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値動きが激しい小型成長株、買い方と売り方で注意すべきことは?

トウシル / 2023年11月25日 8時0分

値動きが激しい小型成長株、買い方と売り方で注意すべきことは?

値動きが激しい小型成長株、買い方と売り方で注意すべきことは?

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第5回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

 毎回一つクイズを解いてもらいます。クイズの答え合わせをしながら、資産形成に必要な知識を一つずつ身に付けていってください。

小型成長株は半値に下落するリスクも、中上級者向け

「資産形成を始めたいけど、何をしたらいいか分かりません」という方がいます。投資初心者の方は、まずアセットアロケーション(資産配分)を決め、投資信託の内、株価指数に連動するように運用されているインデックスファンドを買っていくのが良いと思います。

 例えば、100万円を使って資産運用を始めるとして、日本株に25%投資すると決めたら、日経平均インデックスファンド(日経平均株価(225種)に連動するように運用するファンド)やTOPIX(東証株価指数)インデックスファンドを25万円買えばいいことになります。

 投資に慣れてきたら、個別株投資にチャレンジしてみても良いと思います。成功すると株価が2倍以上になる小型成長株とか魅力的ですね。自分なりの方法で調べて、おもしろいと思った銘柄を買うと良いと思います。

 ただし、小型成長株投資は良いことばかりではありません。失敗銘柄に投資すると株価が半値になってしまうこともあります。失敗したと分かった時には、半値になるまで放っておかずに、早めに損切りすべきです。投資した小型成長株が買い値から20%も下がった時は、とにかく一度売るべきです。

 損切りできるかどうかが、初心者と中上級者の大きな違いです。大成功も大失敗もある小型成長株は、「ダメな時は損切りする」ことができるようになってから投資した方が良いと思います。

今日のクイズ:小型成長株の値動きで最もあり得るパターンはどれ?

<クイズ>小型成長株A社の株価が15年で10倍(400円→4,000円)になる場合、最もあり得る株価変動パターンはどれでしょう? チャート【1】、【2】、【3】から一つ、選んでください。

 最初の5年は、成長の「黎明(れいめい)期」、次の5年が「急成長期」、最後の5年が「成熟期」です。それを前提に考えてください。

【黎明期】利益はまだ出ないが、大きな夢がある時期
【急成長期】売上高・利益が大きく伸びる時期 
【成熟期】成長は続いているが増益率が5%以下に低下

チャート【1】

チャート【2】

チャート【3】

出所:筆者作成

株価には投資家の「欲望」と「恐怖」が表れる

 株価は常に行き過ぎます。上がる時は上がり過ぎ、下がる時は下がり過ぎるのが普通です。株価には、投資家の「欲望」と「恐怖」が表れるからです。株が上がってくると、「もっともっと上がる」欲望に支配された投資家の買いで、株価は往々にして上がり過ぎます。

 株が下がってくると、「もっともっと下がる」恐怖にとらわれた投資家の売りで、株価は往々にして下がり過ぎます。

 小型成長株は、特に値動きが激しくなります。例えばAI(人工知能)やバイオ関連で画期的新技術が開発される期待があると株価が急騰し、そのまま無限に株価が上がり続けるのではないかと錯覚にとらわれることがあります。

 一方、期待された新技術の開発に失敗し、株価が急落し始めると、そのまま無限に下がり続ける恐怖にとらわれます。

 後で冷静になれば、そんなに慌てる必要がなかったと分かりますが、株価が急騰急落しているさなかに冷静になれる投資家はあまりいません。

正解:最もあり得るのはチャート【3】 

チャート【3】が正解。最もあり得るパターンです。
チャート【2】は必ずしも不正解とはいえません。絶対ないとはいえません。
チャート【1】は不正解。絶対にあり得ません。

 チャート【1】は絶対にあり得ません。小型成長株が、こんな風に一定のペースで上がり続けるならば誰もが気楽に投資できますが、投資家の欲望と恐怖で動く株価がこうなることはあり得ません。

 チャート【2】は、絶対ないとはいえません。誰もが知っている当たり前のビジネスで成長していく企業で、高成長期でもそんなに高い増益率とならなければ、こういうパターンになるかもしれません。ただ、黎明期→急成長期→成熟期と変遷していく小型成長株がチャート【2】のようになる可能性は低いと思います。

 私がファンドマネージャー時代に見てきた小型成長株に最も多いのが、チャート【3】のパターンです。

【再掲】チャート【3】

出所:筆者作成

 黎明期は大きな夢があるので、たびたび株価が急騰しますが、まだ利益が出ていないので、赤字株をどんどん買い上げていくことにやがて不安が出てきます。テーマが去って投資家が冷静になると株価が急落します。

 急成長期は、夢のビジネスがついに黒字化して利益が急拡大するので株価が大きく上昇します。それでも短期的に株価が過熱すると反動で株価が下がることがあります。

 成熟期は、最高益を更新していても、増益率が大幅に低下します。これまで前年比で8割増益とか5割増益とかすごいピッチで成長していた企業の成長率が数%に落ちると、株価はいったん急落します。株価が大きく下がってPER(株価収益率)で割安になると、そこからは成長率が低くても、安定成長株としてまた株価が上昇していきます。

 このような成長株を、高値でつかむ(グラフ中で赤い星印を付けたところで買う)と、株価があっという間に半値になることもあります。マーケットのウワサだけで売買していると、往々にして赤星印を付けたところで買うハメになります。

 長く持てば株価10倍になる成長株を、何度も売り買いして損ばかり、という人もいます。ご注意を。

失敗した場合の損切りルールが必要

 値動きの激しい小型成長株投資では、失敗した銘柄を売る「損切りルール」が必要だと思います。成功した銘柄は持ち続け、失敗した銘柄をきっちり売っていくことが、成長株で成功する鍵です。

 損切りルールとは、「買い値より10%下がったら売る」とか、「買い値より20%下がったら売る」というように、損切りラインを決めておくことです。何%下がったら売るかは、投資家が自分で決める必要があります。決めたら、そのルールをきっちり守って損切りすることが必要です。

 私は、「20%下がったら、どんな理由があっても絶対売る」と決めておくことが良いと思います。小型成長株を買ってから20%も下がるということは、何か大きな間違いをしているということです。どんな理由があっても売る、と決めておいた方が良いと思います。

 もちろん「10%下がったら売る」というルールでも構いません。皆さまが管理しやすいパーセントで結構です。以下は、損切りがなぜ必要なのか分かっていただくために、作成したイメージ図です。

急落する失敗銘柄を早めに損切り(イメージ図)

出所:筆者作成

 成長株投資で大成功して一財を成した人は、大もうけした銘柄の話をよくしますが、その陰には失敗銘柄を早めに損切りした話がたくさんあるはずです。それができたからこそ、本物の成長株で大もうけすることができたに違いありません。

 失敗銘柄を、早めに損切りできることが、高成長銘柄で稼ぐための条件となります。ところが、成長期待企業の、成長ストーリーが崩壊していることに気付くには時間がかかります。失敗銘柄が失敗銘柄だと、はっきり分かった時には、株価は暴落して大けがした後です。

 そうなる前に、「なんか変」と感じた段階で、すばやく損切りすることが必要です。どんなに遅くとも、20%下がった時には、損切りすべきだと思います。

▼著者おすすめのバックナンバー

窪田真之のクイズでわかる!資産形成
2023年11月18日:「予想配当利回り6.5%の小型株と3.2%の大型株、買うならどっち?」
2023年11月11日:「日経平均とTOPIXのインデックスファンド:買うならどっち?」
2023年11月4日:「安定感のNTT株と利回り10%の債券、買うならどっち?」

(窪田 真之)

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