今夜、米雇用統計発表! 大幅悪化なら3月利下げも?
トウシル / 2024年2月2日 10時23分
今夜、米雇用統計発表! 大幅悪化なら3月利下げも?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは147.20円
↓下値メドは145.70円
キャリートレード:キャリー目的の円売り減少へ。調達通貨が円からスイス、人民元などへ移る可能性
倒産:倒産件数の増加はスタートアップ企業の増加に一因
中国製造業:中国製品は世界の製品の3割占める
デフレ:金融政策による需要の鈍化は、必ずしもディスインフレの主因ではなかった
米欧貿易戦争:EUが対米報復関税の実施を15カ月間猶予
前日の市況
2024年24営業日目、2月1日(木曜)のドル/円は、前日比0.53円の「円高」だった。FOMC(米連邦公開市場委員会)が過ぎ、今夜に米雇用統計を控えたこの日のドル/円は米長期金利の動きに連動した。
米10年債利回りに合わせて東京時間夜遅くに147.12円まで上昇してこの日の高値をつけた。しかし米地銀NYCB株が昨日に続いて大幅下落したことで金融システムに対する不安が広がるなかで米10年債利回りも約1ヵ月ぶりとなる3.81%まで低下。リスク回避の円買いで未明に146円を割り145.90円まで下落した。ただその後は急速に値を戻して終値は147.12円。24時間のレンジ幅は1.22円。
今日の見通し
今夜は米国の雇用統計の発表がある。前回12月の雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が堅調に伸びたほか、賃金も引き続き底堅いペースで上昇した。失業率は横ばいで、FRBの早期利下げ開始に疑問を投げかける内容となった。パウエルFRB議長は今週行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で「3月までに利下げを確信するレベルに達する可能性は低い」との考えを示した。
1月雇用統計では、NFPが17.8万人増加する予想。前回よりも増加数は少ないものの、直近3カ月の就業者の平均値16.5万人を超える見通しだ。
失業率は0.1ポイント上昇して3.8%の予想。平均労働賃金は、前月比は+0.3%で0.1ポイント下落、前年比は+4.1%で横ばいの予想。労働賃金の高止まりは失業率と労働参加率の上昇によって徐々に解消に向かうことが期待される。
就業者数はやや「鈍化」傾向を示しているが、大幅に「悪化」したわけではない。仕事や収入は安定していて、これが米国の消費拡大へつながっている。米国の個人消費は、米国のGDPの7割を占めるが、第3四半期の米GDP(国内総生産)は、経済が壮健でありFRBの早期利下げが不要なことを示した。ではインフレはどうかというと、コアPCEが低下してFRBが高金利を続ける必要がないことを示している。一連の米指標に共通しているのは、米経済がソフトランディングに向かって進んでいるということだ。ソフトランディングに必要なのは低金利という景気刺激策よりも、安定した実質金利だ。
パウエルFRB議長は「利下げを確信するレベルに達していない」と述べたが、これは言い換えるならば、米国経済が弱くなったというデータが出てくるまでは利下げしないという意味だ。タカ派寄りに戻ったFRBのスタンスはドル高要因になる。
しかし、米地銀NYCB株下落に表れた金融システム不安が広がる様子を見せるならば、意外に早く利下げに踏み切ることも考えられる。昨年3月に米中堅銀行シリコンバレーバンク、地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻したときは、マーケットが一時パニックになり投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが強まった。今夜の雇用統計が予想を大きく下回るならば、一段の円高の可能性もある。
今週のドル/円高値は148.34円。安値は145.90円。中心値は147.12円。現在のレートは中心値から見て円高水準にある。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
あなたに何を頼もうとする人たちはみんな、あなたから時間や自由な意思を奪おうとしている
Don't Let Me Be Misunderstood
米労働省が発表したJOLT(求人労働移動調査)によると、12月米国の求人件数は前月比10.1万件増の902.6万件となった求職者1人に対して1.59件の求人がある計算だ。
失業率と比べると求人倍率は高い。しかし就業者数と比べるとそれほど高いわけではない。求人数の多さは、求人総数の増加によるものではなく、転職者の増加が大きな理由だと考えられる。つまり、米国の労働市場は、好景気時におけるようなネットベースでの雇用創出は起きていない可能性が高い。「逼迫」しているというよりも「流動化」しているのだ。
求人件数が増えている理由のひとつに、広告のオンライン化の影響もある。企業は昔よりはるかに安いコストで沢山の広告を出せるようになった。さらに最近では料金を成功報酬制にするところも増えている。そのため、実際には存在しない仕事やポジションを撒き餌にした「つり広告」で優秀な人材を手広く獲得しようとする会社が増えている。これも見かけの求人数を多くしている原因だ。
もし企業が本当に人手不足になっているならば、実質賃金はプラスになるはずだ。インフレが上昇しているのに給料が上がらず「実質賃金マイナス」が解消されていないのは、求人広告の多さイコール求人総数の多さではないことを示している。
日本でも実質賃金の低さが問題となっている。賃金が上がらない理由は多くあるが、そのひとつに、労働者が「転職したがらない」ことがある。しかし、日本でも最近はTVやネットで転職サイトや転職エージェントのCMを1日のうち必ず数回は目にするようになっている。日本の終身雇用が制度疲労を起こすなかで、転職の需要が高まっている。
ところで、採用募集で「当社では、いろんな仕事に挑戦できます!」という売り文句を見かけても期待してはダメだ。これは大抵の場合「誰もやりたくない仕事を押しつける」という意味だから。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
Winners & Losers
(荒地 潤)
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