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日経平均一時3万6,000円、S&P500は史上最高値。何が起こっている?(窪田真之) 

トウシル / 2024年1月22日 7時45分

日経平均一時3万6,000円、S&P500は史上最高値。何が起こっている?(窪田真之) 

日経平均一時3万6,000円、S&P500は史上最高値。何が起こっている?(窪田真之) 

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日経平均3万6,000円、S&P500最高値。何が起こっている?

米景気ソフトランディング期待高まり日米株が高値

 1月に入ってから日経平均株価が急騰、1月19日の終値は2023年末より2,499円(7.5%)高い3万5,963円となりました。19日に一時3万6,076円をつけています。史上最高値(1989年12月29日の終値3万8,915円)が視野に入ってきました。

 米国株も強く、S&P500種指数(米国を代表する株価指数)は19日に史上最高値を更新して、4,839ポイント(終値)をつけました。

 何が起こっているのでしょうか? 一言で言うならば、「米景気ソフトランディングの期待が高まった」ということです。過去2年の、日経平均と米国の大型グロース株比率の高いナスダック(ナスダック総合指数)の推移をご覧ください。

日経平均・ナスダック総合指数推移:2021年末~2024年1月19日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成、2021年末を100として指数化

 減速しつつある米景気がハードランディング(景気後退に陥る)するか、ソフトランディング(景気後退にはならずに持ち直す)するか、2年以上にわたって延々と議論が続いて、いまだに結論は出ていませんが、足元はソフトランディングの期待が高まっているところです。

 日本の景況は、米国よりも良好です。米景気ハードランディング不安が強まる時には上値が抑えられますが、ソフトランディング期待が高まると、上値を抜けます。1月に入ったところで、米ソフトランディング期待の高まりから、日経平均は一気に高値を抜けた形です。

今年に入り外国人投資家が日本株を1.3兆円超買い越し

 日経平均急騰を引き起こしたのは、外国人投資家です。今年に入り12日までで、外国人投資家は日本株を、株式現物と株価指数先物を合わせて1.3兆円超、買い越しています。

 いつも説明している通り、日本株の動きを支配しているのは外国人です。外国人が買うと上がり、外国人が売ると下がる傾向が、過去30年以上続いています。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2024年1月19日(外国人売買動向は2024年1月12日まで)

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成 注:外国人売買は、株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

 米ソフトランディング期待が日経平均上昇の背景にありますが、それだけではありません。1月に入り、円安が進んだことが、外国人の日本株買いを呼び込みました。

円安になると日本株が買われる理由

 1月に入り、円安が進んだことが、外国人買い急増の直接のきっかけとなりました。

 円安は、「日本の企業業績にとってプラス要因」なので日本株が上がりやすくなります。ただし、それだけではありません。日本株の動きを支配している外国人投資家が、「円安になると日本株を買いたくなる」ことが、日本株が上がる最も直接的な理由です。

日経平均・ドル建て日経平均とナスダックの動き比較:2021年末~2024年1月19日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成、2021年末の値を100として指数化

 外国人投資家は、ドルを円に転換して、日本株に投資します。したがって、日本株(円建て)が下落するまたは円安(対米ドル)が進むと、外国人投資家にとってのリターンは下がります。

 逆に、日本株(円建て)が値上がりする、または円高が進むと、外国人投資家にとってのリターンが高まります。つまり、日経平均に投資した外国人のリターンは、「ドル建て日経平均」の動きに表れているわけです。

 上のグラフを見ていただくと、円安(ドル高)が進んだ2022年にかけて、日経平均はほとんど横ばいなのに、ドル建て日経平均は大きく値下がりしています。日経平均に投資している外国人は、円安によって投資価値が目減りしていったわけです。

 外国人投資家にとって、円安が進む時は、次の二つのことが同時に起こるので、円安では外国人は日本株を買いやすくなります。

【1】 ドル建て日経平均が値下がり(日本株を安く買えるようになる)
【2】 日本株の業績が円安で改善する期待が出る

円高リスクに要注意

 昨年12月も、米景気ソフトランディングの期待が高まりつつありましたが、急激な円高が進んだことが、日経平均の上値を押さえました。今年1月に入り、米景気ソフトランディング期待がさらに高まる中で円安が進んだことが、外国人の日本株積極買いにつながりました。

 今後の展開として、為替の動向には注意が必要です。これから、米利下げが視野に入ってくる中で、日本では日本銀行がマイナス金利の解除に動く可能性もあります。そうなると、また円高に反転する可能性もあります。円高に反転すると、日本株が外国人投資家に売られやすくなります。

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと判断しています。ただし、一本調子の上昇は見込めません。短期的には、円高などで下落する局面もあると思います。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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(窪田 真之)

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