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新NISAで「配当貴族」に分散投資!注目したい米国市場の「配当王」(香川睦)

トウシル / 2024年3月22日 7時45分

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新NISAで「配当貴族」に分散投資!注目したい米国市場の「配当王」(香川睦)

FOMCを巡るアク抜け感でS&P500は過去最高値を更新した

 今週の日米市場は「金融政策ウイーク」と呼ばれ、金利を巡るイベントを消化する動きとなりました。日本銀行(日銀)は18~19日に開催した金融政策決定会合で、事前予想通り「マイナス金利政策の解除」や「YCC(イールドカーブ・コントロール)」の廃止を決定。

 ただ、植田和男日銀総裁は記者会見で「引き続き2%物価安定目標の実現という観点から、緩和的な金融緩和は継続する」との方針を示し、市場に安ど感を与えました。

 3月にやや円高に振れていた為替のドル円相場は1ドル=151円台後半まで上昇(20日)し、日経平均株価の上昇要因となりました。一方、19~20日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)も市場の想定通り「政策金利の据え置き」を決定。

 FOMCが3カ月ごとに公表するSEP(FOMCメンバーの経済・金利見通し(中央値))は、昨年12月時点での見通しと比較して、2024年の「実質成長率」や「インフレ見通し」をやや上方修正したものの、「政策金利見通し」については「2024年の3回利下げ予測」を維持しました(図表1)。

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は記者会見で「QT(量的引き締め)の縮小はまもなく開始する」とも言及しました。事前に市場が不安視していたよりも金融政策姿勢のトーンがハト派的だったこととアク抜け感で株式は上昇。S&P500種指数(S&P500)、NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株30種平株価)、ナスダック総合指数(ナスダック)はそろって過去最高値を更新しました。

 特にS&P500は、今年に入り19回目となる最高値更新(終値)を果たしました。日本居住者からみた米国株式(例:円建てS&P500/為替ヘッジなし)の年初来騰落率は+17.8%に至っています(20日時点)。

<図表1>FOMCが公表した最新「経済・金利見通し」を確認する

(出所)FOMCの公表データより楽天証券経済研究所作成(2024年3月20日)

米国の「配当貴族指数」の長期総収益パフォーマンスに注目

 新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の「成長投資枠」を活用した分散投資を検討するにあたり、米国市場の「配当貴族指数」(正式名称:S&P500 Dividend Aristocrats Index)の長期的な優勢に注目したいと思います。

 配当貴族指数とは、S&P500構成銘柄(米国の大手企業)のうち「25年以上連続して配当を増やし続けてきた優良銘柄」(現在は65銘柄:S&Pグローバルが選定)で構成されています。

 図表2は、2000年初を起点として配当貴族指数、S&P500(米国市場平均)、TOPIX(東証株価指数)(日本市場平均)それぞれの総収益指数(配当込みトータルリターンインデックス)の推移を比較したものです。

 配当貴族指数の総収益は、今世紀(2000年初を起点にし)10倍を超える成長を実現しており、S&P500(同期間で5.6倍)や東証株価指数(TOPIX)の総収益指数(同期間で2.4倍)と比較して長期的な優勢を鮮明にしてきました。

 もちろん、この間には米国株式が下落局面に陥ったことが幾度もありました。2000年のITバブル崩壊、2008年の金融危機、2020年のパンデミック危機の影響で米国経済が景気後退入りを余儀なくされたこともあります。

 こうした局面で外部環境や経営環境が一時的に悪化しても「毎年(毎期)必ず配当を増やし続けてきた企業群」を投資家が相対的に評価してきたことを示しています。「配当」を毎期(毎年)着実に切れ目なく増やしてきた企業は、今後も「株主還元を重視する経営を実践してきた企業」として市場で評価されやすいと考えられます。

 近年は、「配当貴族指数」に連動を目指す国内の追加型投資信託や東証上場ETF(上場投資信託)の例:「グローバルX S&P500配当貴族 ETF(東証コード:2236)」など投資ツールの選択肢が広がっており、連続増配銘柄に分散投資するポートフォリオを資産運用に組み入れることが比較的容易となっており注目したいと思います。

<図表2:配当貴族指数の長期パフォーマンスに注目>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2000年初~2024年3月15日)

「配当貴族」や「配当王」の具体的な銘柄を知る

 米国上場の個別銘柄に直接分散投資する方法もあります。配当貴族指数の主要構成銘柄(時価総額上位15銘柄:時価総額の降順)を図表3で一覧にしました。長期連続増配銘柄には、高いブランド力で知られている安定成長企業が多いことが分かります。

 特に、ウォルマート(WMT)プロクター・アンド・ギャンブル(PG)ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)アッヴィ(ABBV)コカ・コーラ(KO)ペプシコ(PEP)アボットラボラトリーズ(ABT)ロウズ(LOW)S&Pグローバル(SPGI)は「50年(期)以上連続して配当を増やし続けてきた銘柄」であり「配当王」(Dividend Kings)の称号が与えられています。

 日本の東証上場銘柄で「配当貴族」(25年以上の連続増配企業)の名に値する銘柄は、34期連続増配の花王(東証コード:4452)と25年連続増配のSPK(同:7466)の2社のみとなっています。東証で「配当王」(50年連続増配)の称号を得られる銘柄はいまだありません。

 今後も金利が上昇する場面や景気鈍化が懸念されるなど、リスクが顕在化すると株式が一時的に調整する可能性を排除することはできません。

 下落相場に陥っても、「いかなる経営環境でも配当を毎年(毎期)着実に増やし続けてきた経営実績」を持つ企業群は、相対的信頼感で再び物色されやすいと考えられます。

 配当貴族銘柄や配当王銘柄についても、業種(セクター)を分散しつつ複数の銘柄に時間分散していくことは、インカム(配当)の増加を期待しながら長期視点で資産の成長を目指すポートフォリオ構築に寄与すると思います。

<図表3>配当貴族指数の主力銘柄をチェックする

*S&P500配当貴族指数を構成する銘柄の時価総額上位15社を一覧にした
*ライトブルーで示した銘柄は「配当王」(連続増配実績50年以上)と呼ばれる
*予想配当利回りは市場予想平均(15銘柄平均は2.5%)
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年3月20日)

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(香川 睦)

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