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いよいよ年末!年内にできる税金対策「益出し・損出し」の注意点

トウシル / 2023年12月1日 11時0分

いよいよ年末!年内にできる税金対策「益出し・損出し」の注意点

いよいよ年末!年内にできる税金対策「益出し・損出し」の注意点

節税をすれば余計な税金を払わなくて済む

 2023年もいよいよ残すところあとわずか。2023年分の株式投資の税金については、2024年3月15日までに確定申告することになります。ただ、2024年になってから何か対策ができるかといえば、そうではありません。2024年は単に税金の計算をするだけです。

 したがって、節税をして余計な税金を払わないようにするためには、年内に対策をしておく必要があるのです。

 年内にできることとしては、主に「益出し」と「損出し」です。益出しは、含み益のある株を売却して利益を実現させること、損出しは含み損のある株を売却して損失を実現させることです。

2023年の実現損益がプラスの場合・損出しする?

 まずは、2023年の実現損益と、過去から繰り越した損失の額を把握するところからスタートしましょう。

 実現損益がプラス、かつ過去から繰り越した損失がなければ、そのまま何もしなくてもよいですが、もし含み損を抱えた株があり、売却してもよいと思うのであれば損出しして損失を確定させれば、実現益が減少して税金を少なくすることができます。

 実現損益がプラスで、過去から繰り越した損失がある場合は、損出しをするかどうかは慎重になる必要があります。

 なぜなら、過去から繰り越した損失を2023年の利益と相殺するときの順番として、まず2023年の損益を通算して、残った利益と過去から繰り越した損失と相殺することになっているからです。

 特に、2020年に生じた損失は、2023年に相殺できなければ切り捨てになってしまいますので注意が必要です。

 例えば2020年に生じた損失が50万円、2023年の現状の実現益が60万円の場合、このままであれば2020年の損失の全額を2023年の利益と相殺できます。

 しかし、含み損が25万円ある株を売却すると、2023年の実現益が35万円に減少してしまい、2020年の損失50万円のうち15万円は相殺できずに切り捨てとなってしまうのです。

2023年の実現損益がマイナスの場合・益出しする?

 2023年の実現損益がマイナスの場合、過去から繰り越した損失がなければ、特に益出し(含み益のある持ち株を売却)する必要はないと思います。ただし、来年3月15日までに確定申告をして、2023年の損失を翌年以降に繰り越すことを忘れないようにしましょう。

 2023年の実現損益がマイナスで、かつ過去から繰り越した損失(特に2020年の損失)がある場合、このままでは2020年の損失が利益と相殺できず切り捨てになってしまいます。

 そこで、もし含み益がある株を持っているのであれば、これを売却して益出しし、2020年の損失と相殺できないかどうか検討してみましょう。

 この場合も上のケースと同様、まず2023年の利益と損失を相殺し、利益が残ったときに初めて過去から繰り越した損失と相殺できますので注意が必要です。

 例えば2020年に生じた損失が50万円、2023年の現状の実現損が10万円の場合、益出しにより利益を60万円出せば、2023年の実現益が50万円になり、2020年の損失を全額2023年の利益と相殺できます。

 しかし、2020年に生じた損失が50万円、2023年の現状の実現損が70万円の場合、益出しにより利益を60万円出しても、2023年はまだ10万円の実現損となるため、2020年の損失と相殺できる利益はなく、損失が切り捨てになってしまいます。この場合は、無理に益出ししなくても良いと思います。

特定口座で保有する株を益出しする際の注意点

 含み益のある株を売却して益出ししたけれど、その株を今後も持ち続けていたい、というケースもあると思います。その場合は益出しした後に同じ株を買い直すことになります。

 このとき、特定口座で保有する株を益出しする際に注意する点があります。それは、株を売った日と同じ日に同じ株を買った場合です。

 例えば特定口座で、1,000円で買った株が現在2,000円になっているとしましょう。これを益出しして、同じ日に同じ株を買い直せば、2,000円-1,000円=1,000円の利益が得られ、買い直した株の取得価額は2,000円になる…と思ってしまいますが、実はそうならないのです。

 特定口座の場合、同じ日に売り→買いを行っても、「買い→売り」の順番で売買が行われたとみなして損益を計算するルールになっているからです。

 ですから上のケースでは、1,000円でもともと持っていたものを追加で2,000円で買ったこととなり、1,000円+2,000円で平均単価が1,500円になります。これを2,000円で売ったことになるので、利益は500円と計算されるのです。

 1,000円の益出しをしたと思ったら、実際には500円しか益出しできないことになってしまうのです。

 これを避けるためには、益出しした翌日以降に買い直す、もしくは益出しした後に信用取引で買い建てて、翌日以降に現引きをする、という対策が必要となります。

 上記は益出しの場合の説明ですが、損出しの場合も同様です。同日に損出し→買い直しをしてしまうと、思っていたよりも損失の額が小さくなってしまう恐れがありますから、十分に注意しましょう。

(足立 武志)

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