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上昇相場の主役がTOPIX銘柄に交代!今週は年度末やロシアテロの影響で上昇停滞!?

トウシル / 2024年3月25日 13時30分

上昇相場の主役がTOPIX銘柄に交代!今週は年度末やロシアテロの影響で上昇停滞!?

上昇相場の主役がTOPIX銘柄に交代!今週は年度末やロシアテロの影響で上昇停滞!?

 先週は日米それぞれの中央銀行にあたる日本銀行とFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策決定イベントが波乱なく終了。

 日経平均株価(225種)の22日(金)終値は前週末比2,180円(5.6%)高の4万0,888円と史上最高値を更新しました。

 重厚長大産業や内需株の組み入れ比率が高いTOPIX(東証株価指数)も5.3%上昇して2,813.22ポイントで終了。

 今週、さらに2.6%ほど上昇して、1989年12月18日に付けたバブル経済期の史上最高値2884.80ポイントを突破しても全くおかしくありません。

 そのイベントを先取りするように、先週の週間業種別上昇率ランキング1位には、1ドル=151円台の円安で潤う輸送用機器(自動車)セクターがランクイン。

 時価総額日本一でTOPIXに対する影響力が最も大きなトヨタ自動車(7203)が前週比11.0%高と大きく上昇しました。

 業種別上昇率の2位は日本銀行の金融緩和継続方針が追い風になる不動産セクター。

 以下、6位は銀行業、7位は中国関連株が多く出遅れ割安株の宝庫といえる機械セクター。

 上昇相場の主役が半導体関連株から、「TOPIX銘柄」と呼べる割安で好業績な大型株に拡大する流れが鮮明でした。

 一方、米国株も20日(水)終了のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、従来通り2024年後半にかけて3回の利下げを行う見通しが維持されたことを受けて大幅に上昇。

 機関投資家が運用指針にするS&P500種指数が週間では前週末より2.29%高となり、今年最大の週間上昇率を記録しました。

 AI(人工知能)熱狂相場の主役である高速半導体メーカー、エヌビディア(NVDA)も7.35%上昇。2023年末からの上昇率はほぼ2倍に近い90.4%に達しています。

 ただ、22日(金)にはロシア・モスクワ郊外のコンサート会場でイスラム過激派組織「イスラム国」によるテロが発生し、多数の死者が出ました。

 22日の取引時間中だった米国株に対する影響は軽微でしたが、S&P500種指数の終値は前日比0.14%安、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均も0.77%安となり、ともに5営業日ぶりに反落しました。

 ロシアのプーチン大統領が拘束したテロリストがウクライナ側に逃げようとしていたとする見解のビデオ演説を行い、今週は地政学的リスクが高まる可能性もあります。

 週明け25日(月)の東京株式市場の日経平均は米国株下落の流れもあり、終値は前週末比474円安の4万0,414円でした。

 また通貨当局の財務省の神田真人財務官が25日早朝に円安けん制発言を行ったことが伝わると、為替相場がやや円高に傾き、自動車など輸出関連銘柄の重荷となりました。

先週:日銀会合&FOMC通過で上昇相場は新次元に!不安点はどこに?

 先週19日(火)、日銀の金融政策決定会合が終了し、マイナス金利解除が決定。17年ぶりの利上げが行われました。

 日本株はこの「悪材料出尽くし」を先取りして、週明け18日(月)から早くも急上昇して始まりました。

 日銀の金融政策の変更点は、これまでマイナス0.1%だった短期金利をプラス0~0.1%に引き上げて、2016年1月に始まったマイナス金利を解除したことです。

 短期から長期までの国債利回りが描く曲線を適正な水準に保つYCC(イールドカーブ・コントロール:長短金利操作)政策を撤廃し、毎月の長期国債の買い入れ予定額を示して長期金利の急上昇を抑制する新たな量的緩和の枠組みを導入したこと。

 株価が急落したときに買い支え目的で行ってきた東証ETF(上場投資信託)やJ-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)の新規買い入れを終了すること、などです。

 会合後には、日銀が7月か10月に追加利上げを行うかもしれないという日本経済新聞社の観測記事が流れて円高が一時的に進みました。

 しかし、株式市場は日銀が今後も金融緩和的な政策を続ける可能性が高いと判断し、日本株の上昇が会合後も止まることはありませんでした。

 外国為替市場では、3月11日(月)に付けた1ドル=146円50銭前後から22日(金)のニューヨーク市場終値の1ドル=151円40銭前後まで、約2週間で5円近い「想定外の」円安が進行。

 円安が海外収益向上につながる外需株中心に日本株は続伸しました。

 ただ、過度な円安が進むと、原油・天然ガスをはじめとした輸入品価格が高騰して消費者の生活を圧迫し、政府や日銀に対する批判が広がりかねません。

 22日(金)には鈴木俊一財務相が円安について「高い緊張感を持って注視」すると述べるなど、今後は通貨当局による為替介入による円高に注意が必要になりそうです。

 日銀会合の翌日の20日(水)には、米国のFOMCで5会合連続の金利据え置きが決定されました。

 株価を勢いづかせたのは、会合参加者が今後の政策金利の見通しを示した分布図・ドットチャートで、2024年末までに計3回の利下げを行う見通しが維持されたことでした。

 一方、来年2025年の利下げ回数の見通しは従来の4回から3回に減少。2024年のインフレ率の予想値は従来の2.4%から2.6%に引き上げられました。

 2024年の予想経済成長率は従来の1.4%増から2.1%増まで大幅に引き上げられ、米国経済のソフトランディング(軟着陸)が順調に進んでいるという見通しでした。

 FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、FRBのバランスシート(総資産)を毎月最大950億ドル(約14.4兆円)ずつ減らす量的引き締め(QT)政策に関して、「かなり早期に縮小ペースを鈍化させることが適切になる」と述べ、金融緩和に理解を示すハト派的スタンスを示しました。

 このように先週の日銀とFRBの金融政策変更がおおむね市場の期待通りだったこともあり、日米の株式市場は新たな、別次元の上昇ステージに入った感があります。

 先週の日本市場では、日銀がマイナス金利解除後も金融緩和を継続して金利がそれほど上昇しないという期待感から、住友不動産(8830)が前週比18.0%高、三井不動産(8801)が14.3%高と大幅に上昇。

 借入金が多く、金利上昇が業績圧迫要因になりかねない不動産株やJ-REITが出遅れ内需株として人気化しました。

 三井不動産は時価総額が約4.6兆円もある大型株ですが、そんな大企業の株価が1週間で14%超も上昇するのは、外国人投資家が巨額マネーを投じて日本株を「爆買い」している証拠といえるでしょう。

 むろん先週はほぼ全面高の展開だったため、上昇相場の主役といえる半導体関連株も主力の東京エレクトロン(8035)が11.1%高となるなど、比較的堅調に推移しました。

今週:年度末の売り買い交錯に注意!TOPIX最高値更新か?

 今週は26日(火)に米国の民間調査会社コンファレンス・ボード発表の3月消費者信頼感指数、米国市場などが聖金曜日の祝日で休場となる29日(金)に2月の米国個人消費支出とその価格指数(PCEデフレーター)の発表があります。

 変動の激しいエネルギーと食品を除いた2月のコアPCEデフレーターは前年同月比2.8%の上昇と、1月と同じ伸び率のまま高止まりする予想です。

 このコアPCEデフレーターはFRBが最重要視している物価指標のため、上振れすると、先週のFOMCで示された2024年中に3回の利下げという楽観的なシナリオに悪影響を及ぼしかねません。

 また今週は3月最終週の年度末。

 3月末が決算企業の株主配当金がもらえる権利付き最終日の27日(水)、その権利がなくなり、理論上は株主配当金の分だけ株価が下落する28日(木)の2日間は特に投資家の売り買いが交錯し、株価が乱高下する可能性もあります。

 3月は日本株が急上昇したため、決算期末ということもあり、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)といった年金基金など機関投資家の益出し売りも見込まれます。

 その一方、株主配当の権利を得たい投資家が27日(水)の権利付き最終日までに株を買う「配当権利取り」の買いにも勢いがありそうです。

 年度末は機関投資家などが保有株式の評価額をよく見せるための「お化粧買い」という買いも入ります。

 大手証券会社のリポートによると、28日(木)に株主配当の権利がなくなることで想定される株価の下落幅は日経平均株価で約262円、TOPIXで約25ポイントと試算されています。

 28日(木)の株式市場で、この配当落ちの下落幅を即埋め切るような反転上昇が起これば、旺盛な買い需要で4月の日本株が続投する原動力になるといえるでしょう。

 22日(金)に発生したロシア・モスクワでのイスラム国によるテロ事件が今後の株式市場にどのような影響をもたらすのかは不透明です。

 2023年11月に始まった株価の上昇トレンドも4月からは相場の転換点になりやすい6カ月目に入ります。

 株式市場の値動きは3カ月、6カ月といった節目で動くことも多いため、4月の相場変調を見越した利益確定売りや仕掛け売りもそろそろ出てくるでしょう。

 ただ、冒頭でも述べたように、日経平均に続いて今週にもTOPIXがバブル期の史上最高値越えを果たすだろうという投資家の期待感が非常に高くなっているのは事実。

 今週もトヨタ自動車や銀行株、機械株など、TOPIXの値動きに影響力が強い重厚長大企業に対する買い需要が高まりそうです。

(トウシル編集チーム)

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