窪田真之が教える「デイトレード入門」、かぶミニ活用(窪田真之)
トウシル / 2024年2月15日 7時0分
窪田真之が教える「デイトレード入門」、かぶミニ活用(窪田真之)
デイトレードとは
1日のうちに、ポジションを決済し、翌日にポジションを持ち越さないトレードを、デイトレードと言います。デイトレードには、「買いから入って売り決済する方法」と、「信用売りから入って買い決済する方法」があります。
今日は、かぶミニを使って「買いから入って売り決済する」デイトレードについて解説します。
【1】楽天証券の「かぶミニ」を使うと、日本株を1株単位から売買できます。
【2】「成行注文」だけ出せます。
【3】リアルタイム取引(東京証券取引所がの取引時間中にいつでも注文が出せる取引)と、寄付取引(前場の寄付のみ売買できる取引)の2種類があります。それぞれ、対象銘柄は以下の通りです。リアルタイム取引・寄付取引 対象銘柄はこちら
【4】デイトレードに使えるのはリアルタイム取引銘柄だけです。対象銘柄数は、2月5日時点で736銘柄です。かぶミニでは信用取引はできませんので、「買いから入って売り決済する」デイトレードだけできます。
それでは今日は、まだデイトレードをやったことのない人のために、どのように始めるべきかアドバイスします。前半でデイトレードをやる心構えについて、後半でデイトレードで使える具体的テクニックについて、解説します。
まずはクイズ!買うならどちらの株?
<クイズ>
A社とB社、買うならどっち? 以下の株価チャートを見て判断してください。
これはデイトレードのクイズではありませんが、デイトレードと基本的な考え方は同じです。トレードの鉄則は「強いものにつく」こと、ここで買うならばB社です。もし、A社株を保有しているならば、即座に売るべきです。
A社は、売買高が急増して株価が急騰しています。急に出た悪材料で、売り手が大慌てで売り始めたと思われます。急落してまだ日が浅く、これからさらに売りが増えて株価はさらに下がると予想されます。
B社は、売買高が急増して株価が急騰しています。急に出た好材料で、買い手が大慌てで買い始めたと思われます。急騰してまだ日が浅く、これからさらに買いが増えて株価はさらに上がると予想されます。
ピンと来ない人のために、株価チャートを買い手と売り手の戦(いくさ)に見立てて説明します。売買高は、戦っている兵の数を示します。
まず、A社チャートをご覧ください。当初買い手が売り手を圧倒、売り手は負け続けてどんどん逃げていきました。その内、追手が減り、戦線は膠着(こうちゃく)しました。そこに突然、新手の売り手大軍が現れて一気に買い手をたたきつぶしたところです。戦況は一変し、買い手が必死に逃げていくところを、売り手が猛追しています。
さてこの状況で、あなたがどちらかの味方に付いて参戦するとしたら、どちらに付きますか。売り手に付いた方がいいのが、分かるでしょう。
B社はその逆です。戦線が行き詰まったところで、突然、新手の買い手大軍が現れて、売り手はさらに奥地へ必死に逃げていくところです。ここで参戦するならば、買い手についた方が有利でしょう。
習うより慣れよ、ワクワク感を持ってゲーム感覚でできるポジションから
どうしたらデイトレードで勝てるか、いろいろ教えられるより実際にしてみた方が早く身に付きます。ただし、その前に、考えるべきことがあります。あなたが、デイトレードをするべきかどうか、考えてください。
どちらが良いか、答えは皆さまの心の中にあります。株価チャートを見ながら売買タイミングを考えることにワクワクするならば、少ししてみて良いと思います。
仕事や家庭が忙しくて株を売買するタイミングなんか考えたくない、株価チャートを見てもワクワクしないならば、デイトレードはせずに積み立て投資だけにすべきです。
私は25年間日本株のファンドマネジャーをしてきて、たくさんのファンドマネジャーを見てきました。勝ち続ける人にいろいろなタイプがありますが、ひとつの傾向があります。いつもゲーム感覚でわくわくしながら楽しんでいる人が勝ちます。負けた時は「やられたぁ」と笑って失敗をひきずりません。
一方、非常に真面目でいつも真剣勝負、「お客さまの命の次に大切なお金を預かっている」と責任感の強いタイプは、往々にしてプレッシャーに押しつぶされてボロ負けします。
従って、私からの皆さまへのアドバイスは、「ワクワクするならやってみて、ワクワクしなくなったら止めましょう」。自分の心に従ってください。
買っても負けても楽しめるポジションから始めることが大切です。「ゲーム感覚」でわくわくし続けられるポジションを超えてはダメです。それがいくらか、人によって異なります。
あなたは100万円投資した株が10%値下がりしたら、「やられたぁ! 次がんばろ!」と笑いながら損切りできますか?「そりゃ無理」と思うならば、100万円はあなたにとって、大き過ぎるポジションです。
では10万円投資した株が10%値下がりしたら、笑いながら損切りできますか?「それも無理」ならば、10万円もあなたにとって、大き過ぎるということです。
それでは1万円投資して10%下がったら、笑いながら損切りできますか? 1,000円の損です。「それくらいならば損切りできる」「でも笑いながらは無理かな」ならば、1万円から始めてOKと思います。
デイトレーダーになるつもりのない方でも、少しだけデイトレードを経験するのは悪いことではないと思います。買っても負けても、必ずその日のうちにポジションを閉じる、負けた時は必ず損切りすることを繰り返すと、「損切り」がうまくなります。
長期の資産形成であっても、損切りが必要な局面はあります。少しだけデイトレードを経験しておけば、その感覚を身に付けることができます。
くれぐれも、ゲーム感覚でできる金額にとどめてください。金額が大き過ぎると「恐怖」や「欲望」が邪魔して純粋なトレードができなくなります。ゲーム感覚でできる範囲で勝負すれば、あなたの心の声・野性のカンにしたがってトレードできます。それで良い結果が得られるか、チャレンジしてみてください。Good Luck!
以上、デイトレードにチャレンジする前の心構えについてお話ししました。それでは次に、デイトレードで勝つための手法を一つ、ご紹介します。
「機関投資家の売買の仕方」を知ってください
デイトレードをする時、知らなければならないことがあります。機関投資家の売買手口です。機関投資家は個人投資家よりも、売り買いする株数が大きいので、デイトレードで機関投資家に逆らっても勝ち目はありません。
孫子の兵法にある通り、「敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず」。まず、機関投資家のことをよく知りましょう。デイトレードを、戦(いくさ)に例えると分かりやすいと思います。
あなたが買いで参戦するならば、買い方は味方、売り方は敵です。買い方と売り方の力の差を見て、買い方が強いと思う時だけ参戦すれば良いわけです。機関投資家、中でも海外の機関投資家が、買いに入ってくる時は勝つ確率が高いと言えます。
それでは、機関投資家の買い方を説明します。
機関投資家がA社株を10万株買おうとしているとします。3社以上の証券会社に売買スプレッドを打診して、一番良いレート【注】を出した証券会社に発注します。
【注】取引所が開く前に、複数の証券会社に対してVWAP(出来高加重平均価格)対比でのスプレッドでの取引を打診します。3社以上からオファーを取ります。出てきたオファーがVWAP+15BP(0.15%)、VWAP+20BP(0.2%)、VWAP+50BP(0.5%)だったとすると、一番いいレート(相対的に安い価格)はVWAP+15BP(0.15%)なので、それをオファーした証券会社に発注します。
詳しく説明すると難解になるので、割愛します。以下だけ覚えておいてください。
機関投資家が大口の取引を発注する時は、マーケットインパクト(買うために価格を上昇させてしまうこと)がなるべく小さくなるように、1日かけて少しずつ買っていくように、証券会社に依頼するということだけ、理解してください。
買いトレード・アイデア:寄付の値動きで機関投資家の買いが想定されたら入る
寄付で、出来高(売買高)が増加して大きく上昇した時、機関投資家の買いが入っている可能性もあります。もしそうであるならば、寄付で買う予定の株数を全て買うわけではなく、1日かけて少しずつ買っていくことになります。
従って、寄付で大きく株価が上がった後、少し株価が弱含んだタイミングで買うとデイトレードが成功することがあります。以下に、そのイメージをお見せします。
A社株の日中足と、デイトレードのアイデア
機関投資家の買いを担当するトレーダーは、VWAPに大きく負けないようにトレードするため、だいたい以下のように買うことが多いと言えます。
【1】寄付は売買高が膨らむので、少し多めに買うことが多いと言えます。
【2】寄付の上昇率が高い時は、そのまま買い続けないで、一度買いの手を緩めて、利益確定売りが出るのを待ちます。少し弱含めば、そこから継続的に買いを入れていくことになります。
【3】日中の売買高の推移に合わせて、買いを実行していきます。
【4】大引けも売買高が大きくなるので、大引けにも一定の買いを残すことが多いと言えます。
上記のような特性を考えると、個人投資家のデイトレード・アイデアとして、寄付で売買高の増加をともなう大きな上昇があった銘柄の、少し弱含んだところが、買い場になることがあります。
以上は、実際に機関投資家の買いが入っていた場合の成功例です。現実には、そのようにうまくいく場合ばかりではありません。機関投資家の買いが入っていると思ったが入っていなかったということもあります。買ったとたんに急落するようならば、すばやく損切りすることも必要です。投資は全て自己責任で行ってください。
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(窪田 真之)
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