ドル/円141円台まで円高。市場はFRBの利下げ材料に強く反応
トウシル / 2023年12月28日 9時59分
ドル/円141円台まで円高。市場はFRBの利下げ材料に強く反応
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは142.65円
↓下値メドは141.35円
ガソリン価格下落:在宅勤務ができて、ソファに寝ころんだままネットで買い物ができる時代に、車を運転する必要がどこにあるのか?
物価概念:コロナ以前の物価安定は、消費者に、商品の「あるべき」価格という考えをもたらした。たとえ値上げペースが緩やかになったとしても、現在の価格水準があまりにも高いことに憤りを感じ、消費行動を抑える傾向がある。
円:世界最大級運用会社ピムコが円ショートからロングへ転換。 日銀政策変更へ期待
イタリア格上げ:ムーディーズ;見通しをネガティブから安定的に
BOE:ラムズデン副総裁「金融政策において「強固なコントロール」アプローチをとる必要性は低い」
市況
2023年258営業日目のドル/円は、前日比0.55円の「円高」。24時間のレンジ幅は1.30円。
12月27日(水曜)は142.33円でオープン。日銀の政策転換の期待が後退したことで円安に動き、東京時間朝にこの日の高値となる142.85円をつけた。
しかしドル買い/円売りは143円に届く前に失速した。NY市場では米10年債利回りが5ヵ月ぶりの水準まで低下したことがドル安要因となって、明け方にこの日の安値となる141.55円をつけた。終値は141.82円。ドルが売られた一方で、NY株式市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待を背景にダウ平均が史上最高値を更新した。
12月のドル/円の高値は、01日の148.33円。安値は、07日の140.91円。レンジの中心値は144.62円。現在のレートは、この中心値から見て円高水準に位置している。
レジスタンス:
142.85円(12/27)
143.10円(200時間移動平均)
143.58円(12/21)
144.10円(12/20)
サポート:
141.55円(12/27)
141.43円(12/15)
140.91円(12/14)
140.69円(07/31)
日銀の植田総裁はインタビューで、来年にマイナス金利が解除される可能性はゼロではないとしながらも、1月22-23日に行われる日銀会合で決定するにはまだ早いとの見方を示した。植田総裁は、来年の2%インフレの実現には自信が持てないと早期の政策変更に億劫な態度で、早期政策変更の期待がまたしても盛り下がったことが円売りにつながった。
ただ金融市場はいつまでたっても行動しない日銀よりもFRBの利下げにより強い関心を示している。ユーロ/ドルは1.1123ドルと7月27日以来5カ月ぶりの高値を更新した。
レジスタンス:
1.1123ドル(12/27)
1.1150ドル(07/27)
1.1229ドル(07/20)
1.1240ドル(07/19)
サポート:
1.1028ドル(12/27)
1.1005ドル(12/26)
1.0996ドル(12/25)
1.0994ドル(12/22)
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
投資は自分の人生の目的をかなえる手段であって、目的そのものではない
Don’t Look Back In Anger
FRBは、1970年代に金融引き締めを途中であきらめてしまったためにインフレの再暴走を許したというトラウマを持っている。そのためFRBは、経済成長率が顕著に鈍化したと確認できないかぎり金融緩和に踏み切れないでいるのだ。
米国経済は、経済データから明らかなように、FRBの金融引き締めにもかかわらず、予想よりはるかに好調だ。この背景には、米個人消費の予想以上の強さがある。これは、失業の不安が少なく給料が順調に増えているからで、将来に備えてコツコツ貯金するより、今パーッと買い物をして楽もうとすることが消費拡大につながっている。
しかし、それはあくまでも表面のことで、実際は支出が前倒しされているだけのことだ。2024年には、これまでの反動で急速な消費の落ち込みが発生するリスクが高まっている。来年第1四半期には、雇用市場も悪化して就業者数がマイナスになる可能性が高いといわれている。積極的な消費行動は2023年が最後かもしれない。
米国の経済データが強ければ強いほど、皮肉なことにマーケットはハードランディングの確率を高める。FRBが景気抑制のためにさらに強い手段に訴えるほど、米経済の墜落事故の可能性が高まるからだ。FRBは来年3月の0.25%を皮切りに利下げサイクルに入り、2024年末には政策金利を2.75%まで引き下げる(現在5.50%)と金利市場は読んでいる。これほどまでに積極的に利下げを織り込んでいるのは、米国のリセッションを予想しているからだ。
今週の注目経済指標
今日の重要ブレークアウトレベル
過去10日間、過去20日間、過去60日間、過去90日間のそれぞれの高値と安値です。
複数の期間で同じ高値(安値)になっているところは、強いレジスタンス(サポート)の水準です。
ヒートマップ分析
(荒地 潤)
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