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日経平均で振り返る34年間、長期停滞から復活へ!

トウシル / 2024年2月22日 19時14分

日経平均で振り返る34年間、長期停滞から復活へ!

日経平均で振り返る34年間、長期停滞から復活へ!

 22日の東京株式市場の日経平均株価(225種)終値は3万9,098円となり、バブル経済期の1989年12月29日以来、34年2カ月ぶりに史上最高値を更新しました。

 日本経済は1990 年代初頭のバブル経済崩壊以降、「失われた30年」とも呼ばれる長期停滞を経験。100兆円といわれる不良債権の処理や円高が重しとなり、日経平均はリーマン・ショック後の2009年3月に7,054円の戦後最安値を記録するまで右肩下がり基調が続きました。

 しかし、リーマン・ショック以降は、世界経済が回復に向かう中で、大規模金融緩和を柱とする第二次安倍政権の誕生などで日経平均は上昇基調に乗りました。最近では生成AI(人工知能)ブームで半導体関連が株高のけん引役となり、最高値更新に押し上げました。バブル崩壊からこれまでの34年間を振り返ります。

1990年代初頭 バブル経済崩壊

 投機的な取引で土地や株式などが実体からかけ離れて上昇を続ける「バブル経済」が崩壊しました。バブル経済は1980年代後半から続きましたが、日本銀行が1989年5月以降、急速に利上げを進めたことから、日経平均は1989年末の大納会に付けた3万8,915円をピークに下落しました。

 大蔵省(現財務省)が1990年3月に銀行の不動産融資を制限する行政指導を実施したことで、地価も下落していきました。銀行では、貸し付けの担保とした不動産の資産価値が暴落し巨額の不良債権が残りました。「貸し渋り」や「貸しはがし」といわれるように企業への融資態度が硬化していき、成長産業に資金が供給されず、日本経済は失われた20年や30年と呼ばれる長期停滞の時代に入ります。

1995年 阪神・淡路大震災

 1月17日午前5時46分に淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生。最大震度7の直下型地震が関西地方を襲いました。死者6,434人、行方不明者3人、負傷者4万3,792人という極めて深刻な被害をもたらしました。国土庁(現国土交通省)の推計で約9兆6,000億円に上る経済損失が生じました。震災の影響もあり、地元の兵庫銀行が銀行としては戦後初めて破綻しました。

 外国為替市場の円相場は当時、前年からのメキシコ通貨危機を受けて円高ドル安が進行していました。さらに震災後に日本の保険会社が保険金払いのために外貨資産売却による円買いを進めるのではないかといった投機筋の思惑買いなどが入り、一段と円高が進み、4月19日には1ドル=79円75 銭を付けました。震災と円高が重なり、日経平均は7月3日には1万4,485の安値を付けました。

1997年 山一証券が経営破綻

 当時の四大証券の一角、山一証券が11月24日、自主廃業を発表し、大蔵省に営業停止を届け出ました。「飛ばし」と呼ばれる損失隠しで簿外債務が拡大、総会屋への不正な利益供与など不祥事が次々と表面化し、経営破綻に追い込まれました。それに先立つ17日には北海道拓殖銀行も巨額の負債を抱えて破綻していました。

 この年の7月にはタイの通貨バーツが暴落し、アジア通貨危機が発生。国内では輸出産業に打撃となったほか、金融不安が拡大し、銀行や証券などの破綻の一因となりました。1997年末の日経平均の終値は1万5,258円となり、前年末から約21.2%下げました。

 翌1998年には日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)と日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)がバブル期の不動産やノンバンク向け融資の不良債権化で債務超過に陥り、一時国有化されました。日経平均は1998年末に1万3,842円まで下落しました。

 2003年には、りそな銀行の自己資本比率が国内基準を下回る事態が明らかになり、同行に1兆9,600億円に上る公的資金が注入されました(旧大和・あさひ銀行時代の分を含め累計3兆1,280億円の公的資金残高がありましたが、2015年6月に完済)。

 金融危機の下で都市銀行の合併も進み、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友FG、みずほFGの3メガバンク体制が生まれることにつながりました。

2000年 ITバブル

 2000年前後の米国を中心にIT企業の株価が急上昇しました。米国の低金利政策などを背景にインターネットへの関連投資が過熱し、シリコンバレーでベンチャー企業設立が相次ぎました。日経平均も2000年2月から4月に一時2万円台を回復する動きを見せました。

 しかし、IT企業の多くは利益の裏付けがないまま資金を調達しており、不正会計なども発覚。米国の金融政策が引き締めに転じたのを機にIT関連銘柄は暴落しました。 日経平均も2001年8月末には1万0,713円と1万円の大台割れ寸前まで下げました。

2001年 米同時多発テロ

 9月11日に米国東部で旅客機4機がハイジャックされ、世界貿易センタービルや米国防省に次々と激突、1機はペンシルベニア州ピッツバーグ郊外に墜落しました。このテロによって3,000人近くの命が奪われました。テロ翌日の12日に、日経平均は1万円の大台を割り込みました。

 当時のブッシュ政権はオサマ・ビンラディンをリーダーとするテロ組織「アルカイダ」による犯行と特定し、「テロとの戦い」を宣言。ビンラディン容疑者の身柄引き渡しを拒否したタリバン政権のアフガニスタンに攻撃をしました。

 米国はさらにテロとの戦いを押し進めます。2003年3月に米英など有志連合によるイラク戦争に踏み切りました。イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有し、アルカイダと手を結んでいるとして、国連の安保理決議を経ずに開戦しました。その後、米政府の調査でフセイン政権とアルカイダとのつながりや大量破壊兵器の保有は誤情報だったことが判明しました。

2008年 リーマン・ショック

 米投資銀行リーマン・ブラザーズが9月15日に経営破綻し、世界的な金融・経済危機を引き起こしました。低所得者向け住宅ローン「サブプライムローン」の返済不能者が続出し、金融機関はサブプライムローンを組み入れた証券化商品による巨額の損失を抱えるようになりました。米保険最大手AIGも経営危機に陥ります。日本では、この年の上場企業倒産は33件に上り、戦後最多となっています(帝国データバンク「『上場企業倒産』動向調査」)。

 翌2009年には米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の経営不安も深刻化。日経平均は3月10日に7,054円98銭とバブル崩壊後の最安値を記録しました。

 その後は、主要国の財政・金融面からの経済刺激策や中国の巨額の景気対策で、世界経済は持ち直し、株価も回復していきます。

2011年 東日本大震災

 3月11日午後2時46分に三陸沖を震源とする最大震度7、マグニチュード9.0の巨大地震が発生。国内観測史上、最大規模でした。岩手、宮城、福島県を中心とした太平洋沿岸部を巨大な津波が襲いました。

 死者1万5,900人、行方不明者2,523人(2023年3月時点)に上ります。津波による電源喪失などで東京電力福島第1原子力発電所の事故が深刻さを増し、15日の日経平均は前日比1,015円安の8,605円まで下げました。円相場は10月31日に1ドル=75円32銭の戦後最高値を付けました。

2012年 アベノミクス相場

 12月末に発足した第二次安倍政権はデフレ脱却を目指し、大胆な金融緩和と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を柱とするアベノミクスを掲げました。民主党政権の野田首相が衆議院解散を表明した11月半ばから、積極的な金融緩和を掲げる安倍政権誕生への期待が高まり、株価は上昇を始めました。

2013年 日銀が異次元金融緩和開始

 4月4日、日銀の黒田東彦総裁が金融政策決定会合後の記者会見で、量的・質的緩和の導入を発表。金融政策の操作目標を金利から資金供給量に変更し、長期国債やリスク資産のETF(上場投資信託)の買い入れ拡大を決定しました。アベノミクスの「第一の矢」に当たり、アベノミクスが本格的にスタートします。

 異次元をうたった金融緩和は市場期待を上回る内容から「黒田バズーカ」とも呼ばれ、円安・株高が一段と進むことになりました。日銀はその後、2016年1月にマイナス金利政策、同9月にはYCC(長短金利操作)をそれぞれ導入しました。

 一方、日銀の大規模金融緩和は、国債市場の流動性低下や預貸利ざや縮小による金融機関の収益減少などの副作用も指摘されています。

2016年 英国のEU離脱決定

 英国は6月23日、国民投票でEU(欧州連合)からの離脱を決めました。EU残留派が優勢とみられていましたが、離脱派がきん差で勝利。世界経済の不透明感から世界同時株安の様相となりました。日経平均も翌24日の1,286円安の1万4,952円となりました。英国は2020年12月末に移行期間が終わり、EUから完全離脱しました。

2020年 コロナ・ショック

 2019年12月に中国で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された後、2020年2月下旬以降、米国や欧州、アジアへと感染が拡大し、世界的流行(パンデミック)に発展しました。各国で外出制限などの感染抑制策が採られ、人の移動や生産活動、物流が止まり、国境を越えるサプライチェーン(供給網)が寸断されました。

 日本では緊急事態宣言や営業自粛に伴って、飲食店や娯楽産業の営業が停止する一方で、オンライン消費や巣ごもり消費拡大のような新たな消費の潮流も生まれました。

 日経平均は新型コロナ感染拡大による世界的な景気悪化懸念から3月19日には1万6,552円まで下げました。しかし米国をはじめ各国が積極的な金融・財政政策を相次いで打ち出したことで一転し、9月にはコロナ禍が本格化する前の水準を取り戻しました。

 新型コロナワクチンの実用化やコロナ禍からの経済再開への期待の高まりなどで、2021年2月15日には30年6カ月ぶりに3万円台の大台を突破しました。

 2022年には米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)などがコロナ禍からの経済再開に伴うインフレを抑制するために急速な利上げを開始し、日米ともに株式相場は軟調となりました。10月には日米の金融政策の方向性の違いから、円相場は1ドル=151円94銭の円安ドル高となり、2023年1月に一時127円台前半まで円高になったものの、その後も円安基調が続いています。

 日本では2023年5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行し、コロナ禍からの経済再開が本格化しました。2024年には前年に本格化した生成AIブームで米ハイテク株が上昇。日経平均は円安を背景にした日本企業の業績好調も追い風となり、2月22日に34年ぶりに最高値を更新しました。

(トウシル編集チーム)

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