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ドル/円反発148円。ドル売られ過ぎ、利下げ期待しすぎの反動

トウシル / 2023年12月1日 10時20分

ドル/円反発148円。ドル売られ過ぎ、利下げ期待しすぎの反動

ドル/円反発148円。ドル売られ過ぎ、利下げ期待しすぎの反動

今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは148.95

 ↓下値メドは146.90 

日銀: 2024年4月にゼロ金利解除か
米利下げ:2024年5月FOMC会合までの利下げ確率予想、72%まで上昇
英インフレ:BOE「インフレは近い将来、急速に下落すると予測」
欧州不況:11月製造業PMIの新規受注、過去最低水準に落ち込む
スイス利上げ:SNB「追加利上げの可能性ある」

市況

 2023年239営業日目のドル/円は、前日比0.97円の「円安」。24時間のレンジは1.69円。
11月30日(木曜)は147.12円でオープン。東京時間朝に147.00円を割ったが前日の安値146.66円には届かず、146.83円がこの日の安値となった。欧州市場ではドル買い戻しが優勢になった。夜遅くには147円台を通り抜けさらに148.00円を超えて、この日の高値148.52円をつけた。終値は148.19円。

 今年最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)が2週間後に迫るなかで、今週前半はFRB(米連邦準備制度理事会)高官から、追加利上げに対して慎重な意見が相次いだ。FRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派として知られるウォラーFRB理事が「現在の金融政策は適切な状態にある」と12月の利上げに慎重な意見を述べ、さらに来年の「利下げ」まで言及したことがドル売りを誘った。

 ところがこの日は、FRBのご意見番であるウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が、「政策金利はほぼピークに達した」との見解を示しながらも「インフレ圧力が続けば再利上げもある」と発言したことで全般的なドル買いが優勢になった。今週1.10ドル台まで上昇して8月以来の高値をつけたユーロ/ドルは1.08ドル台まで大幅に下落(ドルは上昇)した。

 どうやらFRBは、FOMCに向けてタカ派とハト派のフォワードガイダンスのバランスを上手にとりながら、マーケットを誘導しているようだ。長期金利が大幅に上昇するのは困るが、一方で「利上げ終了」が過度に織り込まれることによって、緩和状態に早戻りしてインフレが再燃することもFRBとしては避けたい。マーケットは、来年のFRBは最大1.25%利下げすると予想しているが、これは先走り過ぎだとFRBは考えている。今夜はパウエルFRB議長のスピーチが予定されているが、マーケットの利下げ期待をけん制するような、やや強気の発言をする可能性もある。月末の調整が過ぎたこともありドルが一段と買い戻される可能性もある

レジスタンス:
148.52円(11/30)
147.90円(11/29)
148.50円(200時間移動平均)

サポート:
146.83円(11/30)
146.66円(11/29)
146.44円(09/12)

市況チャート

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2023年 ドル/円 データ

出所:楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

トレーディングは単純であるが、決してたやすくはないということを彼らは認識していない

I Can't Go For That

 FRBが期待しているのは「良い失業」の増加だ。「悪い失業」とは、不況リストラによる失業率の上昇だが、「良い失業」とは、労働力人口の増加によって失業率が上昇することだ。いったん仕事を辞めた労働者や失業給付金を使い果たした人たちが再び雇用市場に戻ってくることで、人手不足が解消に向かい、賃金上昇率も低下する状況をFRBは待っているのだ。

 しかし、現実は厳しい。2021年は、1月から10月までの就業者が毎月平均55万人増えたが、2022年の同期間は月平均43万人と、大幅に鈍化した。さらに2023年は月平均26万人と、2021年の半分以下に落ち込んでいる。

 これは、米労働市場の利用可能な労働力の原資がほぼ使い果たされてしまったからだ。つまり、働く意思のある者はすでになんらかの仕事に就いているということであり、これ以上いくら待ったところで就業者は増えない可能性が高い。雇用市場のヒートアップは今後も続き、企業は労働力を確保するために賃金を引き上げ続けるなかで、インフレは高止まりすることになる。

 するとFRBに残された最後の手段は、リセッション覚悟の利上げを行うことでインフレ率を引き下げることしかない。最終的にFRBは勝利して、インフレは低下するだろう。しかし、その引き換えに米経済は深い傷を負い、不況とリストラによる真の雇用喪失という「悪い失業」が大量発生することになる。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目テクニカルレベル

出所:楽天証券作成

Winners & Losers

出所:楽天証券作

(荒地 潤)

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