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ついにETF承認!~1月のビットコイン見通し~

トウシル / 2024年1月14日 11時0分

ついにETF承認!~1月のビットコイン見通し~

ついにETF承認!~1月のビットコイン見通し~

12月のビットコインイベント

NEW! 12月14日 ハードウエアウォレットLedgerでハッキング・その後、全額補償
NEW! 12月22日 SEC、ETF申請各社に12月29日期限で修正申請要求

*2023年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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材料面から見た1月見通し

12月の振り返り

12月のビットコイン価格(円)とイベント

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 12月のBTCは高値圏でのもみ合い。年初来高値を更新したものの乱高下を繰り返した。

 タカ派で知られるウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事が利下げに言及、パウエルFRB議長の講演もハト派に受け取られる中、利上げ打ち止め・早期利下げ観測が浮上する中、BTCはじりじりと4万ドルを回復した。

 またブルームバーグのアナリストがETF(上場投資信託)承認時期を1月8~10日と予想、さらにブラックロックがSEC(米証券取引委員会)との協議を経てETFの申請書を修正・再提出したことが、承認に向けた前向きな動きと好感され、4万4,000ドル台に上昇、年初来高値を更新した。

 しかし同水準で上げ渋ると、フラッシュクラッシュ(瞬間的に相場が大きく動くこと)気味に急落、安全と思われたハードウエアウォレットLedgerのハッキング事件もあり4万ドル近辺に値を下げた。

 しかしハト派とされたFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けた米長期金利の低下などもあり下げ渋ると、アークインベストメントがSECの意向を受け申請書を修正再提出、ブラックロックなどもこれに続き、BTCは4万4,000ドルを回復した。

 さらにSECは、申請各社に、年内に同様の修正再提出を求めたことにより、1月上旬での承認期待が膨らんだ。しかし、月末にかけてはマイナーの利食い売りなどもあり、上値の重い展開が続いたが、年が明けるとETF承認期待で大きく上昇している。

材料面から見たBTC見通し

利下げ観測

 12月のBTC市場が上昇した要因はFRBの利下げ観測とETFの承認観測だった。前者については11月のFOMCで2会合連続の利上げ見送りとなり、利上げ打ち止めが確実視されることとなった。

 これでこの材料での上昇は一服、次は利下げ時期が焦点となったが、月末近くにウォラー理事が数カ月以内に利下げする可能性に言及したことで、利下げを織り込みに行く展開となり、12月のFOMC後の記者会見でパウエル議長が利下げの議論を始めたと言及、3月利下げをほぼ織り込み、5月までに2回、6月までに3回の利下げを織り込むに至った。

FF先物(3月限・5月限・6月限)金利推移

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 FRBのロジックは、インフレ率が順調に低下すれば、名目の政策金利が一定でも実質金利が上昇する(実質金利=名目金利-インフレ率)ので、引き締めすぎを避けるために利下げが必要となるというもの。

 それゆえ、12月時点で、2024年のいつから利下げを始めるか議論しても答えは出ず、月央以降、FRBは市場の織り込みすぎに警鐘を鳴らし始め、月末にかけてのBTC相場の重しとなった。

GBTCプレミアム(市場価格/純資産価格-1)とBTC/USD価格

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

ETF承認期待

 もう一つの相場のけん引役は、BTC現物ETFの承認観測だ。上記はグレースケールのBTC私募ファンドGBTC(ビットコインの価格と連動した投資信託)の理論価格と市場価格との乖離(かいり)だ。ETFではこうした乖離が生じないようにマーケットメーカーが裁定取引を行う。

 この裁定取引の決済方法について、ブラックロックなど申請各社とSECとが協議を始めていることが伝わり、市場は承認が近いと受け取り、上記の乖離幅も縮小した。すなわち、ETF承認を前提とした詰めの協議を行っているからだ。

 細かい話だが、マーケットメーカーと発行会社との決済で、BTC現物での受け渡しも可能としようとした発行会社に対し、SECは現金での決済にこだわった。するとアークインベストメントを皮切りに発行会社側が折れてSECの主張を受け入れたため、これで障害はほぼなくなったと市場はさらに承認を織り込み始めた。

今後の展開

 まず前者だが、FRBがいつ利下げを開始するかは少なくとも今月末のFOMCと2月のCPI(消費者物価指数)を見てみないと何とも言えない。そうした中、市場の思惑が揺れ動く展開が予想される。一方で後者については答えが出た。既に承認を織り込んでいたため、承認時の上昇は限定的だった。

 次の注目はETFローンチ後、どれだけの資金が流入するかだ。詳しくは別稿に譲るがETFが承認されれば、機関投資家がBTCのエクスポージャーを取りやすくなり、投資家のすそ野が拡大、BTC市場に新たな資金が流入すると期待されている。その新規の買いフローと期待先行で買い進めたポジションの利食い売りとのどちらが強いかが、今後の焦点となる。

 金ETFやBTCの先物ETFの際、ローンチ後はいったん利食い売りが強くなった。逆説的だがETF承認期待という最大の買い材料がなくなり投機ポジションの手じまい売りが殺到する一方で、ETF登場を機に新規に参入する投資家はいったん様子見をする可能性がある。

 ご祝儀的な買いが相応に出る可能性もあるが、筆者がファンドマネージャーなら今の過熱した相場に飛びつかず押し目を狙うだろう。ただ、はたしてどうなるかは、フタを開けてみないと分からない。

テクニカル面で見たBTC相場見通し

BTC/USD 2022年3月の戻り高値

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 まず2022年3月の戻り高値4万8,300ドルが当面のレジスタンスとなる。また5万ドル近辺は2021年8~9月と12月にもみ合った水準で相応のレジスタンスとなりそうだ。逆にここをクリアに抜けると6万ドルや史上最高値6万9,000ドルが見えてくる。

BTC/USD 2013年ピーク後の戻り高値

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

BTC/USD 2017年ピーク後の戻り高値

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

BTC/USD 2021年ピーク後の戻り高値

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 半減期による4年サイクルで見ると、2013年のピーク、2017年のピークからボトムアウトした後の次の半減期までの戻り高値は、ピークのそれぞれ67%、70%だった。このアノマリーで行けば、今回の戻り高値のめどは、2021年11月のピーク6万9,000ドルの70%、4万8,300ドルとなる。

 4万8,000ドルから5万ドルが強めのレジスタンスで、予想外にETFに資金が流入しない限り、半減期まではこの辺りが天井になりそうだ。

BTC月別騰落一覧

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 恒例の月別の騰落率で見ると、1月は過去13年で7勝6敗とあまり傾向はない。ただし、過去12年で陽線が4カ月以上続いた9回中、4カ月で終わったのは2回だけ。8割近くが翌月も陽線が続いている。

 またおもしろいことにこの陽線の連続は6カ月まで。すなわち3カ月を超えるような本格上昇は4カ月では終わることは少ないが、6カ月までに終わる傾向がみられている。アノマリー的に1年でも最強の2月も陽線が続き、3月に陰線が出る可能性が高いことが読み取れる。ただ、今月は執筆(11日)時点で既に月初から8%程度上昇しており、ここから先の上値余地は限定的と考える。

まとめ

 まとめると、ここから1月のBTC相場は上値の重い展開か。

 ETF承認という最大の買い材料が消滅、3月以降の利下げについても決定打は出そうにない。そうした中、4万8,000~5万ドルゾーンを抜けるのは難しそうだ。いったんはSell the Fact(うわさで買って事実で売れ)気味に上値を押さえられそうだ。ただし、ETF誕生を機に参入を希望する投資家が押し目では待ち構えていそうで、下値も堅い展開が予想される。

2023年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)

11月22日 SEC、ETF実現に向けグレースケール・ブラックロックと協議
11月21日 バイナンス、テロ資金供与認め43億ドル罰金、CZ氏退任
11月20日 アルゼンチン大統領選でペソ廃止派ミレイ氏勝利、ペソ建てBTC史上最高値
10月17日 ブラックロックCEO BTCは「質への逃避」
10月16日 ブラックロック分BTC ETF承認誤報
10月14日 SEC、グレースケール裁判の控訴断念
9月28日 SEC、ブラックロック申請分などのETF可否判断再延期
9月19日 野村ホールディングス、子会社でBTCファンド提供
9月10日 インド、今後数カ月で暗号資産に対するスタンスを決定
8月31日 SEC、ブラックロック申請分などのETF可否判断延期
8月29日 グレースケール、SECに勝訴
8月17日 スペースX、保有BTC売却
8月2日 ライトコイン半減期
7月13日 リップル、SECに部分勝訴
7月6日 ブラックロックCEO、BTCは国際的資産
6月15日 ブラックロック、BTC現物ETFを申請
6月6日 SEC、コインベースを提訴
6月5日 SEC、バイナンスを提訴
5月23日 香港当局、個人向け暗号資産取引解禁・CCTVが報道
5月22日 ビットコイン・ピザデー
5月8日 PEPE騒動の影響でBinanceで入出金停止
4月25日 コインベース、SECを提訴
4月24日 ファーストリパブリック銀行決算発表で1,000億ドルの預金流出判明
4月19日 SEC委員長、下院公聴会で批判集まる
4月12日 ETH上海アップデート
3月27日 CFTC、Binanceを提訴
3月22日 コインベース、SECから訴追予告受け取る
3月22日 SEC、ジャスティン・サン氏らを起訴
3月12日 シグニチャー銀行が経営破綻、閉鎖へ
3月8日 シルバーゲート銀行清算を持ち株会社が発表
2月23日 ゲンスラーSEC委員長、BTC以外は証券に該当する可能性
2月13日 パクソス、Binance USD(BUSD)発行停止
2月9日 クラーケン、ステーキング停止
1月19日 ジェネシス・グローバル・ホールドコ、チャプター11申請
1月17日 香港拠点のBitzlatoのCEOを米当局が逮捕

*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。

**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。

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(松田 康生)

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