日経平均のリスクは、「円安効果が薄れること」か?
トウシル / 2024年2月15日 10時42分
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日経平均のリスクは、「円安効果が薄れること」か?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは150.80円
↓下値メドは150.35円
AI:世界の52%の仕事に影響、9%の職がなくなる
日本人の給料:実質賃金マイナス3.0%
米インフレ:FRBのインフレ目標達成は2025年までかかる – アトランタ連銀総裁
FRB:シカゴ連銀総裁「利下げする前にまだ多くのデータを確認する必要がある」
原油:地政学リスクでも価格が上昇しないのは、需要減退で相殺されているから。
日経平均上昇のキーワードは「円安」
今週のFX市場でドル/円が年初来となる150円台後半まで円安が進むなかで、東京株式市場の日経平均株価は、一時3万8,000円台をつけた。取引時間中としてはバブル期の1990年1月以来34年ぶりの高値となった。
日本経済にとって円安のメリットは3つある。
第一に、円安は輸出企業の国際競争力を高める。日経平均には輸出関連の大型株が多く含まれているため、円安は株価を押し上げる効果がある。第二に、円安はインバウンド(訪日外国人)の需要を増やす可能性がある。インバウンドの増加は、サービス業や小売業などの国内消費にプラスに働く。第三に、円安によるインフレ期待が高まることで、消費や投資の前倒し効果が期待できる。このように、円安は、日経平均株価を支える重要な要素であると考えられる。
その一方で、円安にはデメリットもある。例えば輸入品価格が上昇することによるインフレで生活費が高くなることだ。実質賃金が下がるなかで国民の生活は苦しくなるばかりだが、それでも政府は、日本経済にとっては円安のメリットがデメリットより大きいと考えているので、円安を止める考えはない。日銀も同じだ。日銀はインフレを懸念するのではなく、むしろ歓迎しているから、円安は政策に矛盾しない。
日経平均にとっての大きなリスクのひとつは、円安効果が薄れることだろう。FX市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ時期が予想より後ずれしたことでドル高/円安が加速している。しかし、利下げの可能性がなくなったわけではなく、6月あるいは7月にFRBが利下げを実施する可能性は依然として高い。
国内的には賃上げの動向にも注意が必要だろう。日銀は、2024年春闘の結果を見て、ゼロ金利解除を決定する考えだ。賃上げが低調であれば、日銀が利上げを見送る可能性もあるが、それは経済の好循環が崩れるという意味でもあるので、日経平均株価にとってはプラスの材料にはならないだろう。
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主要指標 終値
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今日の為替ウォーキング
今日の一言
みんなが貪欲になっているときこそ恐怖心を抱き、みんなが恐怖心を抱いているときにこそ、貪欲であれ - ウォーレン・バフェット
Under The Bridge
FRBが金融政策の運営にあたって課せられている法的使命は「物価の安定」と「最大限の雇用」を達成することであり、これをFRBのデュアル・マンデートと言う。
デュアル・マンデートを具体的な数字で示すならば、「物価の安定」とは、コアPCEが2%の水準だ。PCEとは個人消費支出の略で、米国の家計が購入した財やサービスを集計した経済指標のことである。そのうち変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEという。
「雇用の最大化」とは、失業率がNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:非加速的失業率)の水準で、FRBはこれを4%と見積もっている。
パウエルFRB議長の理想は、失業者を出さずにインフレ目標を達成することである。失業率は自然な人口動態と労働力の変化によって上昇させる。しかし、この理想の実現は非常に困難である。
雇用統計による米国の失業率は、2022年から3.7%前後で安定している。FRBは「雇用の最大化」を達成した。残るは「物価の安定」、すなわち労働市場を動揺させることなくインフレ率を下げることだけだ。
1月のCPI(消費者物価指数)は前年比3.1%で、2022年6月のピーク時から1/3になった。しかし、下落の大部分はベース効果とエネルギー価格の下落のおかげだ。しかしエネルギーが今後も低価格で推移するという保証はないし、FRBが石油価格を管理することもできない。
一方で賃金上昇率は4.0%以上で高止まり、賃金と物価のスパイラルの脅威にも直面する。FRBはインフレとの戦いに勝利したのだろうか?もしFRBがコアPCE(個人消費)に注目しているならば、決してそうではない。
FRBの政策金利はおそらくピークに達したと思われるが、大事なことは、利上げ終了と利下げは全くの別物だということだ。CPIが予想に反して下げ止まっていることを受けて、FRBは長期間にわたる高金利の維持と、労働市場の大幅な調整が必要との認識を新たにしたことだろう。FRBが勝利宣言を出すのはまだ先のことだ。
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今週の注目経済指標
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今日の重要ブレークアウトレベル
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コーンチャート分析
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(荒地 潤)
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