生活費を切り詰めた新NISAは危険!投資は「余裕資金」で行うべきこれだけの理由
トウシル / 2024年2月1日 11時0分
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生活費を切り詰めた新NISAは危険!投資は「余裕資金」で行うべきこれだけの理由
新NISAに過度な期待を抱く個人投資家が多い
令和6年も1カ月が過ぎましたが、今でも投資情報サイトでは、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)に関するコラム、情報にあふれています。
筆者が感じるのは、新NISAに過度な期待を抱く個人投資家がかなり多い、ということです。特に新NISAをきっかけに投資をスタートさせるような初心者に多い印象です。
例えば、「給料の20%を投資に回し、つみたて投資で30年回せば5,000万円、1億円も夢ではない」と話す「投資の専門家」もいて、初心者投資家にとっては期待と希望で胸が膨らむことでしょう。
しかし、投資で失敗して財産を失ってしまう個人投資家も多いのが実際のところです。特に生活費を切り詰めた無理な投資をするのは非常に危険であると、筆者は強く警告しておきます。
もし生活費を切り詰めて新NISAでつみたて投資を続けると…
ちまたでは、「新NISAの非課税枠はできるだけ早く埋めた方がいい、それにより老後に使える資金を5,000万円、1億円と増やすことができる」といった論調をよく見かけます。
そしてもしものときのための緊急資金として生活費の6カ月分をキャッシュで確保しておけば、あとは投資に回しておけばよい、とアドバイスしている専門家も多いです。
初心者投資家は、知識も経験もないので、このような専門家の発信をうのみにしてしまう傾向がありますが、筆者に言わせれば、それは極めて危険なことです。
筆者は常々、株式投資や資産運用で最も重要なことは、「再起不能なほどの大きな損失を出す恐れのある行動をしないこと」とお伝えしています。
実は、たかだか6カ月分程度の生活費のみを緊急資金として確保し、残りを投資に回すような行動をすると、この再起不能な大損失を引き起こしてしまう恐れがあるのです。
もし今後リーマン・ショック級の暴落が訪れたら?
もし今後、リーマン・ショック級の暴落が訪れたらどうなるかをぜひ考えてみてください。
長期分散積立投資推奨派の専門家はきっとこう言うでしょう。「リーマン・ショック時の下落を耐えて長期分散積立投資を続ければ、その後の株価上昇で資産を大きく増やすことができた」と。
確かにそれはその通りなので否定はしませんが、実はここに重要な事柄が抜け落ちているのです。それは「リーマン・ショック級の暴落が生じたときでも投資に回している資金を引き上げずに済む環境に自らが置かれていることが大前提」という点です。
もし皆さんが会社員だったり自営業の方であれば、リーマン・ショック級の暴落が生じたときに会社が大赤字になったり、売上が半減したり、最悪の場合会社が倒産して収入源が途絶えてしまうかもしれません。
実際リーマン・ショックの時には多くの会社が倒産しましたし、リストラで路頭に迷った方も数多くいました。日比谷公園の「年越し派遣村」の光景を筆者は今でもよく覚えています。
そのような状況になったら、つみたて投資をしている資金はどうしますか? そのまま投資しますか?
おそらく売却して生活費に充てることになるでしょう。職を失って収入源が途絶えてしまったなら、投資なんてのんきなことは言っていられません。生きていくためにお金が必要だからです。住宅ローンが残っているならなおさらです。
無理をした投資で暴落が生じると悲しい結末が待っている
このように、生活費に充てるべき資金までも無理をして投資に回していると、暴落が生じたときに投資しているファンドなどを売却せざるを得なくなる恐れがあります。
ではその時のファンドの価格はどうなっているでしょうか?例えばリーマン・ショックの際は、多くのファンドは価格が半値以下になりました。外国株式を投資対象としているものであれば、為替が円高に振れた分、さらに価格が低下したものもあります。
つまり、無理をした投資をした結果、株価暴落でファンドを売却せざるを得ないような状況に自らが立たされた時、かなり売りたたかれた安い価格での売却を余儀なくされるということです。
そもそも投資とは「余裕資金」で行うもの
つみたて投資では、どんなに株価が下がっても売却せずに持ち続けることが成功の前提になっています。もし株価が大きく下がったときに売ってしまったら、その前提条件が崩れてしまい、期待していたような成果は得られないどころか、大きな損失を被ってしまう可能性も高いです。
ですから、株価がどんなに大きく下がっても売却せずに済む環境に自らが居続けることができることが、つみたて投資の成功の大きな要件になっているのです。それはすなわち、「余裕資金」で投資を行うことなのです。
投資も自分の人生も、これから何が起こるか分かりません。株価暴落で景気が大きく悪化し、一時の間職を失って収入が途絶えたとしても、投資に回しているお金に手を付けずにいられるという自信がなければ、つみたて投資の失敗のリスクが常に付きまとうことになります。
最悪の事態を防ぎたいならどうすればよいのか?
では上記のような最悪の事態を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?1つの方策としては、筆者が日々株式投資で実践していることが参考になると思います。
筆者は株式の売買について、移動平均線を超えたら買い、割り込んだら売るという客観的かつ極めてシンプルなルールを作り、それを実行しています。
どんなに大きな暴落であっても、例えば「25日移動平均線を割り込んだら売却する」というルールを守っていれば、下落の極めて初期の段階で持ち株を売却することができるため、その後どんな暴落が訪れても損失を被ることを防ぐことができます。
このルールは個別株のみならず、インデックスファンドなどでも使うことができます。「ここまで株価が下がった場合は一度売却する」というルールを作って実行することで、株価暴落で資産が半減する前に、小さな損失で売り逃げることが可能となります。
余裕資金があまりなく、生活費を切り詰めて投資に回しているような方は、株価暴落が起きた時に投資を続けることができず、かなり安い価格で損をして売らされてしまう恐れがあります。
そうなってしまわないように、株価が下がっても我慢して持ち続けるのではなく、株価が下がったらいったん売却して守りに徹するようにすることをお勧めします。
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(足立 武志)
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