じ米国株投資でも業種分散が考えられます。
米国株指数の「S&P500配当貴族指数(以下、配当貴族指数)」は、S&P500指数構成銘柄から25年以上連続増配する企業で構成されます。構成銘柄数は67銘柄で、各銘柄は均等ウエートでポートフォリオを構成します。そのため、情報技術の比率が低く、生活必需品や資本材・サービスなどが高くなっているのが特徴です(図1)。
構成銘柄で時価総額が大きい銘柄は、ヘルスケアメーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンや、石油メジャーで世界大手のエクソンモービル、世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートなど、強固なブランド力やマーケットシェアを背景に、安定した収益基盤・財務体質を有している銘柄が含まれます。
米国の連続増配銘柄は米国企業としての成長性に加え、増配による将来的な分配金の積み上げが期待されます。情報技術に偏りがちなポートフォリオの分散先として活用できるでしょう。
「指数の構成銘柄数が少ない=リスクが大きい」は勘違い!
配当貴族指数はS&P500指数や全米株式指数より銘柄数が少ないため、リスクが高いと思う方もいると思います。株価指数のリスクについて、数値化して考えてみましょう。
まず、投資の世界におけるリスクとはリターンの振れ幅を指します。リスクの大きさは標準偏差で数値化できます。標準偏差の詳しい説明は割愛しますが、標準偏差の値が大きいほどリスクが大きい(≒値動きが大きい)ということです。
図2は3指数のリスク(標準偏差)を比較したものです。短期と長期どちらを見ても全米株式のリスクが最も大きい結果となります。つまり、銘柄数とリスクは必ずしも比例しないのです。
また、図3は直近の米国株の下落相場が始まった2021年12月末から足元までのパフォーマンスを示していますが、オレンジの配当貴族指数は他の2指数と異なる動きをしていることが見てとれます。
米国を代表する企業を集めたS&P500指数や米国の株式市場の大部分をカバーする全米株式指数に投資するのも良いですが、他の特性を持った米国株指数に分散投資することで、より長期的なパフォーマンスの向上が期待できるのではないでしょうか。
具体的な投資対象としては、S&P500配当貴族指数に連動する東証上場の【2236】グローバルX S&P500配当貴族ETFや、円高リスクをおさえる【2095】グローバルX S&P500配当貴族 ETF(為替ヘッジあり)などがあります(ともに年6回決算)。
ETF(上場投資信託)では構成銘柄から獲得した配当を決算ごとに分配するため、投資家は定期的にETFから分配金を受け取ることができます。
成長投資枠でも「積立」を活用
将来の株価上昇が期待される場合、一般的に一括投資が有効です。ただ、一度に投資する資金がない方でも早い段階から投資を始めることが重要です。そこで「積立」を活用する手があります。積立であれば株価が高いときは少なく買い、安いときは多く買う「ドルコスト平均法」で、高値つかみのリスクを分散して投資できます。
楽天証券では東証ETFの自動積立が可能なため、一度設定すればその後の手間はかかりません。前章でご紹介した2つのETFは1口から売買可能で、1口あたり1,000円程度と少額から積み立てることができます。
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(Global X Japan)
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