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高配当株ランキング~日銀の異次元緩和終了!負債少なく利上げ影響受けづらい5銘柄

トウシル / 2024年3月21日 16時0分

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高配当株ランキング~日銀の異次元緩和終了!負債少なく利上げ影響受けづらい5銘柄

日経平均は史上最高値を34年ぶり更新、4万円の大台も突破

 直近1カ月(2月9日~3月18日)の日経平均株価(225種)は終値ベースで7.7%の上昇となりました。期間中前半から株高基調が続き、2月22日にはついに、1989年12月29日に付けた史上最高値の3万8,957円を、およそ34年ぶりに更新しました。3月4日には4万円の大台乗せも達成し、7日には高値4万0,472円まで上値を伸ばしています。

 その後は、12日の3万8,271円まで一時調整する形になっています。なお、この期間(2月9日~3月15日)のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の騰落率は0.1%の上昇と横ばいでした。

 日経平均は2月13日には2020年6月16日以来の1,000円超の上げ幅となるなど、期間中前半から上昇ピッチが加速しました。米国の利下げ期待や日本株の先高期待などが反映される形になったようです。

 さらに、高値を更新した2月22日は、注目された米半導体大手エヌビディアの決算が市場予想を上回ったことが起爆剤となりました。その後も、米国の1月コアPCE(個人消費支出)価格指数が市場予想に一致したこと、政府機関閉鎖への懸念が緩和したことなど米国市場の不透明感後退が押し上げ材料となって、日経平均は4万円台に突入しました。

 期間中後半にかけては弱含む場面がみられました。3月18、19日の日本銀行金融政策決定会合で、マイナス金利政策が解除されるとの見方が急速に台頭、為替市場もドル安・円高反転の動きを強め、利食い売り材料とされました。2024年の春闘で賃上げ結果が明らかになるにつれ、こうした見方はより強まる方向になっています。

 また、米エヌビディアが利益確定売りによって一時急反落したことで、半導体株中心に売りが膨らむ場面もみられました。ただ、日銀が3月にマイナス金利を解除と報じられた3月18日には、一転してあく抜け感が優勢となっています。

 幅広い銘柄が買い優勢となりましたが、東京エレクトロン(8035)が20%超の上昇となったほか、日本マイクロニクス(6871)野村マイクロ・サイエンス(6254)トリケミカル研究所(4369)TOWA(6315)などの中小型株も含め、半導体関連株の強い動きが継続しました。エヌビディア関連として位置づけられるさくらインターネット(3778)も約9割の上昇でした。

 また、三井E&S(7003)は米子会社が政府支援を踏まえてクレーンの米国内生産を再開する方針を示したことで2.4倍の急騰となり、配当方針の変更に伴う大幅増配を発表した大林組(1802)の上昇も話題となりました。楽天グループ(4755)は2023年10-12月期の想定以上の収益改善が好感されました。

 半面、ANYCOLOR(5032)メルカリ(4385)ラクス(3923)など中小型グロースの一角が下落率上位になっています。

 メニコン(7780)コーセー(4922)などは決算が売り材料視され、マツダ(7261)は円高反転の動きがマイナス材料とされました。NIPPON EXPRESSホールディングス(9147)など株式売出による需給悪化が意識された銘柄も散見されています。

日本株上昇ピッチに過熱感、緩和見直しであく抜け感強まる場面でいったん利食いも

 日銀は3月19日、これまでの大規模金緩和策の見直しを決定しました。マイナス金利政策を解除したほか、YCC(イールドカーブ・コントロール:長短金利操作)の撤廃、ETF(上場投資信託)などリスク資産の買い入れ終了も決定しています。

 2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断したことが背景で、連合の2024年春闘第1次集計での賃上げ率が想定以上に拡大したことが、その判断に至った大きな要因になっています。

 なお、19日の前引け後に日銀のマイナス金利解除が伝わりましたが、直後の市場の反応としては株高、ドル高円安となっており、短期的な出尽くし感が先行する状況となっています。

 一方、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が19~20日に開いたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、5会合連続となる政策金利の据え置きを決めました。FOMCメンバーの金利見通しでは今年3回の利下げがあるとの予測が維持され、市場では6月の利下げ開始観測もこれまで以上に高まりました。

 こうした米国の利下げに対する見方は為替市場におけるドル安円高への反転に直結する材料になります。いずれにせよ日本株にとってはマイナス要因につながる可能性があり、日銀の政策修正を受けてあく抜け感が強まる場面では、いったんの利益確定売りも考慮に入れたいところです。

 ちなみに、日銀が大規模緩和政策を修正したことにより、これまでと比較して政府による為替介入が実施しやすくなっているとも考えられます。

 年初からの日本株の上昇ピッチの速さには依然として過熱感が拭い切れません。株高の原動力の一因とも捉えられる新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)ですが、3月の配当権利取りのニーズも強かったと考えられます。4月以降は新NISA資金流入などの需給期待もやや後退していく方向となりそうです。

 また、4月後半からは2024年3月期の本決算発表がスタートします。円高反転への織り込み、人件費の上昇などによる新年度ガイダンスへの警戒感も強まり始めるタイミングでしょう。物色テーマですが、高配当利回り銘柄に関しては、3月末権利取り通過によって、いったんは手控えムードが強まりそうです。

 逆に物色が強まりそうなものとして低PBR(株価純資産倍率)銘柄が挙げられます。これまでPBR1倍割れの改善策を公表してこなかった銘柄などは、本決算の発表と同時に一斉に公表してくるとみられます。株主還元策の拡充に対する期待感などを高めたいところです。

 ほか、日本では4月の衆議院解散総選挙も取り沙汰されるようになってきています。株式市場にとってプラス材料とされがちですが、岸田政権の長期化が一段の株高材料になるのかは疑問で、大きな株価変動要因にはつながらないと考えられます。

日銀利上げで、有利子負債が少ない高配当利回り銘柄に注目!

 日銀ではマイナス金利政策を解除し、金融正常化の方向に向かい始めますが、短期的にはこうした政策変更によって、物色の方向性に変化が生じていくかが注目されます。

 市場での織り込みは進んでいますが、今後の一段の利上げなどを警戒する動きが強まる可能性もあり、いったんは日銀の政策修正によるマイナスの影響が大きいとみられる銘柄などには手控えムードが強まる公算もありそうです。有利子負債の水準が小さい銘柄、円高への動きを警戒し海外売上比率の相対的に低い銘柄などに関心を移す場面でしょう。

 なお、3月の配当権利取りが終了することで、高配当利回り銘柄に関しては、新年度の減配懸念が小さい銘柄を選好すべきでしょう。

 3.5%以上の配当利回り(2024年3月期ベース)がある銘柄の中で、有利子負債自己資本比率が低い銘柄、海外売上高比率が低い銘柄を、楽天証券のスーパースクリーナーでスクリーニングしています。また、こちらは東洋経済予想になりますが、新年度の配当水準が前期比で減配になるとみられている銘柄は除外しています。

(表)日銀政策修正によるデメリットが小さいとみられる高配当利回り銘柄

コード 銘柄名 配当利回り
(%)
3月18日終値
(円)
時価総額
(億円)
有利子負債
自己資本比率
(%)
1719 安藤ハザマ 4.90 1,225.0 2,217 17.16
8130 サンゲツ 4.24 3,300.0 1,953 8.98
4041 日本曹達 3.98 6,030.0 1,733 19.11
4471 三洋化成工業 3.94 4,310.0 1,014 7.00
1662 石油資源開発 3.85 6,500.0 3,529 0.12

銘柄選定の要件

  1. 配当利回りが3.5%以上(3月18日現在)
  2. 時価総額が1,000億円以上
  3. 海外売上高比率が50%以下
  4. 有利子負債自己資本比率が30%以下
  5. 新年度(2025年3月期)配当予想(東洋経済予想)が減配除く

厳選・高配当銘柄(5銘柄)

1 安藤ハザマ(1719・東証プライム)

 中堅ゼネコンの一角で、トンネルやダムなどの大型土木工事に実績が豊富です。2013年4月に安藤建設とハザマが経営統合して現体制になっています。中山競馬場観覧スタンドや黒部ダムなどの施工実績があり、現在はリニア工事で多くの実績を上げているとみられます。

 2023年3月期個別受注高ベースでの海外比率は7.9%の水準です。2025年度までの中期計画では、総還元性向70%以上を目標としています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は99億円で前年同期比26.8%減となっています。一部利益率の低い建築工事などが進捗(しんちょく)したことによって、完成工事総利益率が低下しています。

 一方、2024年3月期通期予想は205億円で前期比3.3%増の見通しです。国内土木の底堅い需要が見込めるほか、建築では物流倉庫や生産施設、リニューアル案件などの需要が見込めるようです。

 第3四半期末段階での工事繰越高は4,908億円で、2024年3月期通期売上見通しの4,000億円を上回る水準になっています。年間配当金は前期比20円増の60円を計画しています。

 予想配当利回り4.9%(3月18日現在)の水準は、上場している大手・中堅ゼネコンの中でトップとなっており、利回り妙味は高い状況です。高水準の受注残高や中計期間中における総還元性向70%以上目標から、2025年3月期の配当も高水準が続くものと考えられるでしょう。

 なお、2024年3月期業績には下振れ懸念も残ることで、下方修正のタイミングなどは格好の押し目買いポイントになり得ると捉えておきたいところです。

2 サンゲツ(8130・東証プライム)

 住宅、オフィス、商業施設などの壁装材、床材、カーテンなどのファブリックを取り扱うインテリア内装材のトップシェア企業です。壁紙では国内シェア約5割。住宅の門扉や家庭用フェンス、カーポートをはじめ、学校などの公共施設や商業施設にも展開するエクステリア事業、北米、東南アジア、中国・香港などへの海外事業も行っています。

 国内向け製品は約1万2,000点にのぼります。創業約170年、上場以来40年以上連続での黒字経営となっています。2023年3月期の海外売上高は12.3%の水準です。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は149億円で前年同期比2.4%増となっています。壁装材・床材などの主要商品は着実なシェアアップに伴う数量増が図れ、売上高が二桁増となっていますが、一部原材料の値上げによる仕入価格上昇および物流コスト増、廃番商品評価減発生などで利益率はやや低下しました。

 2024年3月期通期予想は従来の185億円から200億円、前期比1.4%減に上方修正。販売数量の想定以上に堅調な推移が背景となるようです。年間配当金も従来計画の135円から140円に引き上げ、前期比35円の増配となります。

 住宅着工戸数が低迷する環境下において、着実に国内インテリア事業の売上が拡大していることはポジティブに評価できます。また、チェーンの飲食やホテルなどこれまで弱みであった非住宅分野において、専門部署設置などの対策が奏功していることも注目ポイントになります。

 配当金を中心とした株主還元姿勢なども高評価、2024年3月期は10期連続での増配予定となっていますが、とりわけ、2022年3月期以降は増配のペースが速まっています。2026年3月期までの中期経営計画期間中は130円を下限配当と位置付けています。

3 日本曹達(4041・東証プライム)

 工業薬品や化成品、機能材料などのケミカルマテリアル事業と、殺菌剤や殺虫剤などのアグリビジネス事業が二本柱となっています。前者では、カセイソーダ、塩素・塩酸などの基礎化学品を扱っているほか、ニッチな機能性化学品を手掛けています。医薬品添加剤のHPCでは世界シェアを二分する状況です。

 一方、後者では、畑作用除草剤「ナブ」が多くの国々で登録されているほか、殺菌剤「トップジンM」も1971年の発売以来のロングセラー商品となっています。青化ソーダ・青化カリなどを供給する水島工場の閉鎖を決定しました。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は97億円で前年同期比33.9%減となっています。在庫調整の影響でアグリビジネスが大幅な減益となったほか、亜鉛建値の下落によってエコソリューション事業が赤字に転じています。

 2024年3月期通期では138億円で前期比18.3%減の見通しです。上半期の決算発表時に下方修正しています。アグリビジネスのほか、世界的な景気減速の影響でケミカルマテリアル事業も下振れのようです。年間配当金は前期比横ばいの240円を計画しています。

 2026年3月期までの中期経営計画では、当期純利益170億円(2023年3月期166.9億円)、総還元性向50%以上などを掲げています。2025年3月期は営業外収益の一過性要因などが剥落しますが、還元性向からみて、高い配当水準は継続される公算が大きいです。

 なお、2025年3月期の営業利益に関しては、生産能力増強効果や半導体市場の回復によってケミカルマテリアル事業のVPポリマーがけん引役となるほか、農薬の在庫調整も一巡するとみられ、二桁の営業増益に回帰すると予想されます。

4 三洋化成工業(4471・東証プライム)

 約3万種類の機能化学品を製造・販売しています。界面活性剤がコアビジネスで、紙おむつの製造に不可欠な高吸水性樹脂は1978年に世界で先駆けて商業生産を開始しています。

 ほか、自動車内装材原料やプラスチック向け機能付加製品、トナー観戦製品、住設産業向けポリウレタンフォーム用原料など幅広い産業向けに展開しています。海外生産拠点は5カ所、海外売上高比率は中国を中心に40%超の水準で推移しています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は42億円で前年同期比35.0%減となっています。全セグメントが減益となり、とりわけ、主力の生活・健康事業が液体洗濯洗剤用界面活性剤およびポリエチレングリコールの市況低迷、高吸水性樹脂の販売数量減少で赤字となっています。

 2024年3月期通期予想は従来の50億円で前期比38.5%減の見通し、進捗率は81.2%となっています。年間配当金も前期比横ばいの170円を計画しています。

 業績は現在がボトム期である公算が大きいでしょう。2024年3月期は高進捗から上振れ着地が見込めるほか、日本や中国工場でのコストダウン効果によって高吸水性樹脂事業の改善が見込めること、自動車関連製品の在庫調整終了などにより、2025年3月期は大幅増益転換が想定されます。

 株主還元は連結配当性向30%以上をめどとしていますが、PBRは0.6倍台と低水準にあるため、一段の還元強化が進む可能性もあるでしょう。風力発電用の炭素繊維収束剤、アルミ電解コンデンサ用電解液、前樹脂電池向け被覆活物質など、今後の市場拡大期待分野も多くなっています。

5 石油資源開発(1662・東証プライム)

 原油や天然ガスなどの開発、採掘、生産、販売を行う資源開発会社です。現在、国内10カ所(北海道・秋田・山形・新潟)の油ガス田で原油・天然ガスを生産しています。海外では5カ所でプロジェクトを遂行中、また、シンガポールを拠点としたLNG(液化天然ガス)の調達なども行っています。

 原油価格の影響度としては、1ドル/バレルの上昇で0.6億円の営業利益プラス要因、為替の影響度としては、1円/ドル円安で0.5億円の営業利益プラス要因となるようです。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)の営業利益は398億円で前年同期比2.9%増となっています。米国タイトオイル開発の販売量増加などが主要な増益要因となりました。2024年3月期通期営業利益は488億円の従来予想から507億円、前期比18.3%減に上方修正しています。英領北海・シーガルプロジェクトからの販売開始などが上振れ要因となるようです。

 上半期決算時に続く上方修正となっており、基本的に会社側の計画は保守的とも判断されます。年間配当金は前期比120円減配となる250円を計画しています。

 第3四半期までの状況から業績上振れ期待は高く、連結配当性向30%から年間配当金の上振れなども想定されます。有利子負債がゼロで、第3四半期決算期末時点のネットキャッシュは1,666億円となっており、これは時価総額の46%の水準にあります。

 PBR水準が0.7倍台にとどまっているほか、ネットキャッシュが極めて豊富である状況下、配当性向30%からの引き上げも今後は想定されることになるでしょう。なお、現在は8月末にかけて高水準の自社株買いを実施中であり、当面の下値抑制要因になると考えられます。

(佐藤 勝己)

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