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NISA口座でも決めておくべき「売却ルール」。節税メリットを使って売り時を遅らせるという考え方

トウシル / 2024年3月29日 11時0分

NISA口座でも決めておくべき「売却ルール」。節税メリットを使って売り時を遅らせるという考え方

NISA口座でも決めておくべき「売却ルール」。節税メリットを使って売り時を遅らせるという考え方

NISA口座で買った株も「売却ルール」は決めておくべき

 新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は非課税期間が無期限になりましたから、成長投資枠を使って個別株に投資した場合、特に売り時を考慮せずにそのままずっと保有していても問題ありません。

 しかし個別株のチャートを見ると、確かに長期間上昇を続けているものもある一方、株価が大きく下落に転じてしまうものもあり、一概に「NISA口座で買った株を持ち続ければよい」ということにはならないと思われます。

 将来性を期待して持ち続けたところ、投資家の期待に見合わず株価が大きく下がるということに備え、たとえNISA口座であっても売却について一定のルールを設けておく方がよいと筆者としては考えています。

 それでも売却の判断というのは難しく、ルールに従って売却した後大きく下落し難を逃れた、というケースもある一方、売却した後株価が急騰し、悔しい思いをすることも少なくありません。

移動平均線割れで売却というルールの一例

 例えばこんなケースを想定してみてください。上昇相場ではこのような株価上昇となることも珍しくありません。

  1. A社株を1株1,000円で1,000株購入(計100万円分)
  2. A社の株価が大きく上昇して1株4,000円となった
  3. その後、株価が3,600円まで下落して移動平均線を下回った

 筆者は、移動平均線割れで売却というルールに従って行動することが多いのですが、上記の例であれば、3,600円まで下落したところで移動平均線を下回ったので売却する、ということになります。

 この場合、税額は「(3,600-1,000)×1,000×20.315%=52万8,190円」です。

 ここで筆者がよく感じるのが、「長期間値上がりを続けている銘柄は、移動平均線を割り込んでもすぐ回復し、再び上昇を続けることが多い」というものです。

 ですから、上の例で移動平均線を割り込んだから売却、とした後に株価が再び上昇に転じる可能性も高いのです。

 そのとき、買い直しができればよいのですが、いったん売却した後で好決算の発表などがあり、株価が急騰した場合などは事実上買い直しすることができず、悔しい思いをすることもあります。

NISA口座での非課税メリットの分だけ追加的にリスクを取るという考え方

 でもNISA口座で上記例のようにA社株を1,000円で1,000株買い、4,000円まで上昇した後3,600円まで下落した時点で売却したら、当然ながら税額はゼロですから、通常口座で売却したときよりも税額である52万8,190円だけ手残りが増えることになります。

 そこで、このNISA口座により実質的に浮くことになる52万8,190円を用いて、「追加的に下落リスクを許容する」という考え方ができるわけです。

 上で述べたように、強い銘柄は移動平均線を一時的に割り込んでもすぐ回復して再び上昇することが多いです。

 ただ、必ずそうなるわけではなく、大きく下落してしまう可能性もありますから、やはりどこまで下がったら売却するかも決めておくべきです。

 この両方をてんびんにかけ、NISA口座による税メリットの分だけ株価が下がるまでは売却せずに保有を続けよう、というのがこの考え方になります。

 上記の例でいえば、A社株を1,000株保有しているわけですから、52万8,190円は株価でいうと528円となります。

 従って、移動平均線を割り込んだ3,600円では売らず、「3,600-528=3,072円」までは保有して反転上昇を待つが、3,072円まで下がったら諦めて売却する、というようにするのです。

右肩上がりに上昇を続けている銘柄であれば試してみる価値あり

 この方法をどの株に対しても行うべきかといえば、必ずしもそうではありません。

 筆者の経験上、株価が移動平均線を割り込んでもすぐに回復して上昇に転じる銘柄のチャートを見ると、その多くは中期的に見て右肩上がりの株価上昇となっています。

 筆者自身もこれまで、自らの決めたルールにのっとり、移動平均線割れとなった場合は保有株を売却していました。でも、売却後に大きく上昇し、かつ買い直しができなかったため悔しい思いをしました。

 それらの株価チャートを見返すと、移動平均線から5%程度、大きくても10%程度下がるまでの間に反転上昇していることが多かったのです。

 でも全ての銘柄において移動平均線から10%下がるまで売らずに保有する、というようにすると、10%下がっても反発しないケースも多々あります。その場合は損失が大きくなってしまうため、そこまでのリスクを取ることはできなかったのです。

 ですからNISA口座で買った株の、非課税による節税メリットを「含み益」と捉え、その分までは粘って持ち続けることは有効な対策の一つなのではないかと考えています。

含み益があれば追加的なリスクを取ることができる

 株式投資では、「含み益があれば思い切った勝負ができる」という事実があります。

 もし含み益がゼロの状態だと、リスクを取った結果失敗すると実際に資金が減少してしまうため、あまり無理はできません。

 でも十分な含み益がある状態であれば、通常よりリスクを取った結果失敗したとしても、含み益が減るだけで済むことが多いため、実際のダメージも、精神的なダメージも抑えることができます。

 NISA口座を使うことにより通常の口座に比べて生じる節税メリットについても、含み益と同じように考えることで、時に大胆な勝負に打って出ることも可能です。

 特に上昇相場では、リスクを取るほど大きな利益も期待できます。あくまでも無理のない範囲で、というのは大前提ですが、通常よりも追加的なリスクを取ってより大きな利益を狙う、ということも一度検討してみてはいかがでしょうか。

(足立 武志)

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