新NISA成長投資枠で仕込む!将来に期待のグロース株5選
トウシル / 2024年3月14日 16時0分
新NISA成長投資枠で仕込む!将来に期待のグロース株5選
日経平均下落、新NISA投資は気にしなくていい理由
史上初の4万円台に乗せた日経平均株価ですが、3月11日、為替の円高推移と米国株安などを受けて今年最大の下げ幅を見せました。
今年から新しいNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を通じて日本株投資を始めたばかりの方は、初めての大幅下落に少々戸惑ったことでしょう。これまでお使いの証券会社のマイページにアクセスしてご自身の残高を見るたびに増えていた残高が、前日比で大幅に減少したので、「えっ!?」「どうしよう…」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
動揺したとしても案ずる必要はありません。これが株式投資です。一本調子で毎日上昇することはあり得ませんので、過熱感に対する下落(調整)が入るのは当然の流れなのです。
例えば、ある一定期間の上昇もしくは下落を数値化したテクニカル指標で、「サイコロジカルライン」というのがあります。すごろくのサイコロではなく、「心理的」という意味のサイコロです。12日間の騰落を表し、「買われすぎ」「売られすぎ」を判断するのですが、上昇が75%以上になると「買われすぎ」、同じく25%以下で「売られすぎ」を意味します。
12日連騰するケースは確率論で4,096分の1です。計算上、20年に一度といったところですが、日経平均は2017年にこの記録を達成しました。この時は16連騰しましたので、確率論では6万5,536分の1と、250年に一回という歴史的な事象でした。確率論でも異例中の異例です。
上下の値動きが繰り返されて、株価は成熟していくものですし、好業績など明確な裏付けが存在する状態であれば気にする必要はありません。そもそもNISA投資の資金は「今、必要」というわけではなく、数年後、はたまた十数年後に必要という属性の投資資金がほとんどでしょう。
もちろん一カ月で数十倍になっていれば、そんな方針は当然無視されるでしょうが、むしろ下落している局面でコツコツ積み立てを行い、実際に資金が必要となるタイミングで上昇しているのがNISA投資の理想といえます。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
また、つみたて投資枠と成長投資枠では、異なる投資対象と投資方針を選択することもできます。つみたて投資枠は「今、投資資金は無いがドルコスト平均法で資産を積み上げていきたい」という考えがベースになりますので、対象銘柄は好業績で高い配当が期待できるバリュー銘柄がメインとなります。大きく上昇しなくても非課税で配当金がもらえればいい、という発想です。
一方、成長投資枠で個別企業の株を一括購入する場合は「数年後の数倍を狙うので寝かせる気持ちで投資する」という考えがベースになりますので、対象銘柄は高い成長性が期待できるグロース銘柄がメインとなります。
NISAを通じて株式投資を行う人は、比較的高配当銘柄を好む方が多いように見受けられますが、せっかく長期投資の非課税制度があるのですから、成長投資枠で「テンバガー(10倍株)」を当てにいきましょう。
田代くんの気になる5銘柄はコレ!:新NISA成長投資枠で仕込む、将来に期待の5銘柄
こうした考えをベースに成長投資枠で投資を行う場合、やはり将来性を期待して東京証券取引所グロース市場の銘柄を選びたいところです。そこで今回は、成長性期待のグロース市場銘柄を五つご紹介します。
東証は2022年4月の市場再編以降、各市場の魅力を高めるための改革を推し進めています。てこ入れが進むプライム市場やスタンダード市場に比べ、規模の小さい企業が多く集まるグロース市場の改革は、まだ議論が始まったばかりです。
2024年1月に開催した市場再編に関する「フォローアップ会議」では、グロース市場の活性化に向けた対応策として、上場基準の引き上げや投資家向けの積極的な情報発信の促進などを提言しました。具体的なスケジュールはまだ公表していません。
つまり、グロース市場の本格的な企業統治(コーポレートガバナンス)改革はこれからといえます。海外投資家や期間投資家などの資金がまだ入っていない銘柄を今のうちに仕込めるチャンスが、グロース市場にはあるのです。
今回の5銘柄の選定ポイントは下記の三つです。
※東証グロース市場コア指数は、グロース市場に上場する日本企業のうち、上場時価総額、流動性を考慮して選定する20銘柄により構成される指数です。
銘柄名 | 証券コード | 株価(円) (3月14日終値) |
ポイント |
---|---|---|---|
フリー | 4478 | 3,535 | インボイス制度で法人顧客の囲い込みに成功 |
弁護士 ドットコム |
6027 | 3,500 | AIを活用した「リーガルブレイン構想」は 法律業務を大きく変える可能性 |
GENDA | 9166 | 3,340 | 東証グロースコア20では珍しい好業績銘柄で 上場来高値更新中 |
サンウェルズ | 9229 | 2,820 | 介護事業は高齢化の日本がこれから必要とする事業 |
ispace | 9348 | 992 | 宇宙事業は「国策に売り無し」、来年のミッションに 期待 |
フリー(4478)
クラウド会計ソフトや人事労務ソフトなど企業の総務や人事、財務経理といったバックオフィスのサポートを行っているほか、フリーランスの確定申告などのサポートを行っています。私も個人的に使用していますので、よく知っている銘柄です。
2023年から2024年にかけては、インボイス制度に絡んだ需要の高まりを背景に法人部門で高い成長が確認できました。サブスクリプション型の企業は、毎月発生する収益の年換算額を指すARR(年間経常収益)を成長指標として重要視します。
2023年10-12月期における、個人事業主のARRは、前年同期比19.3%増。法人の同期間のARRは36.6%増と高い伸びを記録しました。
一方、2023年7-12月期の調整後営業損益は人件費および広告宣伝費への投資を行っていることから、43億円の赤字です。配当は当然ながら出していませんが、まだまだ先行投資を積極的に行い大きく会社を成長させる時期ですので、今後の将来性に期待です。
弁護士ドットコム(6027)
日本最大級の企業法務ポータルサイト「BUSINESS LAWYERS」の運営や、電子契約サービス「クラウドサイン」などを展開しています。BUSINESS LAWYERSの会員数がサービス開始から7年で10万人を突破するなど、企業の法務関連の人材不足のニーズをうまく取り込んでいます。
また、全国146の自治体が同社のクラウドサインサービスを導入しており、IT化が遅れている地方自治体のサポートもうまく取り込んでいます。
現在、AI(人工知能)を活用した「リーガルブレイン構想」を通じたサービス展開を進めており、今後は第3段となる新たなプロダクトの発表も計画しています。過去の判例をAIによって補完する戦略は、弁護士の業務および企業の法務を大きく変える可能性を秘めていることで、大変楽しみな構想だと思います。
GENDA(9166)
国内外でゲームセンターなどのアミューズメント関連事業を手掛けており、「Global Entertainment Network for Dreams and Aspiration」を略した名称がGENDAです。
ただのゲームセンター会社ではなく、「2040年に世界一のエンタメ企業に」という野望を掲げたM&A企業で、グロース市場ではM&A(合併・買収)に積極的な企業としても高い知名度があります。映画配給会社であるGAGA(ギャガ・コミュニケーションズ)を昨年11月に子会社化するなど、昨年11月20日時点で、M&Aした会社は21社に上ります。
M&A戦略によって会社規模を大きくしていますが、2024年1月期の売上高、各利益ともに過去最高をたたき出しており、2025年1月期も増収増益見通しと業績は好調です。苦戦続きのグロース市場でも、株価は上場来高値圏で推移しています。
グロース市場では時価総額もトップ5位に入っている優等生のような銘柄ですが、M&A戦略を積極的に進めている姿勢はまさにグロース銘柄といえます。
サンウェルズ(9229)
石川県金沢市の会社で、パーキンソン病専門施設「PDハウス」をはじめとした介護関連の事業を展開しています。
厚生労働省は今年1月、2024年度から介護保険サービスの料金体系(介護報酬)を全体で1.59%引き上げると発表しました。介護職員の処遇改善に重点を置き、4月から順次反映するとしています。介護業界は70万人近い人手不足が想定されており、働き方改革が急務な状況にあります。
同社が手掛けるパーキンソン病の患者数は増加していることから、国主導の是正の動きはゆっくりながらも続くと考えます。「今」株価が上昇する銘柄ではないかもしれませんが、高齢化の日本が今後必要とする事業を手掛けている同社には、注目しておきたいところです。
ispace(9348)
月面探査機など宇宙事業を手掛けており、2022年12月、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R ミッション1」を米国にて打ち上げました。そして、昨年4月26日に月面着陸に挑みましたが、着陸予定時刻が過ぎても通信状態が回復せず、同社は記者会見にて「Success9(月面着陸の完了)が達成できなかった」と発表しました。
残っているミッションは「月面着陸の完了」「月面着陸後の安定状態の確立」の二つだけで、今年冬に再度打ち上げ、来年春ごろに再びミッションに挑む予定です。
経済産業省は「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」の支援先として同社を選び、上限120億円の補助金を交付することを決めました。内閣府も「宇宙政策」を掲げており、世界中で加速している宇宙関連ビジネスのサポートに動き出しました。
まだまだ日本の宇宙事業、宇宙政策はスタートしたばかりで国の支援などもようやく始まったばかりです。同社の宇宙事業は、実現に向けて国がバックアップしていることから注目します。
(田代 昌之)
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