日経平均とS&P500、米雇用統計でこれが出たら要注意!
トウシル / 2024年1月25日 7時30分
日経平均とS&P500、米雇用統計でこれが出たら要注意!
日経平均とS&P500高値更新、ITバブルやリーマン前に近似?
日経平均株価(225種)はバブル経済後の高値更新、米国S&P500種指数は史上最高値更新と威勢の良い動きとなっていますが、私は現在、ITバブル時やリーマン・ショック前と似た感覚を覚えています。
そのような中、雇用統計において、ここ30年で新型コロナウイルス感染症拡大時を除くと、ITバブル崩壊時とリーマン・ショック前の2回しか出ていないものがあって、それが今後、出てくる可能性が高いのではないかとみています。
それが出ると、日米株価ともにその後、大きく下落していった経緯がありますので、今回、その指標が何なのか、どうなったら要注意なのかについて、お伝えをしていきたいと思います。
米雇用率が直近ピークから0.5%落ち込むと株価下落!?
まずは、ITバブル時を見ていくこととしましょう。雇用統計と日米株価の推移は、次のようになっています。
(表1)雇用統計と株価の推移(2000年1月~2001年12月)
雇用統計においては、失業率、雇用率、労働参加率を取り上げていますが、私が着目している指標とは「雇用率」で、「直近のピークから0.5%下がったタイミング」を注視しています。
一般には失業率に注目が集まっていますので、失業率が0.5%変化したタイミングはどのようになっているのかを見ると、ボトムの時期は2000年4月で、そこから0.5%上がったのは2001年5月となっています。
その2001年5月に「景気が悪くなった」と判断して売ろうとしても、日米株価はすでに大きく下げたところとなっています。
それに対して、雇用率の方を見ると、ピークは2000年4月、そこから0.5%下がった時期は2000年7月であり、日経平均はそれなりに下げたところとなっていますが、S&P500の方はまだ明確に下げる前を捉えられる形となっています。
なぜ、雇用率の方が失業率よりも株価を捉えるのに良いタイミングになるのかというと、雇用率は働いているか、働いていないかで決まってきますが、失業率の方は、働きたいけど職が見つからない人なのか、職探しを諦めた人なのかで失業者にカウントされるかされないかが変わってくるため、仕事をしていない人ということでは変わらないのですが、失業者とするか否かによって失業率の値がブレてくるためと考えています。
次に、リーマン・ショック前後について見てみましょう。
(表2)雇用統計と株価の推移(2006年7月~2008年12月)
表2において、雇用率のピークは2006年12月、そこから0.5%下がった時期は2007年7月となっていて、日米株価ともに明確に下落する前を捉えることができています。
一方、失業率の方を見ると、ボトムの最後は2007年5月、そこから0.5%上がった時期は2007年12月となっています。S&P500においては明確に下落する前ですが、日経平均はそれなりに下げたところとなっていて、リーマン・ショック前後においても、雇用率を見た方が捉えられている結果となっています。
表1、表2から、雇用率が0.5%下がった時期を日経平均、S&P500の売却タイミングと判断するのは悪くないと私は考えています。
すでにピークを0.3%下回る米雇用率、日米の株価下落は近い?
では、足元はどのようになっているのかについて見ていきましょう。
(表3)雇用統計と株価の推移(2022年7月~2023年12月)
表3において、雇用率のピークの最後は2023年11月の60.4%となっています。12月の値はピークから0.3%下げた60.1%となっているので、あと0.2%下がるとピークから0.5%の下落となります。
ISM(全米供給管理協会)が発表したISM景気指数の雇用指数において、2023年12月の値は製造業が48.1、非製造業は43.3と、ともに良しあしの分岐点である50を割り込んでいて、とくに非製造業の落ち込みは大きいものとなっています。
このため、雇用率が低下し、ピークから0.5%低下する時期がそれほど遠くない時期に現れても不思議ではないと考えています。
雇用率が直近ピークから1年未満で0.5%下がったタイミングは、ここ30年で新型コロナ感染症拡大時を除くと、ITバブル崩壊時とリーマン・ショック前の2回だけで、その後、株価が大きく下落していった経緯があるので、今後、発表される雇用率の値については要注目と考えています。
投資はあくまでも自己責任で。
(白石 定之)
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