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積み立て投資だと「ドルコスト平均法」でリターンが拡大するって本当?

トウシル / 2023年12月16日 8時0分

積み立て投資だと「ドルコスト平均法」でリターンが拡大するって本当?

積み立て投資だと「ドルコスト平均法」でリターンが拡大するって本当?

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第8回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

積み立て投資で効果を発揮する「ドルコスト平均法」

 これから資産形成を考えている方は、月々1万円とか2万円とか、金額を決めて積み立てていくのが良いと思います。積み立て投資は、日経平均株価(225種)やS&P500種指数(米国を代表する株価指数)などの指数に連動するインデックスファンドやETF(上場投資信託)のような、値動きの荒いアセットへの投資に適しています。

 積み立て投資の威力(ドルコスト平均法)を理解いただくために、簡単な例を作りました。まず、以下のクイズを解いてみてください。

今日のクイズ:値動きが乏しい投信と激しい投信、積み立てるならどっち?

<クイズ>以下の投信A・投信Bに、1カ月後と2カ月後に1万円ずつ投資した場合、3カ月後の資産価値は、どちらが大きいでしょう?

◆【投信A】値動きが乏しいアセット
 1万円でスタート、1カ月後、2カ月後、3カ月後も1万円のまま。

◆【投信B】値動きが激しいアセット
 1万円でスタート、1カ月後に1万2,000円に上昇(スタート時より+20%)、2カ月後に8,000円に下落(スタート時より▲20%)、3カ月後にスタート時の1万円に戻る。 

 投信A・投信Bはどちらも、1万円でスタートして、3カ月後も1万円です。ところが、積み立て投資した場合、投信Aと投信Bでは3カ月後の資産価値に差が生じます。

●荒れないより荒れた方が良い?

 日本株・米国株とも急落・急騰を繰り返しながら上昇しています。日経平均あるいはS&P500に連動するインデックスファンドやETFに積み立て投資をしている方には、落ち着かない日々が続きます。

 大荒れの資産に投資する時、投資タイミングに迷います。長期的に上昇する期待があるとはいっても、短期的にいきなり急落することもあります。投資した途端に急落しないか不安です。

 そんな時、有効なのが積み立て投資です。毎月一定額を投資し続けることで、投資タイミングのリスクを軽減できます。いつ投資したら良いか考えるわずらわしさから解放されます。

 それに加え、もう一つメリットがあります。積み立て投資で大荒れの資産に投資すると、「ドルコスト平均法」でリターンが拡大する期待があることです。今日は、ドルコスト平均法の効果を計算によって実感していただくクイズです。

正解は値動きが激しい投信です

【正解】値動きが激しい投信Bに投資した方が得です。

 投信Aでは、投資した2万円が、3カ月後に2万円のままですが、投信Bでは、投資した2万円が、3カ月後に2万0,800円に増加します。

【解説】

 投信Bに、1万円ずつ投資し続けると、価格が1カ月後に上がった時には少ない量しか買えませんが、価格が2カ月後に下がった時にたくさん買えます。高い時に少し買い、安い時にたくさん買う運用が、自然にできていることになります。

【さらに詳しい解説】

 一方、投信Aは価格が動きません。1カ月後に1万円で1単位、2カ月後にも1万円で1単位、合わせて2単位、買えます。その評価額は、3カ月後に2万円です。値動きがないので、損も得もしません。

 投信Bは、どうでしょう?

 1カ月後、1万2,000円に上昇したときは、1万円で0.83単位しか買えません。1万円しか投資しないので、価格が1万2,000円の投信Bは、0.83単位(10,000÷12,000)しか買えません。

 ところが、8,000円に下がった2カ月後には1万円で、1.25単位(10,000÷8,000)買えます。合わせて2.08単位(0.83+1.25)、取得できます。3カ月後に価格が1万円に戻れば、評価額は、2万0,800円となります。2万円投資して2万0,800円になるので、800円だけ資産価値が増えます。

ファンドマネージャーにとってもうれしかった「積み立て投資」

 私は、25年間、年金・投資信託などの日本株を運用するファンドマネージャーでした。ファンドマネージャー時代に、とても残念に思ったことと、うれしかったことがあります。

 まず、残念なこと。私が運用していた公募投資信託(日本株のアクティブ運用ファンド)では、日経平均の高値圏で設定(買い付け)が増えるのに、日経平均の安値圏では、ほとんど設定がありませんでした。株は安い時に買って、高くなった時に売ると利益が得られるわけですが、公募投信では、残念ながら、その逆の動きが見られました。

 次に、とてもうれしかったこと。私が運用していたファンドが、DC(確定拠出年金)の運用対象となったことです。多数の企業に採用していただけました。DCでは、毎月、一定額の設定が入り続けます。加入者の方に、定時定額で積み立てしていただいたことになります。そうすると、日経平均の高値でも、安値でも、淡々と設定が入ってきます。

 日経平均が大暴落して世の中が総悲観になっている時、往々にして、絶好の投資チャンスとなっています。ファンドマネージャーとしては、そんな時こそ、しっかりと投資を増やしてほしいと思います。ところが、公募投信では、そういう時に、設定が入ってきません。

 私が運用していたDCファンドでは、定時定額の積み立て投資が入ってきますので、2008年のリーマン・ショックで日経平均が大暴落し、世の中が総悲観になっている時でも、淡々と積み立てが入ってきました。2020年2月のように、コロナショックで急落したところでも、積み立て投資では安くなったところで投資が続けられています。

 誰でも、株は安い時に買って、高い時に売りたいと思うのでしょうが、言うのは簡単で、やるのはとても難しいことです。そうするためには、世の中総悲観になっている時に、株を買い、みんなが明るくなって強気になっている時に、株を売らなければなりません。

 それは、少しひねくれた人にしかできないことです。普通の素直な人は、みんなが明るくなっている時に、株を買いたくなり、暗くなっている時に、株を売りたくなるでしょう。

 普通の素直な人は、いいタイミングで株を買い、いいタイミングで売ろうと変にしない方がよろしいかと思います。それでは、どうするべきか? 私は、定時定額(例えば毎月1万円)の積み立て投資をしていくべきだと思います。

(窪田 真之)

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