強すぎる米景気。ノーランディングで成長続く?米利下げ遠のく(窪田真之)
トウシル / 2024年1月30日 7時0分
![強すぎる米景気。ノーランディングで成長続く?米利下げ遠のく(窪田真之)](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_44088_0-small.jpg)
強すぎる米景気。ノーランディングで成長続く?米利下げ遠のく(窪田真之)
2023年10-12月の米GDPは3.3%成長、異例の強さ
米商務省が25日に発表した、米国の2023年10-12月の実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比年率3.3%で、事前の市場予想(2.0%増)を大幅に上回りました。個人消費が強く、「インフレと金利上昇によってそろそろ消費にブレーキがかかる」とみていた市場予想を裏切り、異例の強さとなりました。
米GDP成長率(四半期別、前期比年率):2018年第1四半期(1-3月)~2023年第4四半期(10-12月)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/a/-/img_5a5c9d703ccac39f989c730fcef0977050418.jpg)
2023年通年の成長率は2.5%となり、前年(2022年:2.1%成長)より高くなりました。2023年の年初には、「利上げとインフレによって米景気は減速する、リセッション(景気後退)入りのリスクもある」と見られていましたが、結果は市場の想定とは逆となりました。2023年の米GDPは減速ではなく、逆に伸びが高まりました。
2024年の米景気はどうなる?
2023年の米景気は、ハードランディング(景気の急速な失速)への不安を打ち消して持ち直しました。それでは、2024年はどうなるでしょうか? 米景気を弱気に見るエコノミストは、「2024年こそ景気後退となる」と言っています。
2023年の米景気議論は決着しましたが、2024年については見方が割れています。引き続き、リセッション入りを主張するエコノミストもいて、「ソフトランディング(減速したあと持ち直す)」か、「ハードランディング」か、割れています。
ただし、とても強い米景気を見て、一部に「ノーランディング(減速することなく成長が続く)」説も出ています。どうなるか、慎重に見ていく必要があります。
2024年に米景気悪化なら1月から?
好調だった米景気が急激に悪化するのは、経験則としては1月からとなることが多いと言われます。12月まではクリスマス商戦の盛り上がりで見えにくかった景気の変調が、クリスマス商戦が終わって季節的に閑散期となる1-3月に明らかになることが多いからです。
1月の米景気落ち込みは、気候にも影響されます。あまりの厳冬になると、建設投資などが一時的に落ち込み、1-3月の景況を悪化させることもあります。米国は今年厳冬で、景気に悪影響が及ぶ懸念もあります。果たして、1月から米景気は悪化するのか、2月に出てくる1月の米景気指標に注目です。
ただし、1月の米景気について、一部の推定で「意外に強い」との見方もあります。まだ、きちんとした統計が出ていないので、予断を持てませんが、かつての経験則、「厳冬の1月から米景気が変調を来す」が成り立たない可能性もあることを、少し意識しておく必要があります。
米経済の強さを生む四つの要因
21世紀に入り、米景気がリセッション入りしたのは3回しかありません(出所:NBER)。
【1】ITバブル崩壊不況:2001年3月(景気の山)-11月(谷)、景気後退期間は8カ月
【2】リーマン・ショック:2007年12月(山)-2009年6月(谷)、後退期間は1年6カ月
【3】コロナショック:2020年2月(山)-4月(谷)、後退期間は2カ月
21世紀に入ってから、米景気はリセッションが短く、景気拡大期がとても長くなっています。
米GDP成長率(四半期別、前期比年率):2000年第1四半期(1-3月)~2023年第4四半期(10-12月)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/3/f/-/img_3faafa4e57a79abb88c712298a5b8a5059417.jpg)
米景気の強さの背景として、四つあります。
【1】移民パワー:移民は当初、低賃金の労働力を供給。貯蓄ができてくると消費の有効需要拡大に寄与。
【2】AI革命:インターネットビジネスのインフラを米国の大手ハイテクが支配。ネット・AI(人工知能)の拡大で恩恵を受ける。
【3】シェール革命:かつて世界最大の原油輸入国であった米国は、世界最大の産油国に転換
【4】資本主義・民主主義国:近年陰りが見えているが、それでも、覇権主義国家が増えている世界にあって、株式会社が栄えるための資本主義・民主主義の基盤がもっとも整備されているのが米国であることに変わりない。
米景気が予想外に堅調である背景として、上記四つの要因が効いている可能性はあります。
米利下げ景気堅調で遠のく
米景気が堅調であると、米利下げが遠のきます。早期の米利下げ期待が一時広がっていましたが、その期待は低下しつつあります。米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が今週30~31日に、FOMC(連邦公開市場委員会)を開催しますが、ハト派転換する期待は低下しています。
米景気が堅調であることは、世界の株式にプラスである一方、米金利が高止まりすることは、株式にとってマイナスに働きます。
日本株「押し目買い」方針変わらず
日本株の投資判断は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場(押し目)と判断しています。これからも急落急騰を繰り返しながら上昇していくと考えられるため、時間分散しながら投資していくのが良いと思います。
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