FRB「利下げなし」でドル/円反発。しかし147円台がすでに重く
トウシル / 2024年2月1日 9時50分
FRB「利下げなし」でドル/円反発。しかし147円台がすでに重く
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは147.90円
↓下値メドは145.80円
キャリー取引:キャリーの解消は円高よりもボラティリティが理由。市場が落ち着けば円買いも鎮静化
ECB:ECBは早期利下げを否定。利下げを暗に認めたFRBと対照的
BOE:タカ派的据え置き「インフレはしつこく高止まり」「利下げ議論は時期尚早」
中国住宅ローン:中国政府、住宅購入の最低頭金額を引き下げへ。不動産市場テコ入れ
中央銀行:利上げがなくても、ディスインフレの多くはいずれにせよ起こっていた
前日の市況
FOMC(米連邦公開市場委員会)は1月30-31日に開催した定例会合で、政策金利であるFF金利を5.25%から5.50%のレンジに据え置くことを全会一致で決定した。昨年7月の会合の利上げを最後に、金利据え置きは4会合連続となった。
FOMCは雇用とインフレの目標達成に向けてリスクはバランス良く移行しているとして、利下げする環境が整いつつあることを示唆した。しかし一方で、利下げを行う前にインフレ率が目標の2%に戻ることを確信する必要があるとした。マーケットの関心事である利上げの時期についてパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は次のように述べている。「FOMCが3月までに利下げを確信するレベルに達する可能性は低いと考えている。」
FRBは利下げについてオープンな姿勢を示しているが、12月FOMCの時点に比べると、パウエルFRB議長は早期利下げについてやや慎重になっているとの印象を与えた。
マーケットはFOMC声明文を「ハト派」と読み、最初はドル売りで反応した。ドル/円はFOMC会合後に146.01円まで急落した。しかし、パウエルFRB議長が3月利下げを否定する「タカ派」発言をしたことで、一転買い戻しが優勢になると147円台半ばまで反発した。しかしこの日夕方につけた147.90円には届かなかった。
今日のドル/円
1月の高値は、19日の148.81円。安値は、02日の140.79円。レンジの中心値は144.80円。
今週の高値は148.34円。安値は146.01円。レンジの中心値は、147.18円。
現在のレートは、中期(月足)では中心値から見て円安水準にあるが、短期(日足)では中心値からやや円高水準にある。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
自分がこうあるべきだと信じるものになりなさい
A World Without Love
FRBが金融政策の運営にあたって課せられている法的使命とは「物価の安定」と「最大限の雇用」を達成することであり、これをFRBのデュアル・マンデートと呼ぶ。
デュアル・マンデートを具体的な数字で示すならば、「物価の安定」とは、コアPCEが2%の水準だ。PCEとは個人消費支出の略で、米国の家計が購入した財やサービスを集計した経済指標のことである。そのうち変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEという。
「雇用の最大化」とは、失業率がNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:非加速的失業率)の水準で、FRBはこれを4%と見積もる。
パウエルFRB議長の理想は、失業者を出さずにインフレ目標を達成することである。失業率は自然な人口動態と労働力の変化によって上昇させる。しかし、この理想の実現は非常に困難である。
FRBは「雇用の最大化」を達成した。あと残るのは「物価の安定」、すなわち労働市場を動揺させることなくインフレ率を下げることである。
CPI(消費者物価指数)は、昨年6月のピーク時から1/3に低下した。しかし、下落の大部分はベース効果とエネルギー価格の下落のおかげだ。ベース効果は1年後には消えているし、エネルギーが今後も低価格で推移するという保証はない。
一方、6月のコアPCEは前年比4.1%で、1年前の4.8%と比べてほとんど下がっていない。賃金上昇率は4.0%以上で高止まり、賃金と物価のスパイラルの脅威にも直面している。FRBはインフレとの戦いに勝利したのか?もしFRBがコアPCEに注目しているならば、決してそうではない。
CPIの低下を受けて、利上げ終了との見方が強まっている。たしかに政策金利はピークに達したと思われる。注意しなくてはいけないのは、利上げ終了と利下げは全くの別物であるということだ。長期間にわたる高金利の維持と、労働市場の大幅な調整の必要性が残っている。FRBの仕事はまだ終わっていない。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
ヒートマップ分析
(荒地 潤)
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