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円高進行も、来週の日銀会合やFOMCまで様子見の相場に

トウシル / 2024年3月13日 16時0分

円高進行も、来週の日銀会合やFOMCまで様子見の相場に

円高進行も、来週の日銀会合やFOMCまで様子見の相場に

3月のマイナス金利解除観測強まり、一時1ドル=146円半ばの円高に

 外国為替相場は先週末から今週初めにかけて、日本銀行幹部の相次ぐ発言でマイナス金利解除の思惑が強まり、1ドル=146円台半ばまで円高に行きました。日経平均株価(225種)は今週に入って、円高の影響を受け前週末より1,000円以上の大幅安となりました。3月の期末に向けた利食いやリバランス(機関投資家の保有資産調整)などポジション調整が進んだことも下落の要因とみられています。

 為替相場は12日には一転して円安の動きとなりました。日銀の植田和男総裁が12日午前の参議院財政金融委員会で、個人消費の一部に弱めの動きが出ていると指摘。景気についても1月の展望リポートで示した認識よりも弱めの認識を明らかにしたため、市場ではマイナス金利解除の見方が後退し、1ドル=146円台後半から147円台半ばへと円安が進みました。

 内閣府が11日に発表した2023年10-12月期実質GDP(国内総生産)改定値は前期比0.1%増でした。年率換算では0.4%増となり、速報値の0.4%減からプラス成長に改定されたため、テクニカルリセッション(2四半期連続のマイナス成長)は回避されました。

 しかし、個人消費が0.2%減から0.3%減に下方修正されました。この数字は昨年10-12月期の数字ですが、植田総裁は足元でも個人消費が弱めの動きが続いていると認識していることになります。今後も個人消費の動向は注視する必要があります。春闘の賃上げで個人消費が回復するかどうか注目です。

 そして12日のニューヨーク外国為替市場では、一時1ドル=148円10銭台のドル高円安となりました。米労働省が2月CPI(消費者物価指数)を発表し、前年同月比3.2%の上昇となり、市場予想を上回りました。前月からも物価高が加速した形です。

 ただ、その後は147円台後半に戻し、148円以上の円安には行かない地合いとなっています。

 CPIのコア指数(エネルギーと生鮮食品を除く)が前年同月比3.8%上昇と市場予想を上回りましたが、前月(3.9%)からは低下しました。コア指数の前月比の伸びが2月は0.358%と1月(0.392%)から若干下がりました。

 また、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が注視しているとされるスーパーコア(住居費を除くサービス業のインフレ指数)が0.47%の上昇と前月(0.85%)を大きく下回りました。、CPIに占める比率が高い帰属家賃が低下に転じました。

 こうした物価高の鈍化を示すデータからFRBが6月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げに転じるとの見方が維持され、株価は上昇する一方、ドルは伸び悩みました。

来週の日銀会合まで動きづらい相場、政策修正の有無や中身次第

 一時1ドル=146円台半ばまで進んだ円高は、12日に円安となったことで一服した状況となっています。日銀がマイナス金利を解除したとしても、それによる円高への影響はかなり織り込まれたようです。

 日銀が18~19日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利解除だけではなく、長期金利を低い水準に抑え込むYCC(長短金利操作)を撤廃したり、新たな国債買い入れの枠組みを具体的に示したりすれば、新たな円高要因となります。ただ、それが確認されるまで思惑だけでは動きづらい相場となりそうです。

 13日の春闘の集中回答日に労働組合の要求通りに満額回答する企業が相次いだとしても、ここから多少円高に行っても、会合結果が19日に発表されるまでは様子見となりそうです。

 一方、日銀がマイナス金利を3月に解除しないシナリオも想定する必要があります。市場ではマイナス金利解除は3月会合で決定するとの思惑が強まり、円高に動きましたが、4月の会合にずれ込むシナリオも消えていません。3月に解除されなかった場合は、為替相場は反動で円安に傾くことが予想されます。

 また、日銀が3月会合でマイナス金利を解除しても、その後も金融緩和を継続すると強調し過ぎると、追加利上げの道筋が見えないとの失望から、円安に動くことが予想されます。株価には再上昇の追い風になるかもしれませんが、為替相場の変動には警戒しなければなりません。

 さらに、日銀の政策修正の要因だけで、1ドル=140円まで円高が進むかどうかは、先述した今後の道筋が明らかにならないと難しいかもしれません。米国の利下げが早まるとの期待が高まらないと、145円を挟んで足踏みするかもしれません。

米FOMC後の金利見通し公表まで様子見、利下げ回数が焦点!

 米国では、先週公表された米雇用統計で、FRBによる6月利下げ観測が市場関係者の間で高まったことがドル相場の重しになりました。FRBのパウエル議長は3月6日の議会証言で、利下げ時期について「今年のある時点」と曖昧な表現に終始し、利下げ自体は否定しませんでした。

 12日のCPIも強弱まちまちの指標が出たことから、市場の6月利下げ期待に変化はありませんでした。そうなると、今月19~20日のFOMC後に発表される今後の金利見通しで利下げ時期や回数がどのように示唆されるのか確認するまでは、為替相場は様子見が続きそうです。

 昨年12月時点の金利見通しでは今年は年3回の利下げを見込んでいましたが、堅調な景気と物価低下のスピードが鈍化していることから、利下げ回数が2回や1回に少なくなるのかどうかが焦点となります。

 また、今年の利下げ回数が3回との見方が変わらなかったとしても、2025年見通しの金利低下幅が縮まり、利下げ回数が減れば、ドル売りの反応は鈍いかもしれないため注意が必要です。

 今週の円高の動きが、来週の日銀会合やFOMCで元に戻るのかどうか、1ドル=145~150円のレンジにとどまるのか、新たに140~145円のレンジに入るのかどうか注目です。

 ※来週3月20日(水)は祝日のため休載させていただきます。次回の掲載は27日(水)の予定です。

(ハッサク)

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