投資信託が値下がり。積み立て派と一括購入派で対策は違う?
トウシル / 2023年11月22日 16時0分
投資信託が値下がり。積み立て派と一括購入派で対策は違う?
※本記事は2018年12月25日に初回公開した記事です。
基準価額が下がり続けている「大損してしまう?」
市場環境が不安定になり、保有する投資信託(ファンド)の基準価額が大きく変動すると、果たしてこのまま投資信託を保有し続けていいものか、悩まれる方も多いと思います。
ここでは、相場急変時に考えるべきことを、「一括買い付け」と「積み立て」、この2つの購入方法別に解説します。
一括買い付けした人への重要な問いかけ
一括で投資信託を購入し、保有する投資信託が値下がりを続けている場合、ご自身に次の質問を問いかけてみてください。
「保有しているファンドは今後値上がりすると思いますか?」
ここで「はい」と即答できる場合は、同じ投資信託を追加で購入して平均買い付け単価を下げましょう。将来的に基準価額が上昇したとき、より大きな値上がり効果を期待できるからです。
反対に「いいえ」の場合は、思い切って解約に踏み切る覚悟も必要です。
極端な選択肢と思われるかもしれませんが、実は厄介なのが「いずれは上がる」と信じ込んでしまうこと。投資信託は、仮に損失が発生していたとしても、保有している以上は信託報酬を通じて間接的に手数料が徴収されます。同じ時間をかけて基準価額の回復を待つなら、少しでも買付単価を下げて、成績が復調した時の値上がり益を大きくした方が得策です。
保有する全ファンドの損益状況を確認し、利益が出ている銘柄があれば、利益相当分を解約(売却)して、その売却代金で損失が出ている銘柄を買い増す……、これは、分散投資において重要な「リバランス」と同じ効果を持ちます。
投信積立している人はメリットを再確認
一方、中長期投資を前提として、定期積み立て(投信積立)で投資信託を保有している場合は、相場環境が急変しても、ドッシリと構えていた方が賢明です。なぜなら、投信積立の場合、基準価額の下落時ほどより多くの口数を購入でき、平均買付価格も下げられるという大きなメリットを享受できるからです。
積み立てを続けていく中では、当然のことながら、基準価額の上昇局面で購入せざるを得ないケースも出てきますが、長い目で見ると平均買付価格を平準化させる効果があります。
つまり、積み立ての効果は一定期間継続して初めて表れるものなのです。
ここで、日経平均株価(日経225)に連動した投資成果を目指す「Aファンド」を毎月1 万円ずつ、2011 年1 月から2015年12月までの5年間(60カ月)積み立てていた場合のシミュレーションを見てみましょう。
図1:日経225連動型「Aファンド」の5年間積み立て投資効果
図1でも確認できるように、積み立て開始から22カ月目にあたる2012 年10月末時点まで、投資額に対する運用資産の評価額はマイナス、つまり「赤字」状態でした。当時の日経平均株価を参考に、もう少し詳しく見てみます。
図2:日経平均株価の推移(2011年1月~2015年5月)
実は、期間中の日経平均株価最安値(月末終値ベース)は、2011年11月の8,435円でした。運用資産が「黒字」化したのは2012年11月ですから、最安値を記録した後1年は「赤字」状態が続いていたことになります。
なお、積み立てを開始した2011年1月当時の日経平均は1万円を超えていました。15%以上の評価損を抱えながらも、根気強く「種まき」、つまり、安値時の買い付けを継続したからこそ、2013年以降に本格化したアベノミクス相場で花が開きました。
相場の急変時に不安心理が働くというのは自然な流れです。しかし、相場下落時に冷静さを失い、積み立てをやめてしまうと、結果として損失だけが残り、それまでの時間も無意味になります。日々の値動きに一喜一憂せず、下落時ほどチャンスと感じられるような発想の転換と、3~5 年以上の積立期間を味方につけることこそが投信積立成功の秘訣(ひけつ)といえます。
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(篠田 尚子)
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